東洋思想には天地人三才思想(三元)という考え方があります。
天の陽気と地の陰気が調和することで、ヒトの気が生成されるという考え方なんです。
四柱推命も東洋思想によって理解され発展してきた占術なので、この三才というものを推命にも当てはめることができます。
命式の天干を天元、地支を地元、そして地支蔵干を人元とするのです。
天干と地支に関しては、よほど生年月日を読み間違えない限りは、違う命式になることはないですよね。
だけど、地支の蔵干に関しては、意外なことにさまざまな説が乱立しているのが推命界隈の実態なんです。
四柱推命って世間一般のイメージでは、理論的で複雑な運命学の印象があると思うんですけど、占いをする上で基本となる『蔵干』の理論からすでに異説があってさまざまな理論が展開されているんですから、実際にはかなり曖昧なまま占ってしまっているケースも結構見られるんですよね。
特に命式自動計算ソフトで自動算出した蔵干をそのまま採用している場合は要注意ですよ。
蔵干を誤解して命式を読み間違えてしまうのは、言わば誤診というもの。
最悪の場合取り返しのつかないことにもなりかねません。
正しく蔵干を理解することは、四柱推命鑑定においてとても大事なことなので、今日は蔵干について話して見たいと思います。
そもそも『蔵干』とはなんぞや?
万物が生成化育するには、天の陽気と地の陰気が交わる必要があります。地は天の気を育んで新たな命を吹き込む役割をするわけです。
そうした時に、地支の十二支をそのまま十二支として見たのでは、天の気と地の気の交流がわかりません。
それで古の人は地支の中にも天干の気が蔵していることに気がつくわけですね。
つまり”地支にも五行十干の分類がある”ということなって、初めて天干の気と地支の気に関係性が見出されました。
これを天地のあいだに立っている人間に見立てて、蔵干を人元と言うことになったわけなんですね。
実際にどういうことかというと、天干にある気が地支の中にもエネルギーとして有している時には、その天干の気は虚でなく実とみることができますし、反対に地支にのみエネルギーを有して天干に現れないときは、雰囲気が漂っているだけで実態がないということになります。
ちなみに1つの十二支には最大で3つの五行が蔵干として内蔵されています。
少ないものだと1つの十二支で1つだけの五行のものもあります。
冒頭に書いた、蔵干の理論が流派や占い師によって異なるというのは、この最大で3つある蔵干の気のどれを優先にするか?ということに違いがあるからなんです。
例えば丑の蔵干は癸・辛・己の3つですよね。
このうちどの蔵干を有力だと判断するかによって、天干のエネルギー源として丑をどう捉えるかが違ってきます。
つまり、天干が通根できるのか?それともできないのか?という根本的な力量の判断に関わってくるんです。
これはとっても重要なことなんです。
なぜかと言うと、天干が通根できるかできないかは、その命式の身旺・身弱の判断や、用神・忌神の強さを計ることに直結するからなんです。
身旺か身弱かを間違えれば、判断は正反対になってしまいます
身旺・身弱を間違えると用神と忌神を取り違えてしまい、猛毒をお薬として処方してしまうようなものなので大問題ですよね。
毒を処方するということは、相談してくださった人を間違えた方向へと導いてしまうことへとつながるので、最終的にその人を不幸してしまうということです。
これだけは占い師として絶対に避けなければなりません。
だから、蔵干を正しく理解して、天干が通根できるかどうかを把握することが、命式解読の最重要項目なんです。
命式自動計算の蔵干はどうなっているのか?
私がときどきブログに掲載している『マニアック四柱推命』の命式はどうなっているかというと、地支から蔵干を一つだけ取り出す方法を採用しています。
1つ例を出します。
この命式では、寅の蔵干が戊、卯の蔵干が甲、亥の蔵干が戊、戌の蔵干が辛となっています。
赤く囲んだ部分です。
これがどうやって計算処理されているかというと、『月律分野蔵干』と呼ばれる蔵干採択法によって算出されているんです。
サイトではこのような月律分野蔵干深浅表がシステムの中に組み込まれているのでしょうね。
この手法というのは、節入りから何日経っているのか、その日数経過によって蔵干のどの十干の気が強いのかを自動的に判断する方法です。
例題の命式であれば、この日は節入りから2日しか経過していないので、早見表の『節入後7日迄』という項目から横軸を見て十二支の蔵干を抽出しています。
蔵干には余気・中気・正気という区分があって、月律分野蔵干の考え方では、節入りからの日数経過が浅い場合は余気の蔵干を採用するというルールになっています。
なので、寅や亥などの十二支は季節のつなぎ目として入っている余気の戊が採用されることになります。
蔵干の判断法は1つじゃない!
ここで一旦、蔵干の判断法について、世間に出回っている主な説を整理したいと思います。
1 全ての気を考慮しつつ、正気を重んじる方法
2 正気だけを取り出して判断する方法
3 月律分野蔵干の浅い深いに基づいて、蔵干を1つ採用する方法
おおよそこの3パターンがありますが、『マニアック四柱推命』をはじめとする多くの命式自動作成サイトでは『3』の、月律分野蔵干の深浅で1つだけ取り出す方法を採用しているものが最も多いんです。
その次に多いのが、『2』の正気だけを取り出して判断する方法です。
だけど蔵干って日数の経過で色合いが変化するように変わっていくものなのでしょうか?
それに、正気だけを取り出して判断するのであれば余気も中気も不要ということですよね?
他にも蔵干の異説というは多数あって、例えば『子平大法』という古典では、全ての蔵干の中気を廃してしまっているんです。
これはまあ極端な例ですけどね。
だけど本来であれば蔵干判断は鑑定を始める前の準備段階の話ですよ?
その時点で、理論が異なるってことは当然鑑定結果は全然違うものになってしまうんです。
人様のお役に立てるような鑑定をするためには、絶対にちゃんとした蔵干の考え方を知らなければならないと思うんです。
ここで考えなければならないのは、そもそも十二支の蔵干とはどういった理論のもとで蔵干として収蔵されると考えられるようになったのか?ということです。
十二支と蔵干を見比べてよくよく分析してみると、蔵干はその十二支の季節の五行と、三合会局に関わる五行が収蔵されています。
(一部には季節の変わり目としてイレギュラーに挿入されている五行もありますが。)
そこにプラスして、辰未戌丑の土の十二支には土の五行が収蔵されています。
つまり、蔵干というのはランダムに収蔵されているのではなく、方合や三合の理論と密接に関係があるということなんです。
だから命中に合・局・半会があるときは、基本はその五行の蔵干を重く見なければならないんですね。
それを節入りからの日数経過だけに基づいてオートマチックに1つだけ蔵干を採用する手法でやってしまうと、合や局の意味を無視してしまうことなるわけです。
例題の命式ならば、寅卯の東方合半会があるため、寅は本来戊ではなく甲の蔵干を重んじる方が適切だということなんです。
これが、命式自動計算ソフトで自動算出した蔵干をそのまま採用している場合は要注意、と言う所以なんですね。
正直言って、月律分野蔵干でやると鑑定を外してしまうと思います。
この命式の正しい蔵干判断は?
もう少し詳しく見ていきましょう。
この命式、辛日干は時支の戌の蔵干に辛の比肩があって通根するように見えますが、この比肩は実際には比肩としての役割は薄いです。
また、寅や亥の蔵干が戊で、時干にも戊が透干しているので印綬が多くて強そうですが、この命式の寅亥の戊は認め難いものです。
先ほども述べたように、寅は甲の蔵干を重く見ますし、亥に関しても戊ではなくて壬の蔵干を重くみるべきでしょう。
命式表のどこを見るべきか?
じゃあ結局のところ自動作成した命式表のどの部分を見るのかと言うと、この部分なんです。
え?これだけ?
って思うかもですけど、実際本当に天干地支の八字しか見ていません。
通変星は?
と言われそうですが、相生・相剋の関係がわかっていればわざわざ通変星早見表を見なくても通変星は頭の中で出せます。
大丈夫、ずっとやってると誰でも出せるようになります。
蔵干も暗記していれば、蔵干にも通変星をつけた状態まで、この命式を見ただけで頭の中にイメージできるようになりますよ。
早く暗記して身につけるコツがあります。
命式作成ソフトの話をしている最中に言いづらいんですけどね…。
結局、実際に万年暦を開いて自分でノートに命式を書き出すことを何度もやるのが一番早いと思います。
初めの頃は蔵干も全部記入して、天干と蔵干全てに通変星を書き込んでいるんですけど、いつの間にか身につく頃には自ずと八字以外は省略した形で記入するようになってることでしょう。
もし万年暦がないのであれば、マニアック四柱推命などで算出した命式を改めて自分でノートに書き写すというのも手です。
ただし、命式自動作成には大きな問題点もあるんですよ。
実は命式そのもの、つまり天干地支自体が間違っていることがあるんです。
次回は実際に検証したデータで、命式自動作成の危険性についてお伝えしますね。
今日はここまで。
最後までお読みくださってありがとうございます。
ココナラで最低価格500円から鑑定を始めました。
もし、お悩みやご相談などありましたらお気軽にお申し込みくださいませ。
(画像をクリックするとリンク先に飛びます)