私は、若いころ、1年間、タダ働きした経験がある。

ヘタに時給なんかもらわなかったから、

好きなだけ、思う存分、仕事を「教えて」もらうことができた。

仕事を教えてくれるほうも、

「こんな仕事じゃ、邪魔だから来るな」なんてスパルタな人もいたから、

「なにくそ」と思ったときもあった。

でも、教えてもらうんだから、って思えば、お金はいらない。

もちろん、お金をもらって、教えてもらえるならもっといいけれど。


仕事では、
セコい仕事でお金を取るくらいなら、タダでやるほうがいいと思っている。

小さい会社や小さい仕事では金額は決めたくない。
「儲かったときに、儲かっただけくれればいい」
とまあ、こんないいかげんな口約束をしてやる。


昔はそのまま、本当にタダ働きになったり、
企画をパクられたりすることが多かった。
(でも、それでもいいと思ってやっているから、
痛くも痒くもない)


ところが、あるころから、

ちゃんとそれが返ってくるようになった。


しかも、いちいち見積もりなんか作らないところのほうが、
ちゃんとあとから「やってもらった仕事はこのくらいで」と、
こちらが思った以上のリターンとなったりする。


そんな仕事のやり方をしていると、
だんだん仕事の質が高まってくるから不思議。


つまり、
小さなお金をケチケチ、せこせこしているようなところとは、
結局のところ、金額が大きくなったところで、
ケチケチ、せこせこでしか、仕事にならない。


とはいえ、
余裕がないときはつい、余裕がない仕事ぶりになってしまいがち。
そんなときは、何もしないに限る。


動けば動くほど赤字になる、という仕事。
私は大賛成。
だって、きっと、絶対に赤字で終わるわけはないし、
それ以上のものが返ってくることは間違いないから。


でも、それには「赤字になっても大丈夫」っていう余裕がなくちゃいけない。

その余裕っていうのは、もちろん、資金の余裕もあるけれど、
それよりもなによりも、
キモチの余裕っていうのが大きいように思う。