一心寺で「おせがき」の供養

金澤成保 

 

 大阪・天王寺のユニークなお寺・一心寺は以前ブログに書いた(「夕陽に極楽をみる一心寺」)。今回も、亡き両親の霊を供養するため、一心寺の「おせがき」(お施餓鬼)で、ご祈祷いただいた。お彼岸を避けたが、参列者は多かった。

 

一心寺の「おせがき」と「骨佛」

 一心寺は、「おせがき」の寺として有名で、4月の「納骨供養大法要」の期間を除いて、年間を通じて「おせがき」が実施されている。(浄土宗のお寺であるが)無宗教宗派にこだわらず、(混めば待つことになるが)予約も必要なく、自分の都合の良い日に供養でき、冥加料は一霊500円からと低廉であることが、参列者の多い理由であろう。

 

 「おせがき」とは、餓鬼道に堕ちて苦しむ一切の霊(三界の万霊)に食物などを供養することで、その功徳が巡り巡ってご先祖に至る(回向される)という仏事である。山門を入って右方にある受付・念佛堂へ入り、故人の姓名・戒名・没年月日施主となる者の姓名を記したメモを示して、経木・塔婆を書いてもらう。冥加料を払ったら、信徒会館から本堂にまわり、経木・塔婆を所定の入れ物の中に置いて、自分の名前をよばれるまで待つ。よばれたら仏壇の横に進み法要に参列して焼香をする。故人の姓名、戒名も読経の中で読み上げられ、亡き両親の供養になったとありがたかった。

 

 一心寺は、「骨佛」の寺としても有名で、故人の分骨を受け入れて10年ごとにまとめ、一体の阿弥陀仏として造立するのが「骨佛」である。(一部の宗派を除いて)無宗教・宗派を問わず、納骨を受け入れている。明治20年から始まり、すでに200万人におよぶ故人が「骨佛」となってお骨佛堂納骨堂8体の御仏として祀られている(空襲で6体が焼失)。「骨佛」をお参りすると、阿弥陀如来とともに、仏様のお姿になった先祖や親しかった故人に、手を合わしお祈りすることができることから、納骨を望む人も多く、参拝者も引きも切らない。

 

 境内の東に三千佛堂があり、寄進によって造立する「千体佛」が大回廊に祀られている。千人寄進は、一口2000円(5口で、寄進者名が名盤に彫られる)で、今回千人寄進もさせていただいた。一心寺には、シアター、道場などの文化スポーツ施設も併設されているが、大坂の陣の資料館・存牟堂があり、参観させていただいた(無料)。一心寺から茶臼山、四天王寺、天王寺公園にかけては、大坂夏の陣で、徳川軍と豊臣軍が布陣し合戦をおこなった一帯であったことが説明されている。

 

真田幸村討死の地、安居神社

 一心寺の北に、真田幸村(信繁)が大坂夏の陣で戦死した安居神社がある。菅原道真が太宰府に流罪の際、風待ちのためにこの地で休息(安井)をとったとされることから安居(安井)天満宮ともよばれる。

 

 『摂津名所図会』、『浪速名所図絵』でも花見の名所として選ばれている。参拝して御朱印をいただいた。境内には、真田幸村の像稲荷社金山彦神社が祀られている。