見極めとタイミングの難しさ | 鹿吉の徒然なるままに by Shicayoshi Cake Lab.

鹿吉の徒然なるままに by Shicayoshi Cake Lab.

ひとつひとつを丁寧に、食べてくださる方を想って焼き上げる、を信念に掲げた焼き菓子屋の徒然なる日々を綴っております。

まさにこれぞ秋晴れ!というような抜群のお天気に空を見上げる鹿吉です。

こんばんは!

 

暑くもなく寒くもなく、時折優しく吹く風が心地よく、とても気持ちのいいお天気になりました。こういうときこそ行楽シーズン真っ盛りだな!と実感します。

きっとお出掛けした方々は素敵な一日を過ごせただろうな、と喜ばしく感じております。

 

さて本日はちょっと逡巡してしまうことについてひとつ。

 

車や自転車での移動が多い私ですが、電車も使います。

出先に駐車場がなかったり、やたらに渋滞ばかりする道が多かったり、単純に移動距離が長い、など車や自転車ではちょっと難しいなと予想される場所には電車で行きます。

 

きちんと乗ればちゃんと目的地に連れて行ってくれる電車は本当に有難く、嫌いではありません。とくに最近では座らずに立っていれば体幹を鍛えるいいチャンスでもありますから。

 

たださすがに疲れていたり、ちょっと体調が思わしくなかったりするときは私も座ります。

 

筋トレに目覚める以前はできれば座りたい派でもありました。

 

通勤で電車を使っていたときです。

杖を突いた年配の男性が発車のブザーが鳴り響くタイミングで閉まりかけたドアを押し広げるようにして電車に飛び乗ってきました。息を荒らくした男性は杖を床について肩で息をしながら、鋭い視線を車内にギロリと走らせました。

 

ドアのすぐそばの席に座っていた私は額に汗を浮かべながら杖を頼りに肩で息をする男性に席を譲ろうか、僅かの間だけ逡巡しました。

迷っているうちに男性の鋭い視線が私を捉えたのがわかったので、すぐに立ち上がり、座っていた席を手で示して

 

「どうぞ」

 

と譲りました。

 

当然、私は男性が言葉なり態度なりで礼を示して座るかと思っていたのですが、

 

「年寄りだと思って譲るのか?!失礼な奴だ!!」

 

と声を荒げられるとは想定もしておりませんでした。

まさかの青天霹靂状態です。

 

「いえ、そういうつもりは…」

 

小声でごにょごにょと呟きながら、私はどうしていいのかわからず、もう一度座り直しました。さすがに驚いたのか、周囲の音が止んでおりましたが、私が座り直したと同時にざわざわと適度な喧騒が戻ってまいりました。

 

どう反応していいのか、わからない私はひたすら俯いていたのですが、その男性は「最近の若い奴はマナーも知らんのか」とずっとまぁまぁの音量で文句を言っておりまして、あまりの居た堪れなさに予定ではない次の駅で私は降りてしまいました。

 

これ以来、年配の方に席を譲るのが怖くなりました。

 

こちらからみて年配に見えても本人にそのつもりがないなら、やはり席を譲られれば傷付くのかもしれない、と思うようになったからでございます。

 

あるときは電車の揺れに翻弄される妊婦さんに席を譲ろうとしたこともあります。

彼女はとても恐縮そうに「大丈夫です」と断ってきました。

それでも大きなおなかを抱えて転がりでもしたら大変じゃないか、と懸念したのですが

 

「一度座って立つ方がしんどいんです」

 

とお腹を摩りながら言われたとき、そういうこともあるのか、とこのときも大人しく座り直しました。

 

これ以来、座ることが楽だという認識を捨てることになりました。

 

あからさまに体調が悪そうだったり、座りたくてキョロキョロとしている年配の方だったり、とにかく明らかに席を欲していると確信を得ない限りは譲らないようになりました。

 

けれど若そうに見えるけれど年配の方だったり、実は立つのも辛いのにそうは見えなかったりする人もおりまして、そういうときは「席を譲ってください」をアピールできるものがあればいいのに、といつも思いました。

 

そんな私が「ヘルプマーク」を知ったのは数年前のことでございます。

赤地に白の十字とハートマークが描かれたもので、外見からはわかりにくいけれど実は精神疾患や障害、難病などを抱えている「支援を必要とする方」が付けられるものだそうです。

けれどその存在は意外とポピュラーではなく、入手方法も知らない方が多いようです。

大きな街では図書館や駅構内、区民センターなどで配布してくださるそうで、そうでなくても市役所など公共の場所での配布もしているとのことでした。

 

いつも席を譲るのを逡巡してしまいますが、このマークを目にしたら迷わず席を譲ろうと思っている私は今日も元気に焼いております。

来月になったら復活させようと考えているほうじ茶サブレサンドでございます。

ほうじ茶の復活は予定しておりますが、抹茶はもう少し考えます。

ちなみにサブレに焼印をするとその部分だけどうしても味が変わってしまうことから、今度は焼印をしない予定でおります。

ご了承ください。

 

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ちなみに上記の年配男性以外で衝撃的な現場を目撃したこともございます。

 

あのときはとても暑い日でして、電車のドアが開く度に熱気の塊が車内を襲うような苛烈な陽気でした。そんなこともあって、私はドア近くではないところに陣取り、電車内を吹き抜けるエアコンの風が当たりやすい場所に立っておりました。

 

電車が駅に着き、ドアが開くなり、ヨタヨタとした足取りの年配女性が大荷物を抱えて入ってきました。彼女そのものに熱気がねっとりとまとわりついており、いかにホームが過酷な暑さだったのかを物語るようでした。

 

彼女は視線を車内に這わせて開いている席を探しましたが、残念ながらどこもなく、気落ちしたように肩を落として涼を求めるように奥の方へと移動しました。

 

それは私の立っている場所にほど近いところでした。

 

両側に座席のある車内はドア付近の熱が高く、ドアから離れるほどにエアコンの効果が発揮されているので熱を冷ますにはいい判断だったと思います。

ようやっと自分の立ち位置を決めた彼女は荷物を足元におろすと、僅かにホッとした様子で強張っていた表情を緩めてつり革を両手でしっかりと掴んで立ちました。

 

暫くは平和だったのです。

 

電車の揺れにたたらを踏む様子を年配女性が何度か見せるまでは……

 

彼女の前に座っていた男性がイライラとした態度で唐突に声を上げたのです。

 

「おい!今どきの若いもんは優しさがないのか!!!だれか譲ってやれよ!!!気が利かないな!!!!」

 

これには大層驚きました。

 

おそらくその場にいた全員が同じことを思ったと思います。

 

それならお前が譲れよ!!!

 

と……

 

これだからゆとり世代はダメなんだ、とかブツブツと大音量で文句を垂れ流す男性に耐えかねたらしい女性が、彼の横の席から立ち上がり年配女性に席を譲りました。

 

「それでいいんだ、健康で若いんだから、もっと早く年上に敬意を示せ」

 

と譲った女性に宣い、男性は眼前に立っていた年配女性を譲られた席に座ったままエスコートしたのです。年配女性は申し訳なさそうに眉を下げて、女性に礼を伝えましたが

 

「いいんですよ、お気にならさず、さぁ、どうぞ」

 

と男性が応えるという顛末でございました。

 

なんとも後味の悪い譲り合いだな、と譲った女性と目が合った瞬間、思わず互いに頷き合ってしまいました。

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

明日も頑張りますので、応援、宜しくお願いいたします!

いらしてくださるのを心からお待ちしております♪