星田妙見宮の七夕祭

金澤成保 

 

 前々回、北極星信仰のお宮、大阪府交野の星田妙見宮をご紹介した(ブログ「北極星を神とする星田妙見宮」)。北極星(=北辰星)が中心となって、日月や星々の運行、天空の諸現象を司ると考えられており、このお宮では、七夕祭が毎年賑やかにおこなわれ、北斗七星に因む「守護星」が祀られている。

 

 このブログでは、7月7日に七夕祭を訪れた時の様子と、七星の守護星信仰についてご紹介させていただきます。この宮では、そのほかにも星にまつわる祭がおこなわれ、2月8日の「星祭」、北斗七星がこの地に降り落ちたとされる7月23日には、お火焚き祭(登龍の滝大護摩供)や湯立神楽の「星降り祭」がおこなわれている。

 

星田妙見宮の七夕祭

 この宮がある「交野ヶ原」には古来より、天女が舞い降りたとされる「羽衣伝説」や「七夕伝説」がある。平安時代の『伊勢物語』や『古今和歌集』などにも、「交野ヶ原」の七夕に関する記述がある。在原業平が惟喬親王の狩猟の供をした時に、

 

    狩り暮し 棚機津女(たなばたつめ)に 宿借らむ 天の川原に 我は来にけり

 

と詠んだ歌が『古今和歌集』に載っており、古くから貴族の間で七夕ゆかりの地として知られていた(以下、星田妙見宮HPを参照)。

 

                   (七夕限定御朱印)

 

 とくに星田妙見宮は、「交野ケ原」の北辰(北極星)・北斗七星にまつわる祭祀の霊場であり、弘法大師ゆかりの「七曜星降臨伝説」の地として、古来より連綿と護持されてきた。

 


 もともと七夕は「北辰信仰」から生まれた祭祀であり、当社の御神体として祀られている磐座(信仰の対象となる岩)も古来より「織女石」(たなばたいし)と呼ばれ、元禄2年(1689)の貝原益軒の「南遊紀行」にも七夕の祭神として記載されているように、七夕星田妙見宮の信仰に深いゆかりがある。

 

 七夕祭は、7月5日、6日、7日の3日間におこなわれ、その間、笹飾り、吹き出し飾り、屋台の出店があり、7日の夕方から夜にかけて居合、雅楽、太鼓の奉納があった。

 

                     (茅の輪くぐり)

 

北斗七星の「守護星」信仰

 当宮が祀る妙見菩薩は、北斗七星を神格化した神様であり、古来より運命の星の巡りを正して下さるとされている。「妙見信仰」において、人はそれぞれ北斗七星の内の二つの星によって加護されており、先天的運命をご加護下さる「本命星」と、幸せや運気など後天的運命のご加護を下さる「元辰星」があるとされる。

 

 自分の干支から、「本命星」と「元辰星」の守護星を割り出し、境内に散在するそれぞれの「如意輪観音」をお参りして、健康や運気の向上をお願いする。守護星ごとの性格は以下の通り。

 

 

子:貧狼星(とんろうせい)、欲望と好色を司る星。現実的実践家で豪胆。大財を得る力があるが、欲深い。

 

丑/亥:巨門星(こもんせい)、弁舌と弁論を司る星。執着心が強い。勇敢で大物の素質があり、仁に厚い。

 

寅/戌:禄存星(ろくぞんせい)、財産と寿命を司る星。神仏の守護が厚く、害をはね除ける力がある。

 

卯/酉:文曲星(もんごくせい)、学問と芸術を司る星。優雅だが小心である。知恵があり、学芸で名をなす力がある。

 

辰/申:廉貞星(れんじょうせい)、権威と勝負事を司る星。礼儀正しく聡明だが、策謀があり悪事を働く。

 

巳/未:武曲星(ぶこくせい)、権力と財を司る星。勇敢で常に厚い。財を得て成功する。武才もあり。

 

午:破軍星(はぐんせい)、変動と禍福を司る星。威厳があり、人の師となる。大成すれば巨福を築く。