田舎育ち、都会へ行って人酔いする | 鹿吉の徒然なるままに by Shicayoshi Cake Lab.

鹿吉の徒然なるままに by Shicayoshi Cake Lab.

ひとつひとつを丁寧に、食べてくださる方を想って焼き上げる、を信念に掲げた焼き菓子屋の徒然なる日々を綴っております。

タイトル通り、昨日は大都会名古屋へと足を伸ばす予定がございまして…

行ったはいいが、すっかり慣れない都会の喧騒に人酔いをして貧血失神寸前だった鹿吉です。

こんばんは(笑)

 

なぜに名古屋に行ったのか、という話を是非とも書きたい!と思っておりましたが、その前に人酔いしたからこその出会いもあったりしまして、本日はまずそちらの話から書きたいと思います。

 

普段が朗らかで穏やかな田舎生活を満喫している私でございますので、人混みかき分けて歩くような状況へと身を置くことがございません。

 

如何に日帰りと言えど、大都会名古屋へと出向いたからには是非とも食べたいものや行きたい場所などがございまして、田舎もの丸出し根性で朝から意気揚々と名古屋入りいたしました。

 

名古屋グルメや名古屋体験は明日にでも書きますが、朝から出掛けてまずは軽く名古屋グルメを楽しみました。

 

けれどもですね、名古屋というものは恐ろしい場所でもございまして、どこに行っても人人人…

 

人以外のものは存在しないのではないか、というほどにあちらもこちらも人で溢れ返っているような活気ある街でございます。

 

視線を上げれば、建ち並ぶ空を隠してしまうようなビル群。

ビル群の隙間を縫うようにして増殖していく人人人の姿。

ビルの合間から覗く空をちらりと眺めて、時折目に映る木々の緑に癒される心持ちで名古屋の街を満喫しておりましたが、もともとが田舎ものの私でございます。

 

すっかり人酔いして眩暈と吐き気に襲われてしまいました。

 

帰路に付くために名古屋駅まではなんとか辿り着きましたが、このまま電車に乗れば確実に吐く…と一緒にいた父を脅してカフェタイムを取ってもらうことにしました♪

 

待ち時間なしで、駅近という有難いカフェへと辿り着きました。
 
といってもここは朝食の女王「サラ・ベス」でございますから、普段はかなりの待ち時間が発生するカフェでもございます。待ち時間ゼロで席に案内された奇跡に感謝しないではいられません。
 
「お、珍しいな!」
 
と父には言われましたが、気分の悪いときは炭酸気分の私はアップルタイザーを注文いたしました。フードメニューも魅力的なものばかりでございましたが、人酔いした胃の状態ではなにも食べる気が起きません。
 
チーズ&マカロニ、食べたいな、と思いつつ、それは次回の楽しみにしておこうと思って、私はとにかく人酔いから回復しようと深く椅子に身を沈めました。
 
そしてそのときになってやっと周囲の状況を見る余裕が出てきたのでございます。
 
私の右隣の席は空席でございまして、そのもうひとつ奥には女性ひとりのお客様がとても真剣に味わうように食事を召し上がっておりました。
 
そして左隣には男女のお客様がおられました。
 
男性の方は年の頃は65歳前後。
もしかすると70歳近くまでいっているかもしれません。スーツにネクタイを合わせ、ほろ酔い加減に顔を赤く染め上げて、実に豪快に声高におしゃべりをしておりました。
 
その向かい側に座っている女性はおそらく20代。
30を少し超えたくらいの可能性もございますが、未だ年若いのは間違いないところ。
僅かに高い、媚びるような相槌を打つだけで、ほとんどお話はされておりませんでした。
シャネル風のツイードワンピ(ピンク)を着ており、むっちりとしたボディを惜しげなく見せつけておりまして、年の差と雰囲気からどういう関係なのだろうか、と私の妄想力が掻き立てられたのでございます。
 
テーブルの上にはシャンパングラスがふたつ。
そのどちらにも半分程度のシャンパンが残っておりました。それ以外はなにもなく、メニューがぽつんとあるばかり。
 
周囲に気遣う気配すら見せない男性は変わらず大声で話を続けておりましたので、私はスマホを取り出すとスマホに夢中になっているかのように取り繕って耳を最大限に彼らの方へと傾け始めました。向かい側に座っていた父もスマホでニュースを読んでいたようで、とくに会話もなかったので好都合だったのでございます。
 
男性はトヨタのエンジン関連でニュースになったばかりの話題を話しておりまして…
 
「僕の同窓生がさ、ほら、まさにいま話題のトヨタ関連の社長でさ、紡績系だけどね、しかも代わったばかりでさ、きっと今頃大変だろうな、って話してたんだよ」
 
「へえ!」
 
「僕の同窓生はさ、結構、そういう社長系?が多くってさ、しかもトヨタ系ね!集まるとそんな話ばっかだよ」
 
「凄いですね~」
 
なるほど、まずは盛りに盛った
 
俺、凄いんだぜ!
 
話で自慢をするわけですか、ふんふん。
 
そして女性の相槌に少しだけ熱が加わり始めた頃、とうとう男性が女性を遠回しに口説き始めたのでございます。
 
「僕の兄貴はさ、脳外科医なんだけど、脳外科って凄い忙しいんだよ」
 
「そうなんですか?」
 
「うん、兄貴が医者になった頃って内科とか皮膚科とかは医者じゃないって風潮でさ、今は違うよ?昔はね、外科以外は医者じゃないって感じでさ、兄貴はその中でも一番だって言われる脳外科を選んだわけ」
 
上記の発言はまんま記載しているだけでございまして、決して私の意見ではございません。
なに科であろうと須らく専門医の方には敬意を表しておりますし、感謝もしておりますので。
 
「そうなんですね~」
 
「それでさ、結婚したはいいけど、忙しくて家にいないわけ。新婚からひとりの生活に奥さんがとうとうやられちゃってさ、救急車の音が聞こえる度にまたひとりにされるって神経やられちゃって、結局結婚生活は破綻しちゃってさ」
 
それはお気の毒……
 
「だからさ、僕は歯医者を選んだわけ」
 
「そうだったんですね~」
 
歯医者だって決して忙しくないわけではないかと存じますが……
少なくとも私の知っている歯科医院はブラック企業も顔負けの忙しさでございました。
 
脳外科医の兄を持つ歯科医の男性。
遠回しの口説き文句も尽き果てかけた頃、女性の相槌にほんの少しだけ甘えたような声音が交ったのを聞き逃さず、ぐぐいっと押してきました。
 
「もう、そういう返しがズルいんだよな~、だから僕、君には弱いんだ♡」
 
口に含んだアップルタイザーを吹き出して父にぶっかけなかったことを偉かった!と褒めてください。
 
マジでブーッと吹き出すかと思いましたよ……
 
なにも女性は特別なことは言っておりません。
ただただ「へえ!」「そうなんですね!」「凄いですぅ」を使い回していただけにございます。
 
さすがにこの一言に引いたらしい女性が話題転換を試みまして……
 
「先生、先日の発表はどうだったんですか?」
 
と私が聞き耳を立ててからはじめて話を振りました。
すると男性がちょっと冷静になったかのように椅子に座り直しまして
 
「あぁ、あれね、あれはさ、歯科医師会での発表じゃなくって三師会だったから、そんなにちゃんとしてなくもよかったから楽だったよ」
 
「そうなんですか?」
 
「うん、あ、でもちゃんとしていったよ、一応は話す方だからね、っていっても30分くらい調べたくらいだけど!」
 
あぁ…
 
俺は30分もやればいいもん、作れちゃうんだぜ♪
 
という自慢でございましょうか?
 

その後も長々とどんな話をしたのか、鼻息も荒く話しておりました。

内容としては糖尿病歴のある歯周病患者の歯周病が改善されれば糖尿病も改善されるというデータがある、という話でございました。

今はもう、かなり有名な説でございます。

 

万病のもとは口から、とか歯磨き粉のCMにも使われているくらいの説にございます。

 

鼻持ちならない自慢話に、笑顔もなく、それでも相槌だけは可愛らしく打つ女性にすっかり夢中だった私に父が「そろそろ電車の時間だな、もう帰れるか?」と聞いてきました。

 

時計を見れば確かに帰らなくてはならない時間にございます。

私の人酔いもすっかり治まっておりましたので、帰るのにまったく問題はございません。

 

けれども……

けれども…!!!

 

逡巡する私に父が顔を寄せてきて小声で言いました。

 

「なんだ?隣の話、もう少し聞きたいか???」

 

バレてた~ッ????!!!!

 

スマホでゲームしている風を装って話に聞き耳立てていたことをすっかり父には見抜かれておりました(笑)

 

もう5分だけ、と聞いておりましたが、時間に追われるようにしてお店を出てきた私は今日も元気に焼いております。

今月末までこの可愛らしい形のサブレで販売しております。

 

スパイス風味のサブレ(サブレ・オ・エピレ)

レモン風味のサブレ(サブレ・オ・シトロン)

バニラ風味のサブレ(サブレ・オ・ヴァニーユ)

 

3種だけこの形にございます。

是非是非今だけのサブレをお楽しみ下さいませ~♪

 

ご興味を持っていただけた方はどうぞこちらへポチっとな、宜しくお願いいたします~

 

ちなみに会計時、あまりにも気になったので私の視線は未だ席に残っている彼らへと向けられておりました。

 

私の斜め向かい側に位置していた男性はよく見えたのですが、横に位置していた女性は顔をそちらに向けないと見えなかったので、真正面から女性を見据えることのできるレジは非常に興味深い場所でございました(笑)

 

相変わらず男性の自慢話は続いているようで、女性は少ないジェスチャーを交えながらひとつひとつの話に反応しておりましたが…

 

私、見てしまいました。

 

欠伸をかみ殺しているのを…ッ!!!!!!

 

一体彼女は何目的で欠伸をかみ殺してまで自慢話に付き合っているのだろうか、と思わず首を傾げてしまいました。

 

それにしても都会というのは面白いものにございます。思いがけない人物に出会うことができ、妄想力がいたく刺激されました(笑)

 

本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

またいらしてください~♪

お待ちしております!!!