―人間関係でも、これは同じ

急ぎすぎても、のんびりしすぎてもいけない

 

 「啐啄同時」という言葉があります。

 雛が卵から孵ろうとするとき、なかから合図のように殻を吸ったりつっついたりします。この状態が「啐」です。

 一方で親のほうはその合図を聞きながら、外側から殻をつついてやる。これが「啄」です。

 これはとてもデリケートな作業で、雛の体ができ上っていないうちに親が殻を割ってしまうと、雛は死んでしまう。雛が殻をつつく音をしっかりと聞きながら、よし大丈夫だと思ったところで、丁寧に外側から殻を割ってあげる。

 つまり「啐啄同時」とは、両者にとって絶妙なタイミングのことを言うのです。

 これは、子育てはもちろん、上司と部下といった師弟関係にも通じることです。

 相手を育て上げるときには、急ぎすぎてもいけないし、のんびりしすぎてもいけない。育ててもらうほうは、それなりの合図を相手に送る必要がある。

 二人のタイミングが合ったとき、最良の結果が生まれるものです。