少し前のブログで、滋賀県内のJR駅の乗車人員について書きました。
滋賀県内のJR駅の乗車人員 | 滋賀県栗東市の情報 (ameblo.jp)
これを見ますと、栗東駅の乗車人員の減少が特に顕著であることがわかります。
なぜ栗東駅の乗車人員が大きく減ったのかを、今回は書きたいと思います。
今回のブログで用いたデータは、滋賀県統計書から引用しました。
また、この記事では1日平均の乗車人員を扱いますが、1日平均の乗車人員を単に「乗車人員」と呼ぶことにします。
乗車人員(単位:人)
平成30年度を100としたときの乗車人員
この表からわかるように、栗東駅の乗車人員は平成30年度から令和4年度まで減り続けていることがわかります。
平成30年度を100としたときの令和4年度の乗車人員も、栗東駅は東海道本線の米原~大津間の駅では最も低く、周辺の守山駅や草津駅、(草津線の)手原駅に大きく水をあけられています。
以上から、栗東駅の乗車人員の減少幅はかなり大きいことがわかります。
定期乗車人員(単位:人)
平成30年度を100としたときの定期乗車人員
なぜ栗東駅の乗車人員が大きく減ったのでしょうか?
その理由を知るために、乗車人員を定期と定期外に分けてみます。
栗東駅の定期乗車人員は令和4年度に前年度から増えています。
平成30年度を100としたときの令和4年度の定期乗車人員において、栗東駅は東海道本線の他の駅と比べてやや高水準です。
次に、定期外乗車人員を見てみます。
定期外乗車人員(単位:人)
平成30年度を100としたときの定期外乗車人員
定期外乗車人員において、栗東駅には顕著な特徴が見られます。
まず、平成30年度や令和元年度の栗東駅の定期外乗車人員がとても多いことが挙げられます(平成30年度や令和元年度は隣の守山駅より多い、その一方で令和4年度は守山駅の半分以下)
次に、令和2年度から令和4年度にかけてほとんどの駅で定期外乗車人員が増加傾向になっている中、栗東駅では減り続けているということが挙げられます。栗東駅とは対照的に、隣の草津駅では令和2年度から令和4年度にかけて定期外乗車人員が大きく
増えています。
平成30年度を100としたときの令和4年度の定期外乗車人員を見ますと、栗東駅は40を下回っており、県内のJR駅の中でワースト3位(近江塩津駅、北小松駅に次いで低い)になっています。栗東駅の近くにある守山駅、草津駅、手原駅は90を上回っており、栗東駅は極めて異例の低さです。
以上から、栗東駅の乗車人員は定期外の減少幅が特に大きいと言えます。
乗車人員のうち定期外の割合(単位:%)
乗車人員のうち定期外の割合を見ても、栗東駅には顕著な特徴が見られます。
平成30年度や令和元年度において、栗東駅の定期外の割合がとても高いです。
また定期外の割合は、ほとんどの駅においては令和2年にかけて低下した後上昇していますが、栗東駅の場合は下がり続けています。
以上から、平成30年度や令和元年度の栗東駅の定期外乗車人員が、何かの要因によって押し上げられているということが言えそうです。
栗東駅の定期外乗車人員が大きく減ったのはなぜか?
栗東駅の定期外乗車人員が大きく減った理由について、私の推測を以下に書きます。
平成30年度や令和元年度の栗東駅の定期外乗車人員がとても多いのは、栗東駅で回数券が大量に購入されたからだと思います。
それでは、なぜ栗東駅で回数券が大量に購入されるのでしょうか?
この表は大人1人の片道運賃です。
大津駅、山科駅、京都駅までの運賃はいずれも、草津駅と栗東駅は同じで、守山駅や(草津線で草津駅の隣にある)手原駅は草津駅より高いことがわかります。
草津駅~京都駅の回数券では栗東駅から乗車できませんが、栗東駅~京都駅の回数券ならば草津駅からでも栗東駅からでも乗車できます。草津駅周辺の金券ショップには「栗東駅から乗りたい」というお客さんが来ることも想定されますから、(草津駅ではなく)栗東駅~大津駅・山科駅・京都駅の回数券を用意します。
つまり、栗東駅で大量の回数券が購入された結果、それが栗東駅の定期外乗車人員にカウントされたのではないかと思われます。
もっとわかりやすく言えば、「栗東駅~京都方面の駅」の回数券を使って草津駅から乗った人は、草津駅ではなく栗東駅の乗車人員にカウントされているのではないか、ということです。
しかし、令和2年度は新型コロナの流行によって定期外移動の需要が大きく下がり、金券ショップは(売れ残る懸念から)回数券の購入量を大きく減らしました。さらに令和3年9月30日をもって回数券が廃止されました。
回数券の廃止によって、栗東駅の定期外乗車人員は、金券ショップが買った回数券のおかげで上乗せされていた分がなくなり、経済活動が回復しているにもかかわらず減少が続きました。
栗東駅からの回数券を使って草津駅から乗っていた人は栗東駅の乗車人員にカウントされていましたが、回数券が廃止された後は切符またはICカードで乗車することになり、草津駅の乗車人員にカウントされるようになります。令和2年度から令和4年度にかけて草津駅の定期外乗車人員が大きく増えているのはこのためです。
つまり、栗東駅の乗車人員が大きく減った大きな理由は、回数券が廃止されたからだと言えそうです。