春になるといろいろな花が咲き始めますが、タンポポの花を見ると毎年、そわそわする私。
レイ・ブラッドベリの小説に『タンポポのお酒』という作品があり、高校生のときに読んで以来、毎年春にタンポポの花を見るたびに「どんなお酒だろう」と思っていました。
「静かな朝だ。町はまだ闇におおわれて、やすらかにベッドに眠っている。
夏の気配が天気にみなぎり、風の感触もふさわしく、世界は、深く、ゆっくりと、暖かな呼吸をしていた。起きあがって、窓からからだをのりだしてごらんよ。いま、ほんとうに自由で、生きている時間がはじまるのだから。夏の最初の朝だ。」
北山克彦 訳 1971年刊 冒頭より
1971 年に晶文社から発行されたこの本はすでに廃刊とのこと。
アメリカ・イリノイ州の12歳の少年が主人公。
インターネットもスマホもない時代のおはなしです。
高校時代の私はブラッドベリやハインラインやフレドリック・ブラウンなどのSFファンタジー小説の沼にどはまりしていました。
宇宙旅行どころか、海外旅行すら庶民には遠い夢だった時代に、宇宙や、死や、自然を感じることを教えてくれた本でした。
小説のなかでお父さんはお酒にするために苺を摘みに行ったりしますが、タイトルとなった「たんぽぽのお酒」は夏の到来を感じさせるもののようで、作り方が書かれているわけではありません。
調べてみると、東京農大の中田久保先生のホームページ「花酵母研究会」を発見しました。
タンポポの花はありませんが、イチゴやサクラなど、花の酵母でお酒ができるらしいことはわかりました。
パン製造会社のカメリアさんのホームページにも「花の天然酵母」が紹介されています。
厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』のホームページではタンポポについて、健康によいというエビデンスはないけれど、食べても大丈夫というようなことが書いてありました。
タンポポは利尿効果のある「強壮剤(トニック)」として、また、感染症や消化器症状などのさまざまな症状・疾患に良いとされています。食物としては、サラダ、スープ、ワインやお茶に使われています。根を焙煎したものは、コーヒーの代用として使用されています。
一般的に、食物に使用されている通常量のタンポポを摂取した場合、安全であると考えられます。大量のタンポポを摂取した場合の安全性については、あまり知られていません。タンポポアレルギーを有する人がいます。ブタクサ、キク、マリーゴールド、デイジーなど、タンポポと類縁関係にある植物にアレルギーを有する人は、タンポポにアレルギー反応を起こす可能性が高いです。
今年はタンポポの花を摘んで、とりあえず焼酎に漬けてみるという王道にトライしてみます。
私、薬草コーディネーターでもありますので。
ブラッドベリの小説もまたゆっくりと読み直します。