東京ステーションギャラリーで9月22日から開催されている「横山崋山」を観てきましたので簡単に報告します。
東京ステーションギャラリーは名前の通り、辰野金吾氏設計(創建1914年)で有名な東京駅丸の内駅舎にある美術館で1988年誕生しています。
美術館の2階の回廊からは、丸の内改札口と美術館の入り口が覗けます。
今回の企画展「横山崋山」のキャッチコピーが「かって有名であったにも関わらず、忘れ去られてしまった絵師がいます」とされていて、興味深く出かけたわけですが、予想以上に素晴らしい作品を楽しむことができました。
さて、当の横山崋山は江戸時代後期の京都で活躍した絵師です。
彼は、曽我蕭白に傾倒し、岸駒、呉春に影響を受け絵の幅を拡げ、多くの流派の技法を身につけています。それが、画題に合わせて自由自在に筆を操り、幅広い画域を現してきたように感じられます。このことが美術史において、分類しづらくしていつしか忘れ去られてしまった要因ではないかと言われています。しかしながら、ボストン美術館や大英博物館に所蔵されているなど海外で高く評価されていることから間違いなく、素晴らしい絵師だったと言えますね。
それでは、鑑賞して、感じたことをいくつか述べますね。
・「牛若弁慶図」が展示されているのですが、9歳の時に書いたとのこと。やはり、名を残す人のレベルは違うのだと実感しました!
・会場には模倣したといわれる蕭白の作品と並べて展示されていますが、模倣の域は明らかに超えており、それぞれに特徴がうかがえます。下記のポストカードの「四季山水図」も蕭白を模倣したものですが、素晴らしいですよね。建物の屋根などの水平部分の直線的なところが特徴的で彼のきっちりしたというか几帳面な性格がうかがえるような気がします。
・山水画を描く一方で、花鳥や動物も描いており、また、風俗画も多く描いていて、当時の人々の生活や興味などがよくわかります。「花見図」は民衆の楽しんでいる様子がわかります。
・「百鬼夜行図」は江戸時代の絵師がよく描いたそうですが、崋山のものはなかなか、バランスがよく、少し楽しい作品ですね。
・同じく「宝船図」は、よく見る角度ではなく、正面からの姿で特徴的であり、めでたい気分が伝わってくるように感じますよね。亡くなる少し前に描いたものだそうですが、力強い筆致ですね。
・会場には、上下巻あわせて、30メートルにおよぶ「祇園祭礼図巻」や「紅花屏風」、「唐子図屏風」などの屏風に描かれた風俗画の大作が展示されており、細かで丁寧な筆致と迫力はすごいものがある気がします。
以上、簡単でありましたが、東京ステーションギャラリーに横山崋山の素晴らしい作品群が展示されていますので、11月11日までに、ぜひ、実物を観に行ってほしいと思います。