スタジオシフト深澤竜也デザイン事務所です。
15年ほど前、一戸建てとかマンションなどを扱っている地域の不動産屋の社長に言われたことがあります。
「デザイナー物件てのは、カッコだけで住みづらいんだよな~。デザイナーなんてカッコつけしいの詐欺師じゃん」みたいなことを言われたことがあります。
まあその方はデザイナーの本来の仕事を解ってらっしゃらない、田舎もんなんですがね。
本物のデザイナーが行うならば、住みやすさや機能性、環境あたりから解決していくと思いますがね。
今回のザハさんのことで、やはり世間的にはデザイナーはそう思われてるのかって、少し残念になりました。
言いたいのは、ザハさんの問題でもなく、審査員の問題でも、ゼネコンの問題でもなく、デザインの文化振興を掲げる文科省の仕切りが残念なのです。
コンペそのものがこれからの見本になるようなものにしてもらいたかったなと。
私も今まで多くのコンペを経験してきました。
建築はないけど、中には国レベルのものもありました。
しかしいつも「?」がつくようなことばかり。
じつは契約までの方法って、公平性を保つのがかなり難しいのです。
公共や大手企業と契約をする場合、一般競争入札、総合評価方式、随意契約、コンペ、プロポーザル方式などの方式があります。
1, 一般競争入札
内容ありきの価格競争。入札に際しての企業選択に競争がありますが、最低入札価格したものが落札するという方式です。わかりやすいけど、談合が行われていたのは主にこの場合ですね。
2, 総合評価方式
企業選択の競争があるけど、価格以外の要素も総合的に評価し、もっとも高い評価を得た者が落札者となります。嘘が蔓延ったのは否めないですね。
3, 随意契約
競争ではなく、任意で決定した相手と契約を締結することを言います。専門性がある企業に、予め提案やアドバイスを求め物件が進行していた場合が多いです。
私としてはできればこれが一番ありがたいのですが、癒着ととられてしまうのも困ります。
4, コンペはいくつも方法があるけど
今回の国立の場合は、応募要件を満たしていれば参加可能な「応募型コンテスト」ですね。
提出内容がどこまでかは解らないけど、あのパースと企画書だけで決めるとしたら、審査員は創造力を発揮し、相当な苦労をしたと思います。
絵だけじゃ解らないことがたくさんありますから、それを元に設計するゼネコンも相当大変でしょうね。
私が一番経験しているのは、広告、建築、デザイン業界などに多い、プロポーザル方式。
「プロポーザル」とは「企画、提案」の意味です。
複数の業者がクライアントに対し、企画やデザイン、価格などを提案し、プレゼンテーションを行います。
クライアントは、その中からもっとも条件に合う業者と手を結ぶという形です。
これは単に価格の安さだけで選定したのでは、期待した結果が得られないことが多く、
一方、過去に実績のある者を選定する随意契約については、公平性の観点で問題があるとして行われるものです。
しかしこの方式では受注できるかどうか不明なまま、詳細な計画まで行う必要があり、参加者の負担が大きいという問題もあるのです・・・提案を行った業者は、落札できるか否かで、天と地ほどの差が生まれてしまいます。
企画、デザイン、価格、その準備期間が報われるのは、選ばれた1業者のみ。
提案内容を一ヶ月も練りに練っても、落ちます。
無駄になる一ヶ月(無駄だけとも思いませんが)
大抵は5社以上の競合になるため、落ちる確率の方が高い。
クライアントはより質の高いものを手に入れられるという利点はあるものの、落札できなかった参加者に相当な負担がかかります。
それがじつは出来レースだったということもあります。
その場合の気持ちは最悪ですね。
つまり契約に至るまでの方式には、まだまだ改善の余地があるということです。
今回はデザインでザハ氏に決まったといいますが、デザインと企画書はあるだろうけど、それ以外はどんなものが提出物としてあったのだろう?・・・
ポスターとかじゃないので、コンペ提出内容として不足じゃない?っかってのも引っかかります。
文科省はデザイン分野も管理する省庁なので、デザイン推しってのもわかるけど、やはり国家プロジェクトクラスの建造物はその専門の国交省がやるべきコンペだったなと思います。
*画像は13年前の国体のイメージパースです。関係ないか~~