町内飲食、宿泊条件に行政視察受け入れ | 浜野しげきオフィシャルブログ「伊根の舟屋|しげきのある町づくり!浜野しげきのブログ」Powered by Ameba

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京都府伊根町議員 3期目(現在:第14代 議長)。みずほ保育園/朝妻保育所・朝妻小・伊根中/宮津高校/伊根町役場/(株)油屋・NPO法人いー伊根っと/を経て現職

伊根町の政策観光の論文?が

財団法人地域活性化センターの発行する「地域づくり」に掲載されました
Salesman Blog(伊根町のセールスマンのブログ)-伊根町 政策観光

~町内飲食、宿泊条件に行政視察受け入れ~ 伊根町総務課企画係 主査 濱野茂樹


1 伊根町の経済・産業の状況や問題点
「日本で最も美しい村」連合に加盟する伊根町は、京都府北部の丹後半島の北東岸に位置し、町の東部から北部は日本海に面し、南部は宮津市、西部は京丹後市に隣接している。
伊根町は、地勢的に683mの定高性のある比較的険しい山並みと、これを刻む中小河川及びその沖積低地、さらに断層海岸からなる変化に富んだ海岸線があり、自然と歴史、伝統に包まれた風光明媚な地域である。また、美しい海岸線のわずかな平地に漁業集落があり、府下有数の漁業の町を形成している。
また、平成17年7月に漁村として全国で初めて国の「重要伝統的建造物群保存地区」の選定を受けた全国的にも有名な「舟屋」の景観が保存されている。さらに、「浦島太郎伝説」「徐福伝説」をはじめとする民俗芸能、衣食住にかかわる有形・無形の文化財など多くの資源がそのまま残された町である。
しかしながら当該地域は、日本全国の他の多くの地域と類似する過疎の農村・漁村地で、人口は昭和の合併(4村)時に7,653人だったが、現在では2,597人と半分以下に減少し、今なお減少傾向にある。高齢化の進行も激しく、65 歳以上の人口が全人口に占める高齢化比率は、全国平均の20.1%を大きく上回る41.6%に達している。
近年は、京都縦貫自動車道等の延長により、京阪神地区との時間的な距離は縮まっている面もあるが、域内での交通網はまだ未整備な部分が多く、大都市部から遠隔地にあるハンディは解消されていない。交通網以外にも通信、健康、医療等の社会インフラの整備が遅れ、都市部との経済格差が拡大している。伊根町の所得額は平成14年と平成20年を比較すると約1割減少している。
過疎化・高齢化の進展によって、いわゆる限界集落が増加するなど、地域活力の衰えが顕著に目立つ事態に陥っている。
これらすべての問題を解決するためには、財政的な援助を活用しながら地域における経済活動を建て直し、それによる利益の再投資に基づく継続的な発展を可能とする正循環型の経済活動基盤を構築することが、最も有効な手法である。
こうしたことから伊根町では平成20年度から従来からの目線をリセットし違う目線での事業展開に取組むこととした。
例えば、ふるさと納税の積極的促進から展開したツイッター及び同窓会促進事業、町有の消防自動車・霊柩車を売却した官公庁オークション、官公庁オークションを進化させたエコリューション事業、行政が主催する婚活、空き家バンク等があげられる。
同窓会促進事業は同窓会の幹事を町がサポートし町内業者を利用いただくことで地域の活性化を図り、かつ、同窓会会場等でふるさと納税や定住施策についてPRさせていただく事業であり、昨年度から実施している。
エコリューション事業は、住民の家庭や地区に眠る多くの不用品を希望により、官公庁オークションに出品し、落札代金相当分の商品券を交付することで、町内の地域経済の活性化を図るとともに、将来的に排出されるであろうゴミの減量化を図ることを目的にして実施している。
少子高齢化、過疎化が進む中、未婚男女の増加は、少子化の大きな要因であり、定住促進対策の観点からも当町にとっては、未婚率を引き下げることが大変重要な課題である。このことから、結婚意欲を持った未婚男女に、少子化対策および定住促進、コミュニティの活性化を目的として出会いの場を提供し、現在まで2回開催し参加男女40組中12組のカップルが成立している。


2 視察導入の経緯や目的、仕組み
前述の事業を企画・実施するたびに新聞紙上・テレビ等を通じて世間の注目を集めることが次第に多くなり、政策に対する問い合わせが多くなってきた。
そこで、前述の政策を活かした地域振興ができないか考えるようになり、平成21年7月に視察申込の窓口を総務課企画係に一本化し積極的に視察を受け入れるため、行政視察受け入れ窓口を設置した。
この窓口は、政策を活かした地域振興はもちろんのこと、その政策の目的・有効性等について資料としてまとめ、かつ説明することによる職員の資質向上、すなわち公務員として必要不可欠な説明責任能力の向上を図ることを目的としている。
地域振興については、一つの考え方として先ほどのどの事業にも共通しているが、地域内流通=地域振興としてとらえている。そのため、行政視察受け入れ窓口では、政策(視察)を観光資源としてとらえ視察受け入れ条件を設けている。
全国には視察資料代を有料化されている自治体や視察料を取っておられる自治体もあるようだが、そういった費用は町の収入として受け入れられ間接的にでしか地域には流通しない。地域に直接的に流通するには、単純に町内企業を利用いただくことである。そこで伊根町では視察条件として、必ず町内での飲食または宿泊の利用をお願いしている。
その施設の利用斡旋については伊根町観光協会を窓口としている。これは事務の簡素化を図るためと、観光協会の営利及び将来における顧客の囲い込みのためである。つまり、視察へ訪れていただいた方が、視察の後、ご家族・ご友人と伊根町へ観光でお越しいただいた際へのスムーズな受け入れのためである。
また、行政視察受け入れ窓口の設置効果がすべてとはいえないが、政策が注目を集めていることにより、ふるさと納税等に波及し大きな経済効果をもたらしていることはいうまでもない。


3 視察の実績、活性化の効果
平成21年7月に行政視察受け入れ窓口を設置後、わずか1年足らずの間に150人以上の方が単純なる視察目的で伊根町を訪れていただいている。
視察受入実績は次のとおり。(順不同)
岡山県奈義町議会、同県玉野市議会、長野県中川村議会、北海道紋別市議会、群馬県吾妻郡町村会、京都府自治振興課、同府向日市議会、鳥取県三朝町議会、秋田県町村会、長野県高山村議会、京丹波町産業振興課、宮津商工会議所女性会、長野県高森町議会、三重県大紀町議会、熊本県南小国町議会


4 今後の方針
「いつも土を耕しておけば、いい種が入ったときすぐに芽が出る。日頃の手入れを怠っていると、せっかくの種がまかれても育たない。常に土を耕すことが大事」
この言葉にあるように、本事業が好評なのも常にいつも既存政策を検討・手直しするとともに新たな課題に対処する政策を企画・立案していることである。
今後も継続して本事業を実施していくのはもちろんのこと、政策観光で訪れていただいた方が視察後にご家族・ご友人とプライベートで観光に訪れていただけるような次のステップを用意していくことが必要と考える。



い~伊根っGOOD。