「置き去りにした問題」

 

 先の先までは無理としても、たしかにある程度人生は見通せますから、

自分で何か事を企て行動に移すことは無謀ではなく、むしろ当然のことですが、

一方、解答を見出し得ないままに、とにかく進んでゆかなければならぬような問題もあるわけで、人生が見通しのよいものでないことも、承知しておかねばなりません。

 

事が順調に進んでいる時でも、問題を置き去りにして先を急いでいる後ろめたさを抱かざるを得ないようなところが人生にはあります。

 

置き去りにした問題の累累たるさまの見えない人は人生を語る資格を持ちません。

 

 

 

『灰色の断想』p80 藤木正三著

 

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