現像という言葉はフィルムカメラの時代に当たり前に使われていました。


昭和40年代に一般化が始まったカラーフィルムによるカラー撮影の現像は素人では扱えるものではなく、たとえば36枚取りのフィルムが写真がいっぱいになったら、街の写真屋さんまで持っていって、現像してもらいそれを写真屋さんで印画紙に焼いてもらうのが一般的でした。


そんなわけで、街には最低でも一件ないしはそれ以上の数の「写真屋さん」が存在し、大抵は気の良いおじさんがその経営をしていました。

その経営者たるおじさんたちはまず間違いなく写真に関しての一言を持っている人たちで、棚にはコンタックスやらライカ、あるいはマミヤやゼンザブロニカの中判カメラ、すごいとこにはハッセルブラッドなんかも飾ってあったりしました。


中学校や高校のアルバムなんかは、まずこのおじさんたちの撮影によることが多かったわけです。


彼らの業務の最盛期は「写ルンです」とかの使い捨てカメラが流行った時代ではなかったのでしょうかね?

記憶では使い捨てカメラの値段には、現像料が混みだったような気がします。


しかし、90年代に入ってデジタルカメラが徐々に普及し始めると、街の写真屋さんのかなりの数が大きな影響を受けてしまいました。

だってデジタルカメラには写真には必須だった「フィルム」が必要でなくなり、したがって暗室での「現像」も要らなくなってしまいました。

一回限りのフィルムは、使い回しのできる「記録媒体」に置き換えられ、そこに記録された電気的変化はコンピュータを介して、様々な種類の「プリンター」によって印画紙に記録されるだけでなく、コンピュータの中に大量に保存できるようになりました。


同時にデジタルカメラ自体も着々と進化し、今や初期の段階では別のコンピュータで処理せざるを得なかったいわば「現像」機能をカメラが備えるようにもなってきました。


もちろんそれだけではなく、コンピュータの「現像ソフト」も日々進化し、要は、最初に撮った画像データをあとからいろいろいじることで、なんだかものすごく上手い人が撮ったような写真にできるようにすらなってしまいました。


フィルムカメラの時代に写真を始めた私は、その時代の人にありがちな、「写真は撮った瞬間にうまく撮れてなきゃ終わり」という刷り込みを信じて生きてきました。

だからこそ、カメラの側でいろいろ撮影状況をコントロールできる「安くはない一眼レフカメラ」を持ちたいと願ってきました。結果的にニコンのD4が私にとっての最高峰で、しかしそれはあまりにも重くて携帯に苦慮したので少し軽いD850に変えてそれをメイン機にして今でも徘徊しています。


話が飛びますが、車も写真とおんなじです。

昔は何から何まで手仕事でした。もちろんエンジンはガソリン。キャブレター付きとかいうのがフィルムカメラ時代の車。

今の車はコンピュータ制御。デジタルカメラと同じです。

カメラと車の進化はしみじみ重なってます。


そんなわけで、そのD850の取説を割と真面目に読んでいろいろ変えられるところは変えながらJPEG主体で遊んできました。


一昔前にRAW現像というのがあるのを知り、RAW設定にして撮った時期もあったのですが、使い始めたニコンのなんたらいう一昔前のRAW現像ソフトが使いにくかったのと、やたらとメモリを食うのが嫌で、結局JPEGに戻り、あとはグーグルフォトにある画像をいじる機能くらいを使って明度やコントラストを変えるくらいでまあいいや、と思っていたのでした。


ところが、こないだ暇にまかせて見ていたらYouTubeで、ニコンから新しいRAW現像ソフトが出てしかも無料で手に入ると聞いて、またぞろスケベ心が出てしまい、こないだインストールしてしまいました。


で、初歩的なところだけ少しいじってみてできたのが下の写真です。






そうなんです。なんも変わりはありませんでした(「あなた変わりはないですか〜」の都はるみさんを思い出しながら)。


そりゃそうだ。

いじったのは、明るさ、彩度、コントラストくらいだからこれまでのJPEGをフォトでいじってたのと変わりないんです。


とはいえ、このソフトにはもっと沢山の機能があるようなので(たとえばお地蔵様の顔のシミが取れるらしいとか)、さらに勉強すればものすごく美白なお地蔵様が撮れてしまうかもしれませんが、それはできたら美人さんがモデルになってくれることがあったら試してみたいです。


そんなわけで、素人の私が言うのもおこがましいのですが、これからカメラを始める人はまずJPEGでできるだけ好きな画像を撮れるように頑張って、それをグーグルフォトとかでちょこっと直してみる、くらいから始めるのが良いのではないかと思います。

つまり、カメラはミラーがあろうがなかろうが中級機以上(いろんな撮り方が可能になります)の新品・中古がお勧めで、レンズは私だったら18-300くらいのズームにしちゃうかもです。汎用性が高いからね。もちろん中古で十分です。

そして意外と活躍してくれるのが、バリオモニターです。本体の後ろにくっついてるモニターはくるくる動いたほうが実用的です。が、そうなってるのは新しい機種に多いので高いです。

となると、地面に這いつくばって汚れても大丈夫なお洋服も必要になりますね。


あと、慣れた時点で三脚も。これはカメラとレンズの重さを支えられるものが必要です。


さて、暇なのでニコンのRAW現像ソフトのお勉強でもします。

自分が撮った写真よりもうまく見えるように細工できるのはずるいよな、と思いつつ、理想に近い写真になるなら色温度とか彩度とか変えてみるのもありなのかも、とか考えてる昭和20年代生まれの写真好き老人です。