「執着のスパイラル現象」=「あるモノにこだわると、徹底的に執着する」を起こすと、必要のないモノが溜まっていき、置き場所に困るほどになります。

 しかし中には、執着しても溜まっていかないものがあります。

 むしろ執着すればするほど、自分の元から逃げていくもの。

 それは、「お金」です。

 古今東西、お金の亡者と呼ばれる人は貧乏です。

 貧乏だからお金に執着する?いや違います、「亡者」の「亡」は「なくなる」という意味の言葉です。亡者となるから、お金がなくなるのです。

 ただし、お金をすべて手放すわけにはいきません。

 お金は生活の必需品。僧侶をしていると「お金の必要などありませんね」と言われることもありますが、答えに窮します。

 いくら和尚とはいえ、家族もいますし、生活に必要なものは買ってこなくてはなりません。モノを買うにはお金も必要です。収入を得る仕事もしなければなりません。

 大事なのは、考え方だと思います。

「お金を儲けるために仕事をする」のでは、お金への執着のスパイラルが起こって、頭の中がカネ、カネ、カネになりかねません。円谷英二さんの怪獣ではありませんが、顔ががま口のように変貌するかもしれません。

「お金を儲ける」のではなく、第一には「自分に与えられた務めを果たす」と考えるべきではないでしょうか。その結果として、「お金は後からついてくる」くらいの気持ちでいるのがいいでしょう。

 あくまでもお金は報酬です。務めを果たした結果としてついてくるものです。

「報酬を得る」のと、「お金に執着する」のは別次元の問題です。

 もし必要となる以上のお金が手元に残ったときには、溜め込むのではなく、恵まれない人や、被災して厳しい生活を余儀なくされている人に寄付し、社会貢献のために役立てます。お金を溜め込むと、また「執着のスパイラル現象」となりかねませんから。