カルニタスを食べる | しちにんブログのブログ

カルニタスを食べる

カルニタスを食べてきた。


カルニタス、というのは、メキシコで言うところの「豚肉」だ。

豚肉に、二郎や富士丸的な調理をほどこし、スパイスやオレンジジュースなどで味付けするとカルニタスになる。


これを、トルティーヤ(コーンのも小麦粉のもある)につつみ、サルサ・メヒカーナ(トマトと玉ねぎの酸っぱいソース)やサルサ・ヴェルデ(青いトマトっぽい野菜を使った緑のソース)とパクチーをのせると、我々の知るタコスとなる。


もちろん、YouTuberに触発されたのだった。



Genの本棚食堂。大好きなチャンネルだ。
これを見て、ぜひ食べねば、と思った。
ただ、作るにはハードルがたかく、我が地元のタコス屋は日曜定休。
なのでお隣、広島へ食べに行くこととしたのだ。

タコスと言っても、日本だとひき肉だったり牛肉(カルネアサダ)だったりするので、ちゃんとカルニタスを置いていて、かつ昼営業してるところを選んだ。

広島駅から路面電車に揺られて紙屋町へ。Cantina23というお店につく。


カルニタスは仕込みが大変なのとけっこう一人前に量が入るので、かなり高い。
これはしょうがない。


タコスは“Tex-Mex”というジャンルでくくられている。
Tex-Mexとは、テキサス州で発展したメキシコ料理、という意味だ。
アメリカは移民の国なので、世界各地の料理を鷹揚に受け入れ、自国内で消化、発展させる文化を持つ。世界の料理を輸入して改良するというのは日本だけの専売特許ではないのだ。

ポークのタコスを2つ注文する。
一人前で、タコスは2個ついてくるので、合計4個。これにドリンクセットでコーラをつける。
タコスには炭酸飲料、それもコーラが合う。

きた。



見かけは小さく見えるが、たぶん普通の食欲を持つ人ならば、2個で胃袋が終わる。

ライムやタバスコ(後がけ)の酸味ですっきり食べられるとはいえ、一個に二郎のブタ一〜二枚分は確実に使われている。

食べてみると、実にうまい。

僕は、この世の中で最も加工肉を上手に食べさせる料理はなにか? と問われたら、おそらくホットドッグと答えるだろうが、そのランキングに猛烈な勢いでタコスが食い込んできたかっこうだ。

まず、カルニタス自体は本場より相当マイルドな味付けになっている。
あまりスパイスを強烈には立たせずに、日本人好みにじんわり旨味を感じるように味を設計した、実に柔らかい豚だ。
使用しているスパイスはクミンだけはわかった。クミンはタコスの友達である。
そして、このクミンの香りとトルティーヤのコーンの香りが合わさると、日本人にはお馴染み、あのドンタコスのような味になる。

そこへ、サルサ・メヒカーナのトマトと玉ねぎが合わさると、おお……。
うめえ!

あとを追っかけるように、後がけしたライムとタバスコの酸味、辛味がずずいと押し寄せ、その頂点にパクチーの癖のある香りが乗る。旨味の相乗効果だ。

ほんとうに、このタコスという料理はよく考えられている。

豚の脂をトマト、玉ねぎの爽やかさとライム、タバスコの酸味、辛味が切り、豚に仕込まれたクミンの香りがトマト、玉ねぎの爽やかさとベストマッチする。
またクミンとトルティーヤが重なったことで、独特の香ばしさが食欲をそそり。
アボカドのコクが豚の旨味をプラスアルファで押し上げる。

さいこうだ。

ただ……このパクチーだけは……。
Genさんは動画の中で、パクチー嫌いな人でも旨いと言っているが、自分はあまりにも嫌いなため、この香りの洪水の中でパクチーだけ香りを立体的に嗅ぎ分けてしまい、少し嫌な思いとなった。

ただ、パクチーの鮮烈な香りがこの料理に必要な理由はよくわかる。青い香りが好きな人にはたまらないだろう。

全体的には、非常に高度な旨さで大満足の一品だった。
それとともに、これをライスで食おうと思った沖縄のタコライス開発者の閃きにもまた、改めて恐れ入った。
タコライスもまた旨いのよ。
こんど地元に食べに行こう……。