「務め」

 

 宗教であれ政治であれ、確信をもって情熱的にそれに係っている人を見ると、

なにかグロテスクな感じがします。

 

人生は掴みどころのない不分明なところがあるのですから、

それを明確な手応えあるもののように生きると、

逆に滑稽で醜悪なものに自分を仕立て上げる結果になりましょう。

 

人生は情熱的に生きるにはあまりにも漠として白々しいものです。

 

それは情熱よりもむしろ義務感で耐えて生き抜くべきもの、勤めでありましょう。

 

美しく深い生き方は、つとめとして生を忍受する人のものであります。

 

 

 

『灰色の断想』p33 藤木正三著

 

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