服部緑地につらなる江坂神社

金澤成保 

 

  大阪メトロの緑地公園駅を降りると、服部緑地の「みどり」が広がり、緑陰が清々しくてとても気持ちがいい。ゴールデンウィークともあって、多くの家族連れや友人たちが、その「みどり」とオープンスペース、バーベキュウを楽しんでいた。

 服部緑地の東を南西に10分ほど歩くと、都市緑化植物園に接して江坂神社、素盞嗚尊(すさのおのみこと)をお祀りしていることから、正式名称・素盞嗚尊神社に着く。この地域の産土神として親しまれているが、境内に古墳時代の石棺が発掘されていることから、古くから祭祀・信仰の地であったことが想像される。

 この地の『郷土史』に、榎坂村垂水の広芝にあった神祠と小曽根村大字寺内のものを併合して現今の社殿としたと伝えるが、境内の老松が優に七、八百年の樹齢とみられることから、当神社の起源はそのころまでさかのぼるとしている。


 当地は早くからひらけ、摂関家から奈良の春日社に寄進された荘園・垂水西牧であった歴史から考えて、七、八百年(鎌倉時代~室町時代)以前に創祀の芽生えがあった可能性はあるだろう。

 別に伝わる記録には、神社の創立時期を元暦元年(1184)とし、古人の伝承として京都八坂神社のご分霊をお迎えし、嘉吉2年(1442)に現在地に遷座したとあるが、確認できていない。

 

 境内には、食物・稲霊の宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)をお祀りした岩本稲荷社と、ご神木石棺の蓋が祀られてある。当社に接して神宮寺であった妙心寺派の松泉寺がある。