竹有上下節(たけにじょうげのふしあり)

竹には上下の節があります。この節があるからこそ、真っすぐに長く伸びることができるのです。仕事も竹と同じように、一つひとつを完結して行わなくてはなりません。いかに能力が高い人であっても、複数の仕事を並行して行うには限界があります。一つひとつ順番に。これが仕事の原則でしょう。

 

 

 目の前にいくつもの仕事がたまっている。一つの仕事をやり始めたら、また新しい仕事を指示される。どの仕事も中途半端になる。こういう人は得して、自分には能力がないのだと思っているでしょう。でもそれは、能力のせいではありません。

 仕事の整理が苦手な人は、時間の使い方がうまくいっていないのでしょう。またこういう人に限って、綿密なタイムテーブルをつくります。午前中にはこれをして、午後二時までにはこれを終わらせて…と。仕事でも家事でも同じこと。スケジュールを綿密に考えるということは、不安の裏返しでもあります。終わらなかったらどうしようという不安。予定が狂うという焦り。ところが実際には、予定どおり進むことばかりではありません。そこに縛られていると、仕事に集中できなくなります。少し気持ちに余裕をもって、ざっくりとした時間の中で仕事を進めることです。第一、焦ったからといって仕事が早く片づくことなどありません。

 もう一つのアドバイスは、上手に気分転換をすることです。自分のなかで仕事が一段落したときや、あるいは行き詰ったときには、五分でいいから気分転換をすること。窓を開けて外を見るもよし、外に出て深呼吸をするのもいいでしょう。あるいは椅子に座ったままで、ゆっくりと呼吸をしてみる。そんなちょっとした気分転換が、竹の節の役目を果たしてくれるでしょう。