昔、「新世紀エヴァンゲリオン」というアニメが放映されていたのは、たしか90年代の後半ではなかったかしら。

今調べたら95年〜96年でテレビ東京で放映されたらしいです。


当時はテレ東が映らない秋田に住んでいて、そんなアニメがあることすら知らなかったのですが、学生が「これは絶対面白いから」とビデオに録画したのをかなりの数、貸してくれてそれを見て、確かにすごいと感心しました。

その後、漫画版を全巻集めて、それで「新世紀エヴァンゲリオン」は中途半端だけどとりあえず終わったのかな?と思ってました。


その後、数本の映画も作られ、一番新しいのは「シン・エヴァンゲリオン劇場版」だからなんだか「シン・ゴジラ」みたいだなくらいの感覚で見ないでいました。

基本的に思春期ものだから、70過ぎて見るものでもないかなと思っていわけです。


しかし、なんだか急に見てみっか、と思いたち、「序」「破」「Q」「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の4作を3日かけて見てしまいました。

まだうまく、言語化できないでいるのですが、なかなかおもしろくて、感動してしまいました。


とはいえ、分からないことがたくさんあります。

第一、「使徒」ってなんだか分からない。

多分それが関与しているであろう、ファーストインパクトだのセカンドインパクトとかいうのもなんだか分からない。


しかし、これらはとりあえず分からなくとも、エヴァンゲリオン初号機、零号機、2号機に乗って、碇シンジくんや、綾波レイちゃんやらアスカ・ラングレーの3人がなんだかんだいろんな問題がありながらもとにかく使徒と戦ってなんとか倒していく、というのはテレビ版とか、大雑把には「序」を見れば分かります。


もちろんこの段階ではなんで中学生がエヴァに乗って死ぬ思いして戦うのかは分りません。

その後、ゼーレという謎の機関と関係の深いネルフという機関にこの3人と、ミサトさんやらリツコさんやら、シンジ君の父親の碇ゲンドウさんやらがいるということが分かり、しかもシンジ君はこのゲンドウからあまり顧みられていない存在であり、その亡くなった母親はなんだかエヴァのなかに組み込まれているらしいこととかも段々に見えてきます。

さらに、シンジ君は父親に認められたい願望が強く、その割にはイジイジしていたり、レイちゃんは実は母親のクローンの一人であったり、アスカもまた親子関係で大きな傷を持つ中学生であることも見えて来ます。

要は少なくともエヴァに乗る3人の中学生たちの心には傷があり、その傷の治癒とかがテーマになってもおかしくない話だな、とか思えるわけです。


TV版を見てればここら辺りまでは分かりますが、映画の「破」「Q」「シン・エヴァンゲリオン劇場版」になるとかなり難しくなります。


とはいえ、ゼーレとネルフとの関係が段々に見えてきたり、あるいはATフィールドの意味とかも少しずつ見えて来ます。

しかし、なぜか、先の3人の中学生にプラスして、なんとかかんとかマリという難しい名前の少女まで登場すると、この人はどんな役割りを果たすんだろうとまた分からなくなります。

しかも、シン・エヴァンゲリオン劇場版では、あれだけ中の良かったミサトさんも、リツコさんもなんだかやたらと他人行儀になってるしで混乱しますが、これはあとで解明されます。


そして、個人的には一番「これか〜」と思ったのは、あの無愛想な碇ゲンドウがこのシリーズの基軸になってる雰囲気を作る原因を語るところにあります。

正直、ゲンドウの独白を聞いた時には「それはないだろ」と思ったのですが、しかし彼のそのようなありようがあったからこそ、このエヴァンゲリオンシリーズは成立してきたわけで、ある意味、ゲンドウの話はこのシリーズの存在基盤を保証するものであったんだろうと思います。


「人類補完計画」とかいうからなんかものすごいものかと思っていたら、実は「わたしもあなたもない」世界に近いものを作るような話だったらしく、それにはゲンドウ君の人となりが極めて大きく関与してたわけです。


なるほどな、と思ったのはシン・エヴァンゲリオン劇場版を見るまでは、このエヴァシリーズは3人の中学生主人公たち、とりわけシンジ君の心の成長物語だと思っていたのは微妙に外れていて、この話は碇ゲンドウと、その永遠の恋人 綾波ユイの話なんだと解釈するといろいろ腑に落ちるというところです。


つまり、中学生たちが主人公ではなく、碇ゲンドウとその亡くなった奥さんが主人公だったわけです。


そんなわけで40代ではわかりにくかったこの話が、とりあえず30年近く経った今頃腑に落ちた、というのは少し嬉しいです。

とにかくこのエヴァンゲリオンについては考えさせられる事が多く、刺激を受けました。


この話を作り上げた人たちはすごいな、と、あらためて感動しました。





この辺も桜が咲き始めました。