私たち人間は、新天地をもとめて大移動している集団のようなものです。
人々は乾いた不毛の土地から列車にのり、天高くそびえる山の頂上を目指します。
では、ガイドブックを開いて見ましょう。
頂上に近づけばそれだけ見通しがよくなり、土地も豊かになるだろうと書いてます。
頂上までには、数多くの駅が設けられてます。
乗客はどこで列車を降りて、旅を終えてもかまいません。
旅を途中で切り上げるのも、終点までの旅路をまっとうするのも、すべて乗客の自由です。
最初の駅で降りた人びとがいます。
目の前に広がっているのは、荒涼とした土地です。
彼らは内心がっかりしながら、そこに新たな家を作りました。
もうひとつ二つの上の駅でおりた人々もいます。
ここは、一番したの場所よりも少々ましですが、それでも人々はどことなく不満げに、それぞれの居住地に向かいました。
まだ、旅をつづけてるのは、ほんのひとにぎりのガマン強い人だけです。
実は、旅が始まってまもなく、彼らは面白い発見をしたのです。
たしかに、旅は苦労の連続ですが、先に進むにつれて困難さがやわらいでいるのです。
つまり、忍耐と粘り強さが、報われているのは間違いありません。
それを知った者は、ひたむきに先を目指すことができるのです。
やがて、残った旅人を乗せた列車が頂上に到着しました。
そこには、心配とは無縁の幸福な暮らしが待っています。
心底からほっとしながら、頂上に降り立った人たちは、ガイドブックになかったものを見つけました。
それは、目の前にあるまぎれもない現実・・・・・・。
彼らは現実を手にしたのです。