子どもは、同じ絵本を繰り返し呼んでもらうことを好みます。

これを呼んで欲しい、と子どもが持ってきた絵本を読み終えても、

「もう一回読んで。」「もう一回。」「もう一回。」と、

絵本のストーリーを既に知っているのに、

何度も何度も同じ絵本を読みたがる、というのはよくあることです。

 

同じ絵本を繰り返し読むことを『精読』と言います。

子どもは、精読することで、いつの間にか単語やフレーズ、文章を暗記します。

それは、同時に仮語彙(かりごい)※音は知っているけども意味を知らない語彙。

が蓄積されていることを意味します。

また、目に入るイラストや、声の抑揚、知悉語彙(ちしつごい)※よく知っている語彙、

などの情報を使い、文脈からそれらの仮語彙を語彙化し、更なる知悉語彙数を増やします。

 

同じ絵本でも、毎回歌らしい発見やそこから受ける異なった印象から、

新鮮にイメージを捉えることが多く、子どもはこの繰り返しが大好きなのです。

繰り返しは大変質の良い刺激と言われています。

子どもが何度も同じ絵本を読みたがる、読んで欲しがる時は、

無意識に精読を行い、言葉を育てるシグナルです。

 

6歳までの幼児期は、年齢が低いほど右脳が優位に働いています。

右脳は入ってきた情報を、理屈抜きで高速自動処理します。

だからこそ幼児期は無意識学習として入力することが中心になります。

ですが、″無意識学習″でなくても「楽しい」「嬉しい」という気持ちで行うと、

スイスイと吸収するものです。

 

しかし、子どもに無理に繰り返し絵本を読むのは逆効果です。

「飽きた」という意識は左脳を優位に働かせます。

左脳は、入ってきた情報を一つずつ理解・理屈を求めて、ゆっくりとしか処理しません。

つまり「飽きた」という時には、左脳が学習を拒否している状態であると言えるのです。

 

母子一体感をもち、『楽しく・無理なく出来る、繰り返し』を行いましょう。

 

もちろん、絵本読みに限らず、家庭での取り組みで、子どもが飽きないように、

膨大な時間とエネルギーをかけて工夫するよりも、

まず子どもが好んだしたがる取り組みを、繰り返し行なってあげましょう。

子どもの反応をよく観察すると、私たち大人が思う以上に、

子どもは繰り返しか大好きなことに気がつかれるはずです。

 

また、「精読」とは別に、幅広く多くの絵本を読み聞かせる『多読』も、

読解力育成につながる大切な学習法です。

″言葉は愛情の座に育ち、言葉が子どもの意識を変え、精神を育てる″といわれています。

 

「精読」「多読」のどちらも大切にし、その取り組みを通して親子の絆を更に深め、

子どもの言葉と心を豊かに育てましょう。

 

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