私の母はまだ「要介護」に認定してもらえない「要支援」なので、現在利用できるサービスは限られています。

介護ヘルパーさんはお願いできないため、有償のヘルパーさんを2人、お願いして、おひとりは主に掃除、もうひとりはゴミの仕分けを主にお願いしています。

介護ヘルパーと違い、有償のよいところはお願いしたことはほとんどやっていただけるということ。

介護ヘルパーの場合は、身の回りに限るので、寝室、台所、風呂場、トイレ、くらいのエリアに限られたいて、たとえば犬の散歩のように直接利用者に関係ないことは頼まないことになっていますが、料理や通院介助、お買い物代行などは(生活最低限のものに限り)やってもらうことができます。

そして、介護ヘルパーさんがやるべきことはケアマネさんが分単位で指示書を作成しています。

私は、10年くらい前に、仕事が暇になり、東京都が資格取得費用の8割か9割を補助してもらえるというときに、ヘルパー2級の資格を取得したので、ヘルパーの仕事もだいたいわかります。

実習では3箇所の施設に数日ずつ通いましたが、施設によって、働いている人たちが生き生きキビキビしているところもあれば、事務的に殺伐としたところもありました。

介護の仕事といっても、結局は人との関わりであり、働く仲間や環境によってもずいぶん違いがありました。


話は戻りますが、我が家では有償のヘルパーさんをお願いしています。これはお願いすることに制限がない代わりに、「何をお願いするか」ということが明確になっていないとダメだということがだんだんわかってきました。

ヘルパーさんもいろいろな利用者さんを担当するわけですから、その家、その人によって、やり方やこだわり方が違うので、基本「言えばやってくれるけれど、言わないとやらない」というスタンスです。


ということはわかってはいるのですが、短時間にあれもこれも同時進行でスーパー家政婦さんのような仕事をするのとは違い、利用者に寄り添って、あくまでも「利用者をヘルプする」というレベルの仕事といえます。


つまり、頼む側がしっかりと頼まないといけないのですが、専業主婦しか経験のない私の母は、それまで自分がやっていたこと(できたこと)を他人に頼むことができません。

また、ヘルパーさん側も、ある程度のサポートというか、アドバイスなどはしてくれるものの、とにかく基本は「言われたことをやる」「利用者がやれないことを助ける」程度です。

そして時間は2時間。


2時間の間に、何をやってもらうか。どう、やってもらうか。やってもらったあとはどうするか。

これを考えるのは案外大変です。


台所の三角コーナーをきれいにしてくれても、ネットがかかっていなかったら「きれいにしたあと、ネットをかけて」とお願いしないといけません。


年をとって、身体が思うように機敏に動かなくなるということは、実は脳も機敏さを失っていくということで、瞬時の判断や指示はできなくなっていきます。


そこで、長女の私の役目としては、利用者である母親とヘルパーさんの間で、2時間のタスクを整理することだと気がつきました。


利用者(母)のやりたいことや希望はしょっちゅう変わりますので、ケアプランめいたものを作ったとしても安心はできません。


ヘルパーさんはそれぞれいい方たちばかりですが、決してタサン志麻さんでもないし、やましたひでこさんでもなく、ダスキンサービスでもありません。


ヘルパーさんが来てくださっている間、私はなるべく居ないようにしていますが、私から見たヘルパーさんのお仕事は、実際の家事よりもむしろそんなことをしながら話し相手をしてくれることだと思っています。


昔渋谷に住んでいたとき、ご近所には「住み込みベビーシッター兼お手伝いさん」がいましたが、お子さんをインターナショナルの保育園や学校に入れている方たちのなかでは、外国人の住み込みお手伝いさんは当たり前のようでした。

コロナ禍で、そうしたお手伝いさん事情はどうなっているのかわかりませんが、そのときに聞き齧った情報としては、お手伝いさんとしてしっかり働いてくれるのはフィリピンの方。権利主張と金銭要求が高いばかりで頼むべきではないのが日本人、だそうで。

それもかれこれ10年以上前の話ですから、今の事情はわかりません。


生活家電やITがいかに発展したところで、元気な高齢者支援は課題があると実感しています。