5回目の一般質問(2017年03月09日:平成29年第1回定例会) | 温良恭倹譲~金山しげきのブログ

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生まれ育った町・奈良県桜井市で政治家になった「金山しげき」のブログです。

◯金山(登壇) 金山成樹でございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、質問させていただきます。今回は、大きく2つのテーマについてお聞きします。

 まず、鳥獣被害対策についてお聞きします。このテーマについては、ちょうど1年前の平成28年3月定例会において一般質問させていただきました。そのときの市長のご答弁によると、平成26年度、桜井市内においては、中山間部を中心に2,653万円の農作物の被害が発生しており、桜井市鳥獣被害防止計画に基づいて、農林課で対応に当たっているとのことでした。

 1点目、現在、桜井市が鳥獣被害の対応、予防のために行っている対策、市における取り組み体制、捕獲頭数並びに農作物の被害状況の推移についてお聞きします。

 2点目、平成27年度から取り組んでこられた奈良県猟友会桜井支部との取り組みについて、具体的にお聞きします。その予算と人員、鳥獣被害対策における効果をお聞かせください。

 次に、観光誘客と定住促進についてをテーマにお聞きします。

 市当局は、平成29年度予算において、観光に力を入れる方針であるようですが、観光に力を入れ、交流人口をふやす前に、やることがあると私は考えます。まだ、桜井市には観光客を迎え入れることのできる体制が十分整っていないように思うからです。

 そもそも桜井市における観光スポットの9割9分は寺社仏閣、つまり宗教法人であり、現在も年間約730万人の方が桜井にお越しになっているということですが、この観光客の人数をふやしたところで、市税として桜井市に循環する金額はかなり限られてくるであろうと考えられます。つまり、桜井市における観光は、経済波及効果が限定的にならざるを得ず、行政が取り組むのには非常にハードルが高い観光誘客であると言えます。

 一般論として、観光における自治体にとってのメリットは、つまるところ経済性にしかないと私は考えます。訪れた方に桜井市っていいなと満足いただき、ファンになっていただけるのも大変ありがたいし、光栄なことなんですが、市民の税金を使って行う観光施策である以上、観光客にいかに桜井市でお金を使っていただけるか、桜井市内の経済と産業の好循環をいかに生み出すことができるという観点が非常に重要になってきます。

 1点目の質問として、一体どこで観光客にお金を使っていただくつもりなのか、そもそもそうした収益施設が桜井市にあるのか、そして、観光による経済波及効果は幾ら見込んでいるのかをお聞かせください。

 また、市内を循環するバスは1時間に1本というような、貧弱な公共交通体系しか持っていない当市に来られた観光客がどのように観光スポットを回られることを想定しているのか。東京オリンピックに関連して、仮に外国人観光客が桜井市に来られたときに、どのような対応を考えているのかをあわせてお聞かせください。

 2点目として、平成27年に水森かおりさんが観光親善大使に、平成28年には笑い飯の哲夫さんが広報大使になられました。その結果、桜井市がマスコミに大きく取り上げたり、観光客の流入があったり、プラスの影響があったのでしょうか。その効果についてお聞きします。

 私は、今の桜井市は、観光誘客に市税を大きく投入するよりも、定住促進に力を入れるべきタイミングであると考えます。今現在、桜井市に住んでくださっている市民の皆さんが、桜井市で住まうことに満足していただけることに努力することがまず大切だと思うのです。平成28年度版桜井市統計によると、平成17年以降、毎年1,700人から2,100人規模の方が転出されている実態があります。桜井市に縁があったこれらの方々の市外への流出をできるだけ抑制することが、まず大事なのではないでしょうか。

 そこで、3点目として、平成28年3月定例会でもお聞きしましたが、桜井市まち・ひと・しごと総合戦略における定住促進のための施策と成果をお聞かせください。

 4点目、桜井市には、桜井市内で仕事も住まいも完結されている方、桜井市内に住まいがあり、市外へ通勤、通学をされている方、市外に住まいがあり、桜井市へ通勤されている方のそれぞれがいらっしゃいます。今後の桜井市への定住促進の観点から考えると、特にこの2番目、3番目の層にフォーカスを当て、桜井市での暮らしの満足度を上げ、流出を防ぎ、流入を促すことが定住促進に即効的ではないかと考えますが、市長のご見解をお聞きします。

 以上、大きく2つのテーマについてご質問させていただきました。ご答弁よろしくお願いいたします。これで壇上での質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

 

◯市長(登壇) 2番金山議員の1点目、鳥獣被害対策についてのまずは質問にお答えをいたします。

 まず、桜井市が鳥獣被害の対応、予防のために行っている対策、体制等につきまして、農林業従事者の高齢化や担い手の減少による耕作放棄地や放置山林が増加し、野生獣が誘因する原因となっておりますことから、平成27年度より奈良県猟友会桜井支部と有害鳥獣の捕獲に対する委託契約を結び、桜井市鳥獣被害対策実施隊員6名とともに対策に当たっているところであります。

 耕作物被害に対する予防の対策といたしましては、平成27年度の防止柵設置計画延長が市内に5万9,593メーターあり、年間4,000メートルの対策を講じることで、14年間で完了する計画となっております。高さ1.5メートルのワイヤーメッシュを材料とした侵入防止柵を平成27年度より被害の多い地区の1ヘクタール以上連担した農地及び受益耕作者戸数が3戸以上の集落を対象に、農業者みずからが自立施工により被害防止対策に当たる地区に年間500メーター分の材料を支給させていただいており、現在8,000メートル分の対策が完了いたしているところであります。

 取り組みの体制につきましては、平成23年1月に、有害野生獣による農作物の被害防止対策の充実強化を図るとともに、関係機関と連携のもと、総合的な被害防止体系を確立し、農林業などの被害軽減等に資することを目的として、奈良県猟友会桜井支部を初めとする6団体を会員として、桜井鳥獣被害防止対策協議会が設立をされております。

 また、平成26年8月に浅古地区の鳥見山周辺市街地に野生のイノシシがあらわれたことから、市民生活の安全確保のため、関係4課が集まり、野生獣の住環境被害等に対する対策会議を行い、住宅地に出没する野生獣の対応策については、周辺住民への注意喚起を市民協働課が、捕獲については猟友会桜井支部の協力のもと、農林課が中心となり危機管理課がサポートに回ることとなっております。

 捕獲頭数につきましては、今年1月末時点におきまして、前年度より約1.5倍の有害野生獣、イノシシ370頭、鹿191頭、合わせて561頭を捕獲しております。

 攻めの対策と守りの対策の結果、平成26年度、約2,650万の農作物の被害に対し、平成27年度では約1割軽減をされております。金額にして460万、被害面積としまして2.5ヘクタールの農地被害が軽減をされております。

 次に、2つ目の奈良県猟友会桜井支部との取り組みについての質問ですが、平成27年度から有害鳥獣捕獲委託料といたしまして、年間400万の予算で駆除依頼に対する対応、捕獲おりやくくり縄等の見回り巡回を行っていただいております。なお、現在、猟友会桜井支部の会員数は45名でございます。

 次に、鳥獣被害対策の効果等につきましては、捕獲頭数がふえることと、野生獣の侵入を防止する枠の対策を行うことで、農産物被害に一定の効果があらわれており、農業者の生産意欲につながり、耕作放棄地発生防止、新規就農者等の農業の担い手確保に効果が期待されているものと考えているところでございます。よろしくご理解お願いいたしたいと思います。

 次に、観光誘客と定住促進についてのご質問にお答えいたします。

 桜井市まち・ひと・しごと創生総合戦略における基本目標の一つとして、市外からの来訪を促し、定住を促進すると定めており、観光の振興と交流人口の拡大を目指し、さまざまな取り組みを行っているところであります。市民の満足度を上げると同時に、人口減少にも対応するため、さらに町の魅力を高めることが必要であると考えております。

 議員お尋ねの1点目ですが、市内の収益施設は、宿泊施設や観光関連のお土産、飲食などの店舗と考えております。現在、観光関連事業者等で組織されておりますおもてなし仕組みづくり協議会には、113の団体、事業者が加入されています。その経済波及効果については、数字として試算することは難しいと考えておりますが、将来、インバウンドも含め、来訪者の増加により、来店者数、売上額などが増加し、その波及効果を実感していただけるように、今後とも積極的な誘客に努めてまいりたいと考えております。

 また、市内には国内外に誇れる寺社等が数多く点在しますので、まずは点から線となるルートの形成を行い、コミュニティバスにおいては、桜井駅を起点とし、各方面に移動ができるよう工夫や改善を行いたいと思っております。

 さらに、大和さくらいブランドにも認定されました記紀万葉ふるさとめぐりツアータクシーなど、官民連携をした取り組みもあわせて行ってまいりたいと思っております。

 なお、従来の寺社仏閣だけに頼る観光ではなく、新たな観光をつくり出す必要があると考えており、大神神社参道周辺地区や長谷寺門前町周辺地区、桜井本町通りなど、景観整備を行うことにより、町を見て歩く観光や、纒向遺跡、相撲神社、桧原神社を結ぶ新たなルート形成、オーベルジュを中心とした安倍地域の農業と観光を結合した新たな観光拠点をつくっていければと考えております。

 また、新年度では、訪日外国観光客の受け入れ観光整備にも取り組むべく、予算計上をいたしております。

 次に、2点目の観光大使と広報大使についてでありますが、水森かおりさんの「大和路の恋」のヒットに伴い、NHKやBSなどの歌謡番組などに多数出演され、全国的なPRを行っていただきました。また、笑い飯の哲夫さんも、地元桜井市のためにメディア出演時に桜井市の話題を出していただき、各方面でPRを行っていただいております。まずは、桜井市の知名度を高めることが大切であり、その効果は非常に大きいものがあると考えております。

 次に、3点目、定住促進のための施策と成果についてでありますが、市内にお住みの方々に引き続き定住していただき、かつ、市外から移住を促すためには、桜井市の魅力を最大限にアピールし、かつ、定住者に住みよさを実感していただく必要がございます。そこで、定住促進では、大都市圏における移住説明会や移住体験ツアーを行い、市外からの人及び市内からの人口流出に歯どめをかけていきたいと考え、現在実施しているところであります。成果については、今年度開催した移住体験事業として、東京の奈良まほろば館での説明会に54名、桜井市の移住体験ツアーには13名の参加を得ました。市内での定住効果については、複数年度にわたる人口動向を見て判断する必要がございます。今後、人口動向を分析し、判断していきたいと考えております。

 4点目の今後の定住促進の考えについてですが、桜井市は、大阪市まで40キロ圏に位置し、ベッドタウンとして大阪などの都市圏に通勤、通学されている方が多数おられます。また、逆に、市内の事業者や高校に通勤、通学されている方々もおられます。市内在勤、在学の方や市外に通勤、通学されている方をターゲットに置き、定住促進を図るということも効果があるものと考えております。特に大学進学や就職、結婚により、地元を離れる若者が多いことから、今後は、定住促進に力を入れて取り組んでまいりたい、そのように考えているところであります。ご理解よろしくお願いを申し上げます。

 以上でございます。

 

◯金山 ご答弁ありがとうございました。まず、1つ目の質問の1点目に関してなんですけれども、前回お聞きしたときよりも1.5倍以上の捕獲数があるということを率直に評価したいと思います。また、攻めの施策と守りの施策ということで、田畑を守ると同時に、メーンとなる獣害を減らしていこうという取り組みは評価させていただきたいと思います。

 あわせて、この猟友会の協力の件も、そうやって実際に561頭という結果が出ているのであれば、非常に効果があったのかなと思います。

 その中で、前回、私が一般質問をさせていただいたときは、農林課のみで鳥獣害対策を行っておられたように記憶しております。今回お伺いすると、住環境被害を中心に、市民協働課、そして危機管理課等と連携をとりながら当たっていただいているということでございます。これも率直に評価させていただきたいと思います。実態に沿った対応だと私は考えます。

 また、桜井市には三輪山があります。三輪山は、大神神社の神域でもあり、当然、殺生は禁じられております。多くの鳥獣の通り道になってしまっているとも聞きます。なかなか調整が難しい部分もあると思いますけれども、近隣住民の生活の安全を守るために、さらなる工夫をしていただきたいと要望します。

 さて、先ほどお聞かせいただいた対策を続けたとしても、10年後、20年後には桜井市東部、南部を中心に、やはり、その自治会を中心に住まう人がより少なくなってしまい、高齢化が急激に進行することが考えられます。そうなれば、耕作放棄地もふえ、さらに鳥獣が平地におりてきてしまい、マムシも出てきて、鳥獣被害がより拡大することも容易に想定できるところです。

 市長は、桜井市全体としては、多極ネットワーク型コンパクトシティを目指しておられ、中山間地域には小さな拠点をつくるとおっしゃっておられますが、果たしてその未来像で桜井市の中山間の美しい風景を守れるのか、中山間地域にお住まいの住民の生活を鳥獣害から守れるのか、高齢化の波から維持できるのか、市長のビジョンを含めてご見解をお聞きします。

 

◯市長 これからの人口減少社会に対応して、都市の機能を維持するため、現在お述べをいただきました多極ネットワーク型コンパクトシティのまちづくりを進めているところであります。

 中山間につきましては、この中心市街地と公共交通のネットワークで結ばれた小さな拠点を形成して、今後も住民が安心安全に地域で暮らすことのできるよう、まちづくりを行っていきたいと考えております。

 ご懸念いただいておりますとおり、中山間については、課題が山積しております。このままでは立ち行かなくなることは目に見えていると思います。中でも、中山間の集落機能が落ちますと、耕作放棄地や放置山林が増加をして、野生獣を引き寄せ、鳥獣被害が増加する要因となると、そのように私も思っているところであります。

 中山間の集落の荒廃を防ぎ、住民の皆さんに対する行政サービスの質を落とさず、安心して暮らしていただくためには、私は、この多極ネットワーク型コンパクトシティと小さな拠点のまちづくりしか行く道はないと、そのように考えているところであります。

 都市のコンパクト化と中山間の機能を集約化し、維持することで、行政効率を高め、金や人などの資源を課題の解消に充てていきたいと考えております。中山間地の美しい風景を維持し、住民の暮らしを守るため、今後もこれらの取り組みを進めてまいりたい、そのように考えているところであります。以上でございます。

 

◯金山  ご答弁ありがとうございます。問題意識が共有できていることで、安心いたしました。一方で、やはり、こういう中山間の、特に桜井市は6割が山になりますので、その山間部の集落を守ることが、鳥獣害の被害を抑制することにつながってくると思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 次に、観光誘客と定住促進についてのテーマに移ります。1点目についてです。先ほど、私の1点目の質問に対して、市長のほうから、市内の収益施設に関して、桜井市にはおもてなし仕組みづくり協議会があって、113の団体があるとお答えいただきました。その113の団体を初めて来た初見の観光客が来たときにどうやって知るのかを教えてください。

 

◯まちづくり部長 ただいまのご質問にお答えさせていただきます。現在、おもてなしの仕組みづくり協議会では、来られた方にその113の宿泊施設、食堂あるいはお土産物屋さん、こういったことがどこにあるのかを知っていただくためのパンフレットを作成しております。それにつきましては、そういった宿泊施設等、あるいは食堂等、入っておられる、加盟しておられる団体の方に配付をさせていただいて、また、そこには幾つか回っていただいたらポイントをためて、また景品が当たるような仕掛けもつくりまして、市内を回っていただく、あるいは最後にお土産を買っていただくというふうなことでできるような仕掛けを現在やっていただいております。以上でございます。

 

◯金山 ぜひ、加入していただいているところだけではなくて、例えばウェブで公開するとか、もう少し訪れる前に手に入れるようなことができるような仕組みをぜひ研究していただきたいなと、これは要望とさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 あわせまして、先ほど点から線、バスの交通網をこうするとかいうふうに市長のビジョンを語っていただきました。私もぜひそうしていただきたいと思います。

 私、今回この観光誘客について反対しているわけでは、当然ないんですけれども、タイミングが早いんじゃないかと申し上げているだけでございますので、その点はあわせて理解いただきたいと思います。私個人の実感としては、お話を聞きながら、まだもうちょっと、やっぱり時間がかかるのかなというふうに感じさせていただきました。それも含めてお伝えだけさせていただきたいと思います。

 2点目に関してなんですけれども、先ほどお答えいただきました水森かおりさんと哲夫さんの件でございます。こちらの件ですけれども、桜井市としては報酬は出ていないというふうに聞いておりますけれども、効果測定のほうを桜井市のほうでされておられるのか、市長または担当部局のほうからお聞きしたいと思います。

 

◯まちづくり部長 水森かおりさんの観光親善大使なり、哲夫さんの広報大使、任命をさせていただいておるところでございます。水森かおりさんにつきましては、1年間ということで、テレビ、ラジオ、BS等に出ていただくということで、そういったことにつきましての回数等、勘定させていただいておりますところですが、視聴率何%でどれぐらいの方が見ていただけるかというふうなことも、プロダクションのほうからはお聞きもさせていただいて、改めてそれだけのアピールをするのを桜井市が独自に予算をかけてすることと比べますと、非常に効果は大きいということで聞かせていただいております。ちょっと今、手元にその数字がどうかということは資料ございませんけれども、そういったことで、特に年末、日本歌謡大賞、レコード大賞、それから紅白歌合戦ということで、「大和路の恋」を歌っていただきましたので、その効果は非常に大きいなというふうに思っております。

 また、哲夫さんのほうにつきましても、いろんなところで広報活動ということでしていただいておりまして、ちょっとここについての具体的なものは今持っておりませんけれども、こちらについては1年ということではございませんので、これからさらに引き続き活動していただけるということで、効果を期待しておるところでございます。

 以上でございます。

 

◯金山 市としては、ぜひそういう効果測定、できる範囲でしていただきたいなと思います。例えば桜井市の市役所の中ででも、きっとスクラップ、桜井市にかかわる新聞の切り抜きとかされているところもあるかもしれませんし、少なくとも桜井市図書館でも、桜井市に関する記事は記録されています。それをピックアップするだけでも、やはり、効果測定という意味で意味があるのかなとは思います。

 なおかつ、やはり、市民の目からすると、期待されていると思うんです。そうやってアピールしてくれていると。松井市長のときに、そうやって哲夫さんが広報大使をされて、水森かおりさんがされて、桜井市はもっと知られるのかなと期待されている部分があると思いますので、そうした部分、できる範囲で、労力のかからない程度に、ぜひカウントしていくのは無駄なことではないと思いますので、申し添えさせていただきます。

 3点目です。私、先ほど、桜井市には桜井市内で仕事も住まいも完結されている方、桜井市内に住まいがあり、市外へ通勤、通学をされている方、そして、市外に住まいがあり、桜井市へ通勤、通学をされている方の大きく3つの属性の方がいらっしゃると述べました。

 桜井市内で仕事も住まいも完結されている方は、地域の区長や自治会長を通じて、桜井市へ要望を届けるという方法があります。一方、桜井市内から桜井市外へ通勤、通学をされている方、市外から桜井市内へ通勤されている方の要望は、当然ながらなかなか市として酌み取れない、把握できない部分が多いのではないでしょうか。

 その一例として、小さな例かもしれませんが、2つの事案を紹介させていただきます。

 昨年12月中旬の朝、私は、桜井市の駅前南口におりました。その際、駅前の地面のれんがが何カ所も剥がれ、ヒールを履いた若い女性が何人かつまづかれているのを目撃しました。そこは桜井市の管理地だったので、私は、すぐに都市計画課に相談して、簡易な修繕をしていただいたのですけれども、通勤される市民の方、桜井市を初めて訪れる観光客の方がどう感じるだろうと想像するだけで、私は恥ずかしい思いがしました。ちょうど年末でしたので、年末年始の乗降客の多いときに、例えば駅前の通路がそのままの状態だったら、そこで転んでけがをされる方が出たら、こんな小さなことで桜井市にがっかりされるような方が出たらと考えると、私は危機感を感じました。

 また、本年2月、大和朝倉駅へ行く用事があり、慈恩寺区の墓地前を通って大和朝倉駅へ向かう南側の細い市道を徒歩で歩いていたのですが、道路が割れているなど、かなり荒れた道路の舗装状況でした。こちらもすぐ土木課に相談し、修繕を依頼しました。

 当然、私のような議員も桜井市内をくまなく歩き回って、常にアンテナを立て、気づく努力を重ね、市当局に気づいたことを伝えていくべきだと感じると同時に、願わくば、ぜひ市当局や職員においても、市民の隠れた要望にいち早く気づいていただきたいと考えます。

 というのも、市長もおっしゃるように、定住促進、そして観光が進むにつれ、サイレントマジョリティーというか、物言わぬ多数派というか、そういう市民も確実に桜井市内にはふえていくと思います。区長や自治会長から来る各地域からの要望に加え、そうしたサイレントマジョリティーの要望を先んじて読み取って、言われる前に未然に対応する努力を市当局にはしていただきたい。今も現場の職員の方は、市内各所で市民のために汗をかいていただいているとは思いますが、その地道な努力の量が桜井市への定住につながり、人口の流出防止にもつながるのではないかと考えますので、さらに頑張っていただきたい。市長または担当部長にご見解をお聞きします。

 

◯市長 議員お述べのように、駅前広場や朝倉の例も挙げていただきましたが、市道を利用される方の通行の安全を確保することは、通報や要望の有無にかかわらず、非常に大事なことであると、そのように考えております。このことから、日常的に各施設を管理する職員によるパトロールを実施して、危険と思われる箇所につきまして、その都度修繕を行っている状況にありますが、管理範囲が広く、利用者による通報により対応することが多い現状にあります。今後、パトロールの強化に努めてまいりますとともに、特に桜井駅前周辺につきましては、来年度に策定を予定しておりますバリアフリー基本構想に基づき、駅周辺の面的なバリアフリー化を進めることとなっております。通勤される市民の方、桜井市を訪れる観光客の方が快適に駅を利用していただけるように、桜井市の定住につなげていけるよう努めてまいりたいと思います。

 そして、サイレントマジョリティーの要望の読み取りについてのご質問についてであります。物言わぬ多数派、いわゆるサイレントマジョリティーの皆さんが感じておられる要望を読み取って、市に反映することで、ひいては定住につながり、人口の流出の防止につながるとの議員の考えは、私も同じように思っているところであります。今後、私を初め、職員がアンテナをしっかりと立てて、気づく努力をすべきだと改めて感じた次第であります。

 これらの目に見えぬ要望や意見について把握するためには、やはり、市民や来訪者の声に耳を傾け、また、各現場において異変がないかどうか目配りすることを常々心がけていかなければなりません。具体例を挙げていただきましたが、今後は、これらを教訓として、仕事を進めていく上で物言わぬ多数派の方々の思いを酌み取って、私が先頭に立って頑張っていかなければなりませんが、これはおっしゃったように、常々の、日ごろの心構えであると、そのように思っておりますので、今いただいた提言、しっかりと胸に受けとめて、職員ともども頑張っていきたい、そのように考えております。

 

◯金山 今も現場では、本当に頑張っていただいていると思うんですけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。やはり、これからは、今後10年後、20年後、よく市長おっしゃっていますけれども、直接言ってきていただけない、多分黙って去っていってしまう方もふえてくると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 さて、桜井市の発展のために、行政は産業構造を緩やかに変え、新たな産業を生み出す努力をすると同時に、木材、三輪そうめん、皮革産業など既存の地場産業の振興を図って、民間活力を生かし、市内経済の活性化に努力せねばならないと私は考えます。同時に、企業誘致を初め、市内企業に呼びかけて、市内に多くの雇用を生み出す努力をせねばなりません。

 桜井市では、近年、イオンの撤退がありましたが、それも含めて、市内への企業誘致の現状と施策を具体的にお聞かせください。

 また、近年における木材、三輪そうめん、皮革産業を初めとする地場産業の振興における桜井市の取り組みとその効果についてお聞かせください。

 

◯市長 まず、企業誘致の現状についてでありますが、出店面積は、中和幹線沿道大福地区における全体計画面積の17万2,400平米に対し、約20%にとどまっております。また、これまでイオンリテールが出店を計画していたエリアにつきましては、昨年12月にイオンリテール側より、イオングループの商業施設出店については断念せざるを得なくなったと、しかし、自社が紹介した新たな企業とともに、商業施設の誘致に向けて協力するとの報告を受けております。残りのエリアについても、複数社から問い合わせが寄せられているものの、現段階ではいずれも契約締結には至っていない現状にあります。こうしたことを受けまして、昨年12月議会でご承認いただきました中和幹線沿道大福地区の企業誘致条例を5年間延長させていただきました。

 次に、地場産業の振興における取り組みについてでありますが、三輪そうめんにつきましては、昨年3月に農林水産省が実施しております地理的表示保護制度G1マークの登録を果たすとともに、東京や大阪において、三輪そうめんのブランド力の向上と消費拡大を目指し、大々的なイベントを実施していただいております。また、来年3月には、全国そうめんサミット2018の開催も決定していただいております。

 次に、木材産業につきましては、桜井市福祉保健センター「陽だまり」や新消防庁舎への奈良県産木材の利用を行うとともに、桜井木材協同組合と連携して小学校への木製机と椅子の配置を進めております。また、市内製材木材等利用促進事業奨励金制度による住宅の新築等に対する奨励金の交付を行い、木材の活用を図る取り組みも実施しております。

 皮革産業につきましては、地場産業見本市等への出展に対しての補助や先進地の視察、講演料の実施などの取り組みを行っております。

 このように各業界とともに連携を図り、地場産業の振興に向けた取り組みをさらに進めることが必要であると認識をいたしております。ご理解よろしくお願いいたします。

 

◯金山 そういう取り組みも数多く、率直に評価したいと思います。あと、松井市長は、なられてから、三輪そうめんにおいても販売協議会ができて、大きく動いておられると聞きますので、それもまたぜひ頑張っていただきたいと思います。

 ただ、その雇用を生み出すために、市当局のほうでどのような施策を行っておられるのかをあわせてお聞かせください。

 

◯市長 雇用を生み出すためには、まず、新たな企業を誘致することが必要不可欠であるとともに、特に中和幹線沿い大福地区における企業誘致については、早期に実現を図る重要課題であるというふうに認識をいたしているところであります。

 また一方では、市内の地場産業のみならず、市内の中小企業が元気になり、活性化することも必要であるとともに、新たな起業家を生み出すための創業に関する支援も雇用の創出につながるものと考えております。

 創業支援につきましては、商工会や金融機関等と連携を図り、創業支援事業計画を策定して、積極的な取り組みを進めるとともに、今年度、新規創業者に対しての融資利子補給制度を拡大し、現段階で6件の利用がありました。

 今後も中小企業や起業を目指す方に対する各種融資等の支援情報の提供や経営相談を実施するなどの取り組みを商工会等の関係機関との連携を図り、推し進めてまいりたいと思っております。

 今、まちづくりが進んでおりますが、それらのまちづくりをなお一層進めることによって、そして、企業も、いろんな意味の企業があると思いますが、やはり、にぎわいを中心とした中で企業誘致も図りながら、雇用を図っていきたいな、そのように考えております。

 

◯金山 ご答弁ありがとうございます。ぜひその施策も含めて頑張っていただきたいと思います。先ほど私がご質問した3点目、4点目の定住促進と、あと市外への流出を防ぐことにも、この雇用を生むというのがつながってくると思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 桜井市を長年支えてきた木材、三輪そうめん、皮革産業においても、一朝一夕で産業として成り立ったわけではありません。それこそ100年、200年という時間をかけて、先人たちの知恵と努力が積み上げたものです。桜井市としても、10年、20年先を見越して、新たな産業の種をまき、芽を育て、次代へつなげていく営々とした努力が今必要であり、重要であろうと私も考えます。

 そういう意味でも、先ほど市長にお答えいただいた創業支援の取り組みは大いに評価させていただきますし、スクラップ・アンド・ビルドを繰り返しながら、しかも近年のニーズの移り変わりは年々早くなっているので、スクラップ・アンド・ビルドを高速で繰り返しながら、つくったり壊したりというのを繰り返しながら、よりよい枠組みをつくり上げて、民間活力を行政が効率的に後押しできるように、そして、桜井市全体の活力にしていただきたいと考えます。これは要望とさせていただきます。

 さて、私は、昨年の6月議会において、健康寿命を延ばすための桜井市の取り組みについての一般質問をさせていただきましたが、今やテレビ、新聞でも健康寿命を延ばすための具体的な取り組みが数多く紹介されています。

 高齢化が急速に進展している時代背景もあるでしょうが、ウォーキングやランニング、体操、ヨガなど、自主的に運動に取り組まれている方もどんどんふえていますし、食事内容に気を使う方もふえています。また、食事内容をアドバイスしてくれたり、運動強度を自動ではかったりするスマートフォン用の無料アプリも若い層を中心に浸透し、老若男女を問わず、今、健康に対する関心が非常に高まっているタイミングであると考えます。

 一方で、世界全体を見渡せば、年々進んでいく地球温暖化のため、海面の上昇、北極の氷も年々大きく減少を続けています。その中で、特に喫緊の課題と言えるのは、大気汚染の激しい隣国、中国からのPM2.5の日本への飛来です。数年前には、テレビでも連日報道され、サージカルマスクなども飛ぶように売れましたが、今は比較的報道も落ちついていますが、決してPM2.5の日本への飛来が終わったわけではありません。特に、昨年の12月16日、中国北京で大気汚染警報としては最も重い赤色警報が発令され、20日には北京におけるPM2.5の値が日本の環境基準の10倍以上にもなったと報道がありました。ちなみに、中国では、年間約100万人の方がPM2.5による健康被害の死者が出ていると聞いております。

 PM2.5は、国内の都市部工場や自動車の排ガスも大きな要因となりますが、偏西風に乗って中国から飛来してくる越境汚染も大変多いと聞きます。奈良県では、平日の午前中、毎日PM2.5の速報値を公開しています。少しこちらのパネルをごらんください。

 

 

 これは、奈良県の環境政策課からご提供いただいた資料なんですけれども、こちらは、年間の年平均値のPM2.5のマイクログラム毎立方メートルの値が示されています。年平均値なので、多いときと少ないときがあるわけですけれども、こちらは順位が低いほうがいいんですが、都道府県別の年平均値では、奈良県は49都道府県中28位、岩手県や滋賀県、和歌山県と同じレベルです。比較的空気がいいと言えると思います。

 また、このほかに、奈良県が公開しているデータで、各局の空気のきれいさをはかっている、PM2.5をはかっている速報値というのがありまして、微粒子状物質PM2.5の測定結果というのを公開されています。これは奈良県管理の局が全部で、私の知っている限り6つありまして、生駒局、王寺局、御所局、桜井局、天理局、大台局とあるわけですけれども、桜井局の数値を見ますと、ほかの局に比べ、やはり、さらにPM2.5の数値が低い、いわば空気がきれいだという結果が出ています。

 私は、過去に大阪や東京で10年間、民間企業で働いておりましたが、大阪や東京に比べ、生まれ育った桜井市は、何となくですけれども、空気がきれいだなと思っておりました。そういう感覚値は持っておりましたが、こうして具体的なデータを見て、私自身納得感が深まりました。もちろん、このデータが全てではありませんし、ほかの指標もあるかもしれません。ぜひいろいろ研究していただいた上で、定住促進を進めるに当たって、世代を超えて健康志向が高まる中、こうした空気のきれいさという切り口もつけ加えてアピールしてみてはいかがでしょうか。

 若年層に向けては、通勤もでき、空気のきれいな桜井市で子育てしてみませんかとか、年配の方には、歴史豊かな空気のきれいな場所でとか、いろいろあると思うんですけれども、そうしたやり方はあると思います。市長または担当部局のご見解をお聞きしたいと思います。

 

◯市長 桜井市の魅力は、歴史文化の発祥の地として数多くの歴史資源に恵まれているというのとともに、豊かな自然環境に恵まれていることであると思っております。

 議員ご指摘のとおり、健康に対する国民の関心が高まっている中で、私も大都市にはない空気のきれいさが定住促進に際しての大きな売りになるのではないかというふうに思います。特に子どもたちが健やかな環境で育つためには、空気のきれいさについては、今後ますます注目されてくるものではないかと思います。

 具体的なデータとしてPM2.5の測量値を出していただきましたが、これは豊かな自然環境に恵まれた桜井市を改めて数値で裏づけるものであると思います。定住促進を進める上で、京阪神都市圏にアクセスしやすく、かつ、空気がきれいな自然環境に恵まれていることは、大きなアピールポイントとなります。今後、空気のきれいさ、住環境のよさをアピールポイントに加え、定住促進の中で情報発信を行っていきたいな、そこにプラス、災害のない桜井市だというのも売りに出していきたいなと、そのように思っているところであります。以上でございます。

 

◯2番(金山成樹君) また、やはり、桜井市は、先ほどの一般質問でもありましたけれども、限られた財源、限られた人的リソース、そして厳しい外部環境の中で、桜井市が取り組む以上、観光誘客も定住促進も同じように効果の高い、意味あるものにしていただきたいと要望します。

 特に観光誘客に関してですが、私から1つ提案をさせていただきたいと思います。過去に桜井市は、今まで歴史や伝承、いわれを地区別にまとめた冊子を発行してきました。私が把握している範囲では、最新のものは、長谷川明市長のときに、栢木喜一先生のもとで編さんされた「桜井風土記」、堀井孝昭先生による「わがまち桜井」の2冊は、市制40周年に当たる平成8年に発行されたものですが、それが最新であると理解しています。つまり、平成8年以降、新しく桜井市はみずからの歴史を体系的にまとめていません。

 桜井市が誇る資産は、歴史文化です。「桜井風土記」から既に20年以上たち、市制60周年も昨年迎えた今、新たに桜井市をさらに深く知っていただけるように、さらなるファンをふやすために、そして、桜井市自身がみずからの歴史文化を大切にしていることを発信するためにも、歴史文化を体系的にまとめた冊子をつくってみてはいかがでしょうか。

 例えば「桜井風土記」には、纒向遺跡周辺の記述としては、纒向珠城山遺跡の記述のみで、当時発見されていなかった纒向遺跡のくだりは、当然ありません。また、ほかにも新たな発見、知見もあり、盛り込むべき情報は多いように私は考えます。さらに、合併前の町村の情報にも改めて光を当て、編さんしてみてはいかがでしょうか。

 昔は、桜井駅前には若草書店があり、そこで桜井市関連、また歴史関連の書籍コーナーがありましたので、観光客も市民も気軽に購入することができました。私自身、社会人2年目に「桜井風土記」を書店で手にとり、桜井市が持つ歴史の奥深さを感じることができました。

 きっと今桜井に住んでいる市民も知らないことが、そのままでは埋もれてしまうようなことがたくさんあると思います。もったいないと思います。世代間の知識の濃淡をなくすためにも、知識の断絶をなくすためにも、今のうちに年配の方々が持っておられる桜井市の歴史や文化、いわれなどを全て集約し、新たな知見などを含めて整理し、桜井市がそうした書籍を編さんすることは大変意味あることだと私は考えます。そして、しっかり料金を取ればいいと思います。1,000円か2,000円ぐらいで販売するのです。

 その際、今、「わかざくら」でも展開されているように、過去の写真なども整理し、ビジュアルも含めて時系列で並べ、次世代に伝えていくこともあわせて有意義なことではないでしょうか。

 各世代に人気のある松井市長のうちに、市内全域に写真や資料、情報の提供を呼びかけ、有識者の皆さんの編集委員会をつくり、情報の真偽を厳選し、後世にとっても資料性の高い正確な本をつくってはいかがでしょうか。市当局しか持っていない情報もきっと多いと思います。そして、ぜひ早いタイミングで実現していただきたいと考えます。市民だけでなく、きっと歴史ファンを初め、桜井市を初めて訪れる方にも喜ばれる事業になると私は考えます。そうすることで、桜井市がより味わい深くなり、リピートする観光客もふえる可能性もあると私は考えます。

 また、駅前周辺でそうした歴史本、関連本を気軽に購入できる環境をつくることも、市当局は、これから観光に力を入れるのであれば、重要な施策の一つになると考えますが、ぜひ研究を重ねていただきたい、遠慮せず、お金を出して買っていただければいいと思います。ぜひこれは要望とさせていただきます。

 観光も定住促進も、効果はすぐにはかれないものではありますが、その分、ごまかしはきかない部分でもありますから、やるからにはぜひ市長以下、必死になって頑張っていただきたい。そして、成功させ、桜井市を元気にするきっかけにしていただきたい。それをくれぐれもお願い申し上げ、強く要望させていただきながら、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。