知ったかぶりをしたらおしまい。いつも思っています。
「そんなことはしない」という人も、知らず知らずのうちに、家族やごく親しい間柄の人の気持ちを、知ったかぶりしてはいないでしょうか?
「いいよ、もうわかったよ」
相手の話を遮るのは、親しさゆえにその人のことを「わかったつもり」でいるからでしょうが、それは驕りです。いくら深いつながりでも、相手が子どもでも、あなたとは違う一個人なのですから。
ろくに聞きもせず、わかったつもりになってはいけません。
相手が言わんとしていることを、素直に、謙虚に、教えてもらう。これはとても大切なことで、何度となく思い出したほうがいいことです。
知識についても、知ったかぶりは禁物です。
いっぱしの大人の年齢なのに、知らないことがたくさんあるのは、恥ずかしくもあります。しかし、その場は恥ずかしい思いをしても、「教えてください」と問うたほうが、あとあと、よほどいいのです。
インターネットがあればなんでも調べられる時代ですが、そこにある情報の精度はわかりません。表層だけみてわかったつもりで、実は理解していないこともたくさんあります。
ある上場企業のトップの方は、わからないことがあればきちんと「私はそれを知らないので、教えてください」とおっしゃるそうです。
文化的な素養もあり、世の中にさまざまなことを発信する大企業のトップですから、「まさか、この人が知らないはずはないだろう」とみんな思うでしょう。
しかし、一つを極めている人だからこそ、全方位的な知識の持ち主ではないのかもしれません。ほんとうに偉い人ほど情報通ではなく、もしかしたらなんでも知っているのは側近の役割なのかな、とも思いました。
いずれにしろ、それほどの人が、「知らないことは、知らない」と言うと聞き、僕はちょっと安心しました。知ったかぶりをせず、きちんと教えてもらったほうがいいという思いを強くしたのです。
妙なごまかしをせず、「この人なら、詳しいだろう」という人に、心を込めてお願いする。そうすれば別の世界が広がります。生で人から教えられる情報によって、仕事の幅も生活の幅もぐっと広くなるということです。
目指すところは、教わり上手。
教わる時は、謙虚でありたいし、素直でありたい。ユーモラスに、笑顔を絶やさず、愛嬌のある態度でお願いしたいものです。
○知ったかぶりをせず、謙虚で素直な教わり上手になるのは大切なことです。