前回は、栗東市に予定されていた新幹線の駅の概要について書きました。
栗東市に予定されていた新幹線の駅 前編 | 滋賀県栗東市の情報 (ameblo.jp)
今回は、この駅について私が思っていることを書きます。
この駅関連(周辺の区画整理も含む)で栗東市は304億円を負担することになっていました。
さらに、建設費はいつもそうですが、後からだんだん上がっていくものです。
見込み通りの費用でできる(または予算内でおさまる)ケースの方が少ないと感じるぐらいです。
特にこの新幹線の駅の場合は「仮線をつけて現在の盛り土を取り除いて駅舎をつくる」という難工事がありますから、想定外のことが起こって予想以上の費用がかかる、ということが十分に考えられます。(さらに言えば、駅の開業が遅れる可能性もありました)
例えばこの駅関連の費用が当初の見込みの1.5倍になったなら、栗東市の負担は456億円になります。栗東市は大企業の工場が立地して税収には恵まれていますが、当時の人口が約6.5万人という小都市です。当初の予想以上に費用がかかったとき、栗東市の財政は持ちこたえていたでしょうか?
もちろん一般の人でも家を購入するときは、年収の何倍もの借金をするけどほとんどの家庭では自己破産しませんから、栗東市が456億円(見込みの1.5倍)の負担をしても財政は破綻せずに済む、という考えもあります。
しかし、当時の栗東市は「さきら」という文化ホールや環境センターなどの建設に多額の費用をつぎ込み、人口あたりで見てもかなり多くの借金をしていたので、新幹線駅を作った場合は財政破綻が懸念されます。
いずれにしても、小都市にとってこの新幹線の駅は大きな出費であることに変わりはないでしょう。
しかし、駅ができれば税収が増えることはほぼ間違いありません。
新幹線の駅、高速道路のIC、幹線道路(国道1,8号)が揃うわけですから、多数の企業が進出すると思われます。それによって雇用の拡大も期待できます。
この駅は栗東市だけでなく、滋賀県にとっても良い影響が大いにあります。
栗東市の財政という問題をクリアできれば、この駅を建設する意味はあったので、栗東市の財政が心配なら、滋賀県は「栗東市にお金を無利子無担保で貸し付ける」というような支援をすればよかったです。
この新幹線の駅は滋賀県にとっても大きなチャンスでした。このチャンスを県が自ら辞退したのは、もったいなかったというほかありません。
福井県は北陸新幹線の開業で大きく盛り上がっており、羨ましく思います。地元負担をしてでも新幹線を建設して成功をおさめている福井県と、新幹線の駅を辞退した滋賀県は対照的です。
2006年の滋賀県知事選挙で、新駅反対派に投票した人は、「新幹線の駅を止めたらどうなるか」を考えたでしょうか?
ただし、当時は情報が拡散しにくかったという側面があります(今ならXのリポストで情報はどんどん拡散します)。なので、新幹線の駅についての詳しい情報が一般人によく伝わっていなかったかもしれません。
今回は以上です。