「人間の構造」

 生きているのがいやになるような筋の通らないことが多くあります。

 

矛盾、混乱、何とはなしに明白ではないのです。

 

明白を求めたい。

 

矛盾の中に沈黙するよりは、納得できるまで明白を求めて問い続けたい。

 

しかし、問い続ければいつかは必ず、何もかも明白になると思うのは幻想であります。

 

問うばかりではなく、実は問われている面が、深く人間にはあるからです。

 

問うても、告発しても、明白にはならない現実の中で、人は限界を嘆くよりは、人間の構造への無理解に気づくべきでありましょう。

 

人は、問うよりも問われているものなのであります。

 

 

『灰色の断想』p13 藤木正三著

 

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