「正論と愛」

 

 わかっていて止められないのです、

浅ましいと思いながら執着するのです。

 

どうでもよいことに意地をはるのです、

この人間の愚かさ、弱さ。

 

それに甘えてはなりません。

 

しかし、道理の通った正論でこの弱さをさばかれてはたまらないのも事実です。

 

正論とは、道理は通っているが人間にとどいていないせっかちさです。

 

道理は通っていないが人間に届いているゆるやかさ、それを愛といいます。

 

道理が通っていないという理由でこれを斥けてはなりません。

 

人間の弱さに対する洞察において、正論は遠く愛に及ばないのです。

 

 

 

『灰色の断想』p37 藤木正三著

 

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