記念すべき30冊め。


今日読み終えたのは、今は私の中でハルキを凌ぐほどに好きな作家となってしまったカズオ・イシグロのもっとも長い長編小説、忘れられた巨人。



そのストーリーは、なんとファンタジー。

アーサー王伝説の直後をモチーフにしたファンタジー小説でありました。


とても読みやすくてスルスルと読み進めた理由の一つは、訳者が相変わらず素直で実直な翻訳を志しているように思えること。


そして、登場人物が乱立し過ない程度に抑えられているので久しぶりに出てくる登場人物でも記憶の範囲で思い出しやすい。


フィリップマーロウのロンググッドバイなんかは読みながら何度も登場人物一覧を参照し直しつつ読んでいたものです。


この作品だけでなく、イシグロに共通する作品設定な気がします。


物語のなかで作者が伝えたかったことや結末の先にあるエンディングのエンディングなんかもどう整理すれば良いのかわからない点もあるのですが、誰か教えて欲しい。

それと、アーサー王物語の予備的知識を持ってから読み直したらまた違った味わい方ができると思います。


忘れられた巨人。

奥の深い物語のその深淵にたどり着けなかった敗北感とともにだからこその面白さ。