【しがらみお嬢の奮闘日記】第12話 うちのお墓まいり

 

 我が家は田舎の代々続く没落旧家。父の死をきっかけに跡継ぎとなるが、いろんなしがらみに大奮闘!

 

 今回のお話はお墓参り。

 

 うちは古くから代々続く本家になるので、もちろん墓がある。墓石を購入し、お墓を建てて、そこに何人か入っているというそういうシンプルなお墓ではない。もう既に何十人も入っていて、これがエレベーターなら完全にブザーが鳴っているだろう。っていうぐらいたくさん入っている。

 

 それだけでなく、そのほかに水子のお墓や戦没者のお墓なんかもあっていろんなところに点在しているので、お参りする時には1件1件順番に回ることになる。それではこの複雑な我が家のお墓詣りの手順を披露しよう。

 

 まず、うちのお墓は山のてっぺんにある。最近の墓地のように坪で購入し、管理者を建てているようなきちんとしたお墓ではなく、区が無料で開放しているお墓なので管理者もいないし、草引きは自分たちですることになっている。そして山のてっぺんにあるが、車は入れない。だから歩いて登る。

 

 子供の頃はちょっとしたピクニック気分で父と一緒に登っていたけれども、年齢とともに登ることがきつくなってきた。お彼岸の頃ならまだ我慢ができるのだた、夏の暑いお盆の頃に山の頂上となってくると、もう登りきったころには心筋梗塞3秒前って感じで「このままお墓にはいるのかなぁ?」と思う時がある。

 

 家族の間で、お墓を山の上からもっと便利で行きやすい所に変更しようか?という意見があったのだが、戦没者のお墓は政府からのプレゼントでとても頑丈に作られているので移築するのにとんでもない費用がかかるので計画倒れになってしまった。

 

 やっとの思いで登りきると、次に待っているのはお墓の草引き。これは父やおばあちゃんも毎年していたようだが、私の代からはできるだけ簡素化することにした。除草剤はお墓にまくことが厳禁とされているのでをまくことにした。年に数回、お墓詣りの度に塩を撒くことでだんだん雑草の量が減ってきている。これは大ヒットの大当たり!これならご先祖様も喜ぶだろう。

 

 草引きが終わると、墓石洗いが始まる。あらかじめ用意しておいたじょうろに水をくみ、墓石にお水をかけてスポンジでこする。泥や雨の水垢がとれてぴかぴかになる。これもご先祖様はご満足。

 

 こうしてやっとお参りができるようになる。お花を供えて、ろうそくと線香でご先祖様をお迎えし供養をする。時々お菓子、お酒なんかも墓石の前に並ぶ。しかしながらお供えの量と中に入っている人数が引き合わない為、これは多分ご先祖様は満足していないだろう。うちの場合、重箱にぱんぱんに食べ物を入れて供えても「まだ足りない!」って文句がくるだろうね。

 

 こういった作業を3回繰り返して、我が家のお墓詣りは完了する。子供の頃から毎年の行事となっているが、若いころは年末の大掃除みたいな感覚でしたが、歳を重ねる度に「俗世間から少し離れ、故人をしのぶ」ということの意味が少しづつ分かってきたのような気がします。それでもまだまだご年長者の心意気にはかないませんけどね。

 

 

 この記事を読んだ人へ

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