上野の森美術館で6月6日から開催されているミラクルエッシャー展に行ってきましたので、報告します。
マウリッツ・エッシャーの生誕120年を記念し開催された本展では、世界最大級のエッシャーコレクションを誇るイスラエル博物館から選りすぐりの150点が日本初公開されています。
「『だまし絵』で知られる20世紀を代表する奇想の版画家」、「秘蔵のコレクション」などのキャッチフレーズに魅せられて、出かけてきましたが、版画一筋、熱意をもって取り組んだエッシャーの生涯とそれにリンクした彼の思いや技法が、素人ながら伝わり、興味深く鑑賞することができました。
さて、展示は八つのキーワードから見られるようになっていますので、キーワードを中心に少し感想を述べますね。
1.科学:彼の作品は幾何学的な独自の表現がなされています。科学から着想を受けています。
2.聖書:彼は若いころには、キリスト教主題の版画が多く見られます。作品「バベルの塔」はやはり、魅力的です。
3.風景:イタリア、スペイン旅行などの風景体験がイメージの源泉となっているようです。「アマルフィー海岸」は、織田裕二、天海祐希の映画でもおなじみですが、現地の雰囲気が感じられます。
4.人物:モデルは、彼自身を含む家族や近しい人が多いようですが、妻をモデルにした作品は彼女への愛情が感じられます。
5.広告:生計のために広告にも取り組んでいますが、熱心ではなかったようですね。
6.技法:彼は様々な版画技法に取り組み、それらを高度に発展、複合させて、不可思議な世界を実現しています。作品「表皮」とこの表皮のための習作や版木が展示されています。彼は作品つくりを一人ですべてをこなしたわけですが、とても興味深く、見ることができます。
7.反射:現実世界にあるモティーフ/人物像と、仮想世界としての鏡像の共存するイメージが描かれています。下記、ポストカードは「三つの世界」です。
8.錯覚:独創的な「ありえない」世界はとても面白いですね。下記、ポストカードは、「滝」と「物見の塔」です。
最後に、言葉ではうまく表現できませんが、とても興味深く、魅力的な作品が多いので、「百聞は一見に如かず」、ぜひ、上野の森美術館(~7月29日)に観に行ってください。