スタジオシフト 深澤竜也デザイン事務所です。

 

印傅博物館様の夏展が始まりました。

 

テーマは夏らしく「唐草の美」

 

今回もポスターなどでお手伝いをさせていただきました。

 

 

 

 

 

唐草は植物の茎や蔓が絡み合って伸びている様子を図案化した模様です。

 

更にそこに花や葉や果実などが加わり独特の曲線模様が表現されています。甲州印傳においても唐草の模様は多種あり、永く愛用されてきた模様と言えます。

 

 

唐草模様の歴史は古く、古代エジプトやギリシャ・メソポタミアに始まり、七世紀頃中国大陸を経由して日本に伝わったとされています。

 

忍冬唐草・宝相華唐草・葡萄唐草・蓮唐草などが古く、これらの模様の多くは仏教芸術に伴って伝えられ、建造物や工芸品を飾りました。

平安時代以降は菊・梅・桜・桐などの花をモチーフに和様の唐草が考案され、近年になると着物の型紙染の模様として普及し、布団地・風呂敷などの日用品に多用されました。

 

収蔵品には菊唐草と花唐草が多く遺されています。菊唐草は型紙を用いた漆付けによって点の構成にて表現され、三ッ巻財布などの品に多く見られます。

 

一方で、花唐草は更紗技法などによって鮮やかな色が施され、唐草の流麗な模様の美しさが際立っています。

 

唐草模様の軽妙で躍動的な曲線は、遥かな歴史とともに現代の人々にも愛好されています

 

ぜひご来場ください。

 

印傅博物館ホームページ

スタジオシフト深澤竜也です。

デザインインテリジェンス8(^○^)

前投稿にて、デザインは何千何万種類あるけど、

大きくは「モノづくりのデザイン」と「モノを紹介するデザイン」に分かれると書きましたが、

本来はそれ以前の話から書いた方が良かったかもしれません。


それは、「アートとデザインの違い」についてです。

図は、私の母校の学部一覧ですが、油絵や日本画、彫刻などの芸術分野とデザインや映像などの商業分野。そして工業分野の建築も入っています。




ひっくるめて美術大学ですが、同じ学校で学ぶ同士、

アートとデザインを区別する必要は無いと思うのですが、社会に出るとその役割は明確に変わってきます。



その違いについて説明する前に基本的な質問です。

「デザインとは何でしょう?」

服をデザインする、広告をデザインする、車や家をデザインする、

イラストを描く、家をデザインする、

政治家では未来の国や県、市をデザインする、なんて良く聞く言葉です。・・・・・・

デザイナーとはなんらかの絵を描く人というイメージがありますが、

絵を描くという概念から飛び出してる内容のものもあります。

京都大学デザイン学でこのようにデザインを定義しています。

「与えられた環境で、ある目的を達成するために、様々な下で、利用可能な要素を組み合わせて、要求を満足する対象物の仕様を生み出すこと。」


デザイナーは、「ある目的」を達成するためのスペシャリストです。

この「ある目的」というのが様々ありまして、それはまた後々にお話いたしますが、

その前にデザイナーについてのそもそも話をしたいと思います。



「絵を描いたり、写真や映像撮ったり、図面ひいたり、文章作ったりしてるけど、あなたの仕事は何?」とよく聞かれます。

そういえばデザイナーとアーティストの違いってなんだろう?

そういえばプランナーとかクリエイターとかの英語職業。

アートディレクターやクリエイティブディレクター???(^▽^;)w

良く聞く肩書きだけど、いったいどんな違いがあるんだろう?


まずプランナーについてですが、その名の通り「企画する者」をさしています。
ファイナンシャルプランナーは将来設計を企画する人でウェディングプランナーは結婚式披露宴を企画する人。
プランナーの頭に職種を入れれば、その専門職のプランナーになります。

クリエイターは、制作を職業とする人を広く全般的に捉えた場合をさします。
作家や音楽家、芸術家、建築家、ゲームクリエイターやデザイナーも含んだ、制作を職業とする人を幅広く捉えた言葉です。

アートディレクターは商業活動または展覧会などで視覚的表現を監督する職務であり、
クリエイティブディレクターはテレビ番組制作で言うところのプロデューサー的な立場に近いものです。


ではデザイナーとは先ほど話した通りに、
「ある目的」を達成するためのスペシャリストですが、その仕事には必ず制限があります。
それは予算であり、大きさであり、場所や状況であったり、素材やメディアの種類であったり、ターゲット(エンドユーザー)のニーズであったり。
それぞれの環境や制約の中で目的を達成していくスペシャリスト=職人です。



ではアーティストとは何でしょうか?
Artの語源はフランス語のアルチザン。
アルチザンは職人とか技工を意味します。
定義としてですが、アーティストは基本的には職人技を身につけてる人と言うことになります。
現在では、技術を持った者がそれ以上の感性を持ち、新しい世界、自らの道を開いて行くという意味をさしています。

すなわち職人技を持っていない者はアーティストの資格を持たないことになります。


デザインとアートの大きな違いは、その目的と収益結果にあります。
アートは大きな部分で自己表現と研鑽、満足と完結により、自己のファンをつくること。
自動であり主観的、表現者です。

デザインの目的は「売上げを上げる」「集客の拡大」「情報の拡散」など商業よりで、収益結果が求められます。
・・・・もちろん底辺には美しさの追究がありますが。
こちらは他動、客観的で伝道者と言えるでしょう。



この内容はあくまでも定義の話なので、
ノンジャンルで仕事を行うことが理想であると私も考えております。

アーティストも制限が無いわけではなく、パトロン(デザイナーで言うところのクライアントやユーザー)の意向も反映しなければならない。


またデザインの中の「モノづくりのデザイン」は、アートに近い性質を持っています。


そして作品と製品の違いはあるけど、商品を作っているのは同じですね。


違いはあるけど、共通部分もある。

デザインとアートの違いは、その目的であり、デザインには収益結果が不可欠だと言えます。

でもそこだけを追いかけているのは、やはり寂しいものを感じるので、芸術性を追究したくなるのですよね。
デザインインテリジェンスその7

あらかじめ、これはプロ向けのお話しではありませんのでm(_ _)m

さて、私はアーティストではなく、デザイナーですが、デザイナーの仕事は大きく二つに別れます。

一つはモノづくりのデザイン・・・機能性機能美の追求です。

ファッションデザイン、車などの乗物や家電製品雑貨などのインダストリアルデザイン、家具インテリアデザイン、そして山梨にはジュエリーデザイナーも多くいらっしゃいます。

機能性機能美を追求するためには様々な能力や学習が必要となります。

着眼点、創造力、発想力、発明力、構造力学、空間察知力、心理学、素材知識、カラーコーディネート、デッサン力、無駄を省く力、時代を読む力・・・そして近年ではユニバーサルデザイン。

(*ユニバーサルデザインとは簡単に言うと、能力や年齢、あるいは障害のレベルにかかわらず、全ての人々に利用しやすい環境と製品のデザインです)

もう一つのデザイナーの仕事は、モノを紹介(販売・展示・CM等)するデザイン。

私はこちらに入ります。

グラフィックやWEB、パッケージ、商業施設や展示施設、ショーウィンドウなどの空間、広告系商業系のデザイナーがこの分野に入ってきます。

能力的には、理解力、読解力、聞く力、判断力、文章構成力、心理学、カラーコーディネート、デッサン力、時代を読む力、無駄を省く力、裏方に徹する意識(モノが主役なので)、今日の今日みたいな仕事がいきなり入ってくるので瞬発力、そしてユニバーサルデザインとコミュニケーション能力です。

紹介したいモノの特徴をターゲットとなる一般の方に単純に伝えることはなかなかに難しいことです。
デザイナーの眼というフィルターを通して、それを知らない人達に解り易く、それを観た人の心を動かすことがこのデザイン分野の目的です。
伝える手法はイラストの場合もあれば写真の場合もある、文章でもあるし、映像や、今ではスマホのアプリかもしれないです。
様々な方法を使って、ターゲットとなる人々に伝えていくことがデザイナーの仕事です。

モノづくりのデザインは、新開発のシステムや素材、形体、人間の心理・行動など、深く追求しなければできません。

モノを紹介するデザインは、主役はモノなので、それをどうやったら拡げていくことができるかを追求します。
本来、そのモノについて深く知らなければ、紹介できないのですが、製作者ではないので、全部を知ることは難しい。
どこまで知るべき?かが毎回悩む部分でもあります。

モノを伝えるデザインをすべて行うにはクリエイターとしてのユーティリティー性が必要です。
統合的な販売促進デザインとなるので、統合プロモーションと呼ばれていますが、他のデザインとは異なる特徴が見られます。

幅広い業種の方達との繋がりです。
広告業界なので、広報を必要とする全ての業種が対象となります。

私が現在行っている業種内容をみても実にバラエティにとんでいます。

同様に業務内容が広いために、ブレーンも幅広い。
広告を制作するので業界関係、商業施設を作るにはさまざまな職人さん達。
権利関係、商法関係、構造関係もあるので、士業さんとの繋がりもあります。

実に幅広い業種の方とのつながりにて仕事を回転させています。
だからコミュニケーション能力が重要です。




画像は、デザインの種類を示す体系を表にしたものがります。
デザインに必要な要素を「人間」「伝達系」「社会性」「環境系」「自然」「道具系」そして一番中枢にあるデザインの根幹である「情報系」に7つ分けています。

それぞれを線でつないで行くと、丁度真ん中より右側に赤い枠のカテゴリーがプロモーションデザインの分野になります。

「コンピューターグラフィックス」の中には映像があります。

「パッケージ」には包装紙やラベル、ショッピングバック、ケース。

「グラフィック」にはポスターやチラシ、会社案内、ロゴやシンボルマーク。

「景観」にはパース、サイン計画、店舗サイン、LED。

「ディスプレイ」にはショーウィンドウ、ショールーム、展示施設、展示会、イベント、セレモニーやパレード等。

これがプロモーションデザインの主な業務内容です。

だから、私が行っているデザインの分野を一言で説明するのは難しいのです。




デザインの中にも大きく二つの分野があることはご理解いただけましたでしょうか。

次はアーティストとデザイナーの違いについてお話しさせていただきますね。