コロナ禍でセミナーや講演などがめっきり減ってしまいましたが、
私は、全国各地で講義やアドバイザーなどをさせていただいています。
専門性のある講師と違って、私の講義は行く先々の地域や参加者によって内容は違いますが、
講義が目的ではなく、「きっかけ」で、
その後、個別なご縁がつながることが少なくありません。
しかし、「知り合い」だからといって「注文」をするということが
農家さんにとって、嬉しいのだろうか、と、ある時考えてしまいました。
野菜であれ果物であれ、
一番美味しいものがあるときは、一番忙しい時です。
そんなときに「特別扱い」なものを作ったり、送ったりするのは
手間でしかないはず。
発送伝票を書くのも面倒だろうし、
農家さんによっては個別発送をしていないところもあるし。
気前よく、高額のものをどーんとたくさん注文できればいいのですが、
ひとり(+家族)で食べる量など限られているし。
近年参加者が増えている「食べチョク」や「ポケマル」といった産直サイトは
農家さんにとっては便利なシステムらしいというのもわかります。
ある農家さんが「実はメルカリが一番楽」とtweetしていましたが、
「集金」の手間などを考えると、それもあり?
以前、メルカリで農作物を購入してみましたが、
産地も生産者も生産履歴もわからないものが届いて、
気持ちが悪かったことがありますが、
知り合いとわかっていればよいのかもしれません。
コロナ禍で売り先がなくて困った農作物があるという農家さんへの支払いはペイペイにしてもらいましたが、
ペイペイ送金なら送金手数料がかからないので、お互いにありがたいと思います。
でもそれも、「特別」にやってもらっているので、感謝です。
「私一人の注文なんか、嬉しくないんじゃないかと思うんですよねえ」と
遠方の、旧知の農家さんに話をしたら、
「いやいや、いいんですよ。好きな人にあげたいんだから」という答えが返ってきました。
「こちらは一番美味しいものを食べてもらいたい。でも、その代わり、いつとか、約束はできないんです」
それもわかります。
「うちは農協に卸しているから、スーパーで〇〇産(地域名)とあればうちか仲間のもの。それを買っていただくこともありがたい。
でも、直接注文してくれてもいいんです」
「規格外とか、フードロスとか、もったいないとか言われることがあるけれど、そんなことを言うより【いいもの】をちゃんとした値段で買ってもらうほうがずっと農家のためになるんです」
「実は、地方の農家さんの半端なものとか、お裾分けで食べきれないものなどを、高齢者支援のマルシェ用に分けていただいたりもしています。本当は、いいものをちゃんとした値段で販売したいけれど、ご近所のお年寄りには高級すぎるものはおすすめしにくい。でも、旬の美味しいものは食べてもらいたいんです」
そういうと「そういうのも、協力してくれる農家さんはいると思います。農家さんによって、お付き合いはいろいろな方法があると思います。どんな方法でも、美味しいものを食べてもらえたら、農家は嬉しいんです」
Amazonで注文すると、翌日には届く(しかも送料が無料だったりする)というシステムに慣れてしまうと、
「注文したらすぐに届くのが当たり前だ」と思いこんでしまいがちだけれど、
くだんの農家さんは、注文してから3か月して、「最高のもの」が届きました。
「わがまま、わかってもらえれば」とその農家さんは言います。
わがままはこちらのほうじゃないかとも思う気持ちはまだあるけれど、
農家さんのご厚意に感謝。
「そろそろ〇〇さんのところの〇〇が美味しくなるな」なんてことを思っていると、
宅急便が届いたりするっていうのは、非常にエキサイティングなサプライズです。