盆と正月が一度に来る現象 | 鹿吉の徒然なるままに by Shicayoshi Cake Lab.

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ひとつひとつを丁寧に、食べてくださる方を想って焼き上げる、を信念に掲げた焼き菓子屋の徒然なる日々を綴っております。

甘い匂いが充満するラボが久々な気がする鹿吉です。

こんばんは!

 

ちょっとお休みをしていただけなのに、嗅ぎなれた甘い焼菓子の香りが本当に久しぶりに感じてしまいました。自分で食べるわけでもないのにほっこりと幸せ気分になります。

 

ということで本日は盆と正月が一度に来た気分になった話をひとつ。

 

私は牛乳の苦手な子供でございました。

とくに給食で出てくる瓶入りの牛乳が本当に苦手でございました。

 

紙パックの牛乳ならいいのか、ということではなく、あの絶妙に温い、ある意味で飲み頃温度の牛乳のにおいが苦手だったのでございます。

 

自宅の冷蔵庫に入ってキンキンに冷えている牛乳なら、まだ辛うじて「美味しい、かもな…?」というくらいには飲めました。もったりと喉を潤す独特の粘性の喉越しも、喉を通過する際に鼻に抜ける乳臭さもあまり感じないでいられますので。

 

お腹の調子を崩すことを心配しなくていいのなら、氷入りの牛乳ほど飲みやすいものはございませんでした。

 

ですから給食の牛乳は私の天敵ともいえる飲み物だったのでございます。

 

食事時のドリンクはお茶が一番にございます。

食べたものを綺麗さっぱり口腔内から消え去る効果を持ちつつ、ちゃんと食事の味わいが舌に残る、本当に素晴らしいドリンクにございます。

 

牛乳はその真逆の存在にございました。

 

ホットミルクならホットミルクで美味しく感じますし、氷入りならそれもまた美味なのでございますが、給食の牛乳は違います。

なぜあれほどまでに食べ物の味わいを損ね、まったり濃厚に喉を中途半端に潤し、飲んだ後ににおいがしつこく鼻に残る飲み物が給食のお供に選択されてしまったのか、如何に栄養面での話であったとしても私にとって到底容認しがたい現実にございました。

 

とにかく給食の牛乳が大嫌いだったのでございます。

 

けれども昭和のお約束で給食のお残しは許されない環境にございました。

牛乳に限らず、主菜も副菜もなにもかも、器がピカピカ綺麗になるように食べるのが絶対でございましたので、毎日のように半泣きになりながら牛乳を一気飲みしておりました。

 

まだ少しでも冷たいうちに飲んでしまいたいという気持ちから私は一番最初に牛乳を一気に飲むことにしておりました。給食室から運ばれたばかりの牛乳はほんのりと冷たかったのでございます。

 

基本的に好きなものは後で食べる派の私でございますから、苦手な牛乳を一番最初に飲むのは自分の中で実に合理的だったのでございますが、こんな私が牛乳を最後の楽しみに取っておく日が月に一度だけございました。

 

それがミルメークデー!!!!!

 

ご存じですか、ミルメーク?

栄養補助食品のひとつなのか、どうなのか、とにかく月に一度だけ給食に現れる、私の中ではアイドル的存在の魔法の粉にございました!

 

こちらですね~

 

 

牛乳に溶かせば、あっという間にコーヒー牛乳にしてしまう、まさに小学生垂涎の魔法の粉!!!!!

 

私の時代の給食に出てきたのはコーヒー味だけで、随分と高学年になってからココア味が追加されるようになった記憶がございますが、それ以外にも今はこんなにバラエティー溢れるラインナップになっているみたいですね~

 

個人的にはキャラメルが気になります(笑)

 

もうこれが出てくる日はまさに盆と正月が一度に来た日のように興奮Max。

朝から給食が楽しみで仕方なく、牛乳すらも少しでも多く入ったものがないか、牛乳瓶の詰まったプラスチックの箱を眺めたりしておりました(笑)

 

それこそひとりで小躍りしながら給食の配膳に並んだものにございます。

 

最後まで牛乳を取っておいて、すべての食事を片付けてからミルメークを牛乳に入れる瞬間!

この瞬間がとても緊張するのでございます。少しでも零したくないのに、瓶の口は狭く、子供の手先は不器用。慎重に粉を入れる自分の手が緊張で震え、パラパラと少し机に零してしまったときの衝撃たるや、まるでこの世の終わりが来たかのよう…(笑)

 

瓶の口に付いてしまった粉を舌で舐めとり、丁寧に蓋をして、瓶を上下に揺らして溶かしながらコーヒー牛乳へと素晴らしい変貌を遂げた牛乳を飲む瞬間を心躍らせて待つ、あの時間。

 

今思うと宝物のような時間だった気がいたします。

 

普段は一気に飲む癖に、ミルメークのときはチビチビと惜しみながら飲みました。ゴクゴクと飲めばもっと美味しいだろうな、と考えつつも、あまりにも勿体なくてそれが出来ず、一滴でも堪能するべし!と真剣にミルメーク牛乳と向き合っていたような時間にございました。

 

本当に子供っておばかで可愛らしい、と自分のことながら微笑ましく思い出します。

 

そのうち給食の時間だけで終わってしまうミルメーク至福タイムがあまりにも惜しくって、牛乳をいの一番に半分だけ飲み、最後に半分だけミルメークを入れてコーヒー牛乳にして飲み干し、残った半分のミルメーク(粉状のまま)を帰宅道中にチビチビと指で摘まんで舐めるという楽しみを覚えました(笑)

 

たったひとつの、小さな小さな袋に入った、コーヒーフレーバーの甘い粉にあれほどの幸せを運ぶ力があったんだ、と振り返って感じております。

 

鹿吉の焼菓子にもミルメークのような幸せを運ぶ力が宿るように祈りながら私は今日も元気に焼いております。

昨日に引き続き、販売開始のお知らせをいたします。

 

プチタルト・オ・ショコラを本日より販売開始いたしました~!!!

是非一度ご賞味くださいませ~

 

試作段階で高得点の合格をいただいたこちらの商品、本当におススメでございます。

ひとつで充分に満足できるガツンとした焼菓子にございます。珈琲でも紅茶でも、ヴァローナのチョコレートを使用しているのでワインにもシャンパンにも合う焼菓子。

 

ご興味を持っていただけた方はどうぞこちらへポチっとな、宜しくお願いいたします~

 

ちなみにミルメークを楽しみにしていたおばかちゃんは私だけでございませんでした。

ですからミルメークの日に学校を休む人がいたときはかなり激しい争奪戦が繰り広げられることになったものにございます(笑)

 

余った牛乳とミルメークは給食を早く食べ終わった人から先着順で争奪戦に参加できるという暗黙の了解がございまして、大抵は数人の男子がほぼ同時に食べ終わり、ジャンケン大会へと進むのが常にございました。

 

私もなんとか争奪戦に参加したい気持ちはあるのですが、如何に早食いをしても、彼らに勝てることはありませんでした。それこそ給食の時間が始まり、クラスメイト全員で「いただきます」を言った数分後には争奪戦の始まりですから、普通に食べていては絶対に参加することはできません。

 

流し込むようにかっ込むしか参加権を手にすることはできないのでございます。

 

あれは小学3年のときだったかと思います。

ミルメークが出る日の出席率はかなり高いことが通常なのに、その日はどうしたことか3人のお休みがありました。当然余るミルメークも3個にございます。

 

この日こそ争奪戦に参戦せねば!と私は自分が給食係だったことをいいことに、いつもよりも主菜も副菜もかなり少なめによそいました。コッペパンのようなパンが二本、付いてくるのですが、それも手で握りつぶして小さくして口に突っ込むという荒業で早食いをし、なんとかミルメーク争奪戦に参加することができたのでございます。

 

まさに奇跡の日でございました!!!!!

 

意気揚々とジャンケン大会へと向かい、なんとか私はミルメークをゲットすることにッ!!!

 

これほどの幸せがこの世にあるだろうか、とその場で泣き崩れそうな気持ちでミルメークを先生から受け取り、それを溶かすための牛乳を受け取ろうとした、その刹那……

 

ジャンケン大会にも到達できていなかったはずの男子生徒がひとり、

 

腰に手を当てた格好で私のものになるはずだった牛乳を煽るように一気飲みしていたのでございます!!!!!

 

なにゆえ~ッ???????????

 

残っているのは私の掌のうえのミルメークだけ………

 

呆然とする私。

驚きに目を見開く先生。

周囲の生徒は男子生徒の所業に小さな笑いを洩らし、私にジャンケンで負けた男子はあからさまに私を指さして「ザマーミロ」と罵倒してきました。

 

「なんで飲んじゃったのかな???」

 

先生の問いに、ポカンとした表情をした牛乳を飲みきってしまった男子生徒が悪びれる様子もなく答えました。

 

「喉渇いてた…」

 

喉、渇いてた………?????

 

あんた、自分の牛乳、すでに飲みきってるのに、まだ飲み足りないくらい喉渇いてたんかいッ!!!!!!!

 

地団駄踏む気持ちで帰宅し、母にこの一大事件を報告したところ、冷蔵庫内の牛乳で作って飲めばいい、と用意してもらいましたが……

 

なぜでしょうか……

 

給食で飲むときほど、美味しく感じないという……

 

まさに天国から地獄への思い出として色濃く私の中に残っております。

もちろん牛乳を飲んだ男の子のフルネームもしっかりと記憶しております。

 

根に持つと根深いので……(笑)

 

食べ物の恨みは恐ろしい、と実感する話でもございます~

 

本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

またいらしてください~♪

お待ちしております!!!