相手の気持ちを知るには、近づきすぎてはいけません。

 大好きな相手でも、ちょっと苦手な人でも同じです。

 半径50メートルの地図ではかえって方向が分からなくなってしまうように、全体を見渡さないと見えてきません。

 大きな地図を持ちましょう。まず、物事の全体を見渡して、それから相手と自分にとっての「ベター」を探すのです。

 このとき、くれぐれも「ベスト」を見つけようとしてはいけません。何がベストかは状況によってもその人の心の状態によっても変わるし、正解を見つけるのがたいそう難しいものです。

 「お互いのベストを見つけよう」と考えると、なかなか前に進めません。

 また、ベストなことというのは、たいていどちらが一方にとってのベストであることが多いものです。一回は相手のベストな方向に進んでこちらが我慢したとしても、それが2回、3回と続いたら、うんざりしてきます。

 「つきあいきれない」とどちらか一方が思うことが重なれば、やがて関係はこわれてしまうでしょう。

 しかし「ベター」であれば、注意をこらすと、だんだん見えてきます。

 お互いが多少は我慢をし、お互いがそれなりに満足できる道、それが「ベター」だと考えています。

 全体の地図を見渡して、二人の「ベターな道」を探しましょう。そうするうちに、相手の気持ちも自然と見えてきます。

「この人は今、ちょっと無理をしているんじゃないか?」

「この人は、じっと我慢しているのではないか?」

 そう感じたときは、「二人のベター」ではなく「あなたのベスト」を選んでしまったということ。振り出しに戻って、違う道を探しましょう。

 

○近づきすぎると、かえって相手の気持ちが見えなくなるものです。

○大きな地図で全体を見渡して、お互いにとっての「ベターな道」を探しましょう。