こないだ積水ハウスだったかミサワホームだったか、不動産屋さんが周囲から「富士山が見えなくなる」と苦情が出た高層マンションを取り壊すことにしたらしいですが、壊すくらいなら初めから作らなきゃ良いのにと思いました。


要は最初の見積もりが甘かったということですよね。

マンションに入る人は富士山が見えて幸せだろうけど、周りの人は見えなくるから怒って当たり前でしょう。


そんな風に思っていたら、さっきヤフーニュースでバカ?とか思うような不動産の広告を見つけました。



盛岡市のどちらかというと南の方になるバスターミナル近辺にマンション建てます、買いませんか?という広告らしいのですが、一目見て山が違う。

盛岡市内からはもれなく岩手山が見えて、盛岡市民は四季を通じてその威容と美しさに毎朝夕、感動しているのです。


ネットからもらいました。盛岡市岩山付近からの岩手山の眺めは本当に素晴らしいのです。

盛岡市民でもないのになんでそう断言できるかというと、若い頃3年間だけですが盛岡に住んでいたからです。

3年間、ほぼ毎日上田にあるアパートから勤め先まで片道15分ほど歩いて往復しました。
三冬しか過ごしませんでしたが、マイナス16度の晴れた朝、通勤路から右に見えた岩手山は白く輝き、その荘厳さに息を飲んで立ち止まってしばし見とれてしまいました。

もちろん夏には馬返しから昇りました。ちゃんと2038mの頂上にも立ちました。
網張温泉にも入りました。

たかだか3年間しかいなかったのに、岩手山は私の盛岡での生活を象徴するものになってました。

それが、タ○ラレー○ンのこのリバーフロントレジデンスとやらの広告写真に写ってるのは間違いなく岩手山ではなく、岩木山。

青森県を代表する山です。
個人的には黒石市あたりからの眺めが好きな山です。

盛岡市民はこのタ○ラレー○ンの広告見て怒ってるそうですが、青森県民だって、我らがお岩木山を反転させて盛岡に移植するとは何事だ!と怒ってるはず。

太宰治も棟方志功も草葉の陰で憤慨してます。

つまり、しつこく繰り返しますが、タ○ラレー○ンという会社のこの広告を起案した若いやつも、承認した係長も、うなずいた課長も、稟議書に判子を押した部長も、み〜んな盛岡と青森(弘前)、岩手山と岩木山との区別もつかないまま、「清流の畔に、中津川&岩手山ビューと圧倒的な開放感を愉しむリバーフロントレジデンス」とやらをポスター化しちゃったわけです。
コピーも素人くささが目立つし。

私は勤めてる時に学生たちから「ゆるい」と評価されてきましたが、その「ゆるい」わたしでも、この間違いは見逃せません。不合格です。

その土地のシンボルとなってる山をこれだけ盛大に間違えるということは、盛岡市民だけでなく、岩手県民の生活や価値観や文化や生き方・風土などをなんも理解しようとしないで、ただ建物だけ作って売ろうとしてるといわれても仕方ありません。

そんなわけで、もし私が今でも盛岡市民だったとしたら、少なくともこんな広告を打つタ○ラレー○ンには建設計画の白紙撤回を求めますね。
だって、盛岡の多分一等地に高層マンション建てる会社が、盛岡市や岩手県を理解してないんだから、盛岡市民・岩手県民をバカにしてるわけだし。

そんなのが分かったような顔をして、中津川とか岩手山を持ち出してくるのがおこがましい。
どうせなら中津川も雫石川とかに間違えれば良かったのに。

加えて、もしインバウンドの富裕層外国人とかを当てにして売り出すなら、これはさらに地元民をバカにしてることになりますよね。
どうせ投機目的のC国人とかが日本を買い漁ってるから売ってしまえばこっちのもんだとか考えたんじゃないの?と言いたくなります。

売れさえすればいい、と自分勝手な考えでマンション作られた日にはあのしっとりした盛岡市が泣きます。 

そんなわけで、ついつい怒りで血圧が上がりそうな水曜の夜です。

この計画には断固反対です。



そろそろ最後の紫陽花になりました。