houmu
lanse

opera


パリから日本に帰ってきました。

パリの街は、居るだけで美意識が磨かれる気がする。


帰りの飛行機では、いつものようにビジネス書を
読むのを辞めて、小説を読んだ。








村上 春樹
国境の南、太陽の西


3ヶ月くらい前の会食のとき、先輩経営者に薦めてもらった本。


学生時代に一度読んだことがあるのを読みながら思い出した。


しかし、自分が主人公と同じくらいの年齢になって読むのは

全然違って、素晴らしかった。

30代になって結婚しても初恋をお互いに忘れていないふたりに

胸が痛んだ。





主人公は8年間も自分に合わない会社勤めをした後、青山通りで

ジャズを流す上品なバー」の経営に成功している。


私が本を読んで思うところ、この経営者(主人公)は成功すべくして、

成功している。




1.お店の内装や音楽、メニューなど、詳細に渡って主人公が

自分で細かく指示している。

(小さい規模では自らが責任もって細部に拘らなければならない)


2.その際に、

「若者がデートでの来店だったら?一人でのみに行くのなら?」

など想像しながら、決めていると言っている。

(自己満足でなく、顧客の立場に立って考えている)


3.「2ヶ所にお店を出店したけど、もうこれ以上広げる
つもりは無い」

とはっきり言っている。

(自分の得意分野とキャパシティを知っている)



4.類稀な能力を持ったバーテンダーとコックに、
「他の従業員にはちょっと言えないような額を払ってる」

と言っている。

(数多の同業者に対する競争力は何か?を理解している)


5.最初の資金は、奥さんの父親から借りたが、利子をつけて返した

後は借金を考えていない。

(必要以上のリスクを負わない)

6.8年もの間、自分に合わない仕事をした後だから、

こんな仕事ができて幸せだと言っている。

(元の環境に戻りたくないという、反骨心を身につけている)



加えて主人公は非社交的で、慎重な性格。

野心的でも無ければ、投資などの不労所得も嫌う。


そんな性格の経営者だから、上記のような経営方針とマッチしているんですね。



社交的で大胆さを持ち合わせていれば、新しい事業の種を拾い、

再投資し、多角化、多店舗展開にリスクを負って挑戦するでしょう。




以上、書評になってませんが、久々に書評でした。

いい本です。