鎌倉駅からほど近いところにあるビルに、知り合いの知り合いが占いの店を経営しています。
あるとき母と通りかかったとき、母が突然、「私は占い師に観てもらったことがないの」と言うので
「じゃあ、観てもらったら?」と言ったものの、年寄りに占いなどは意味があるのかと心配にもなりました。
しかし、知り合いの知り合いである占い師は「だいじょうぶですよ。占ってみましょう」と鑑定してくださることになりました。
どんな占いだったかは覚えていないのですが、手相と、四柱推命だったのではないかと思います。
「あなたは経営者としての才能があります」と占い師。
母は「いえ、結婚してからずっと、専業主婦でした」というと、
「主婦というのは家庭をマネジメントするという経営者です」ときっぱり。
「企業の経営者以上に経営力があるから、家庭を守ってこれたんです」と言われて、すっかり気をよくしたようでした。
それまでの母はといえば、あそこが痛いだの、目がどうの、耳がどうのと、愚痴と不満しか言わない老人でした。
ところが、占い師の人のひとことで、なにやら自信めいたものがついたのかもしれません。
「もう、年だから、何もできない」とぐずぐず言っていた人が
「お習字ならできるかもしれない」と口にしました。
85歳のときのことです。
タイトルに「起業」と書きましたが、ビジネスを始めたわけではなく、
ご近所の人たちが集まるお習字サロンを始めただけなのですが、
それでも仕事を起こしたわけですから起業といってもいいと思います。
占いは「当たるも八卦、当たらぬも八卦」と言いますが、
人々に希望を与えたり、ときには注意をしてくれたりするチャンスなのだと思います。
かくいう私も、エグゼクティブに限定した占いをときどきしています。
ロジカルに考えるだけでなくて、ちょっと違う視点で見てもらうというセカンドオピニオンみたいな
そんな効果が占いにはあるようにも思います。