強み探し。 | 【SHIBUYA-TIGER】

ちょっと前の朝日新聞にあった、WBCでもコーチをつとめた高代さんという方の記事

-------------------------------------------

24歳でのプロ野球入団は夢のようにうれしい出来事でしたが、それでも自分に何が求められるのか、役に立てるのか、新人は実に心もとない立場です。
仕事のスタートは、皆同じなのかもしれません。自分の何かを評価されて採用してもらったはずなのですが、いざ組織の中に入ると周りの人々がずっと優れて見えるのです。

それでも、焦って自分のセールスポイントを探そうとは思いませんでした。組織全体の中でどう活(い)かされるか、本人が一番分からないからですね。

一人の選手として立ち位置が固まったら、次に大切なことは、この自分をどうやってゲームで活かしていくか、瞬間、瞬間に状況を読む力をつけていくことです。個人の技や体力を高めるのは当たり前ですが、さらに、自分から心して視野を広げてみる必要があると思います。

-------------------------------------------


ちょうど社会人として配属から2~3か月がたった最初の夏というのは、自分も当初描いていた姿と現実のギャップ、自分の不甲斐なさに漠然とし、迷走しそうになった時期がありました。

自分の強みは何か?毎日必死で探していたような気がします。

ただ、今振り返ると、当時の自分が強みだと思っていたもの(文章を書いたり読んだりするのが得意で国語の点数が高かったからコピーが得意なのではないか、とか)は、社会人をずっとやってきた人々のそれにくらべたら相対的には大した強みでなく、仕事を積み重ねる中で3年くらいたってようやく強みらしいものが見えてきたと思います。

新卒の時の自分は、強み探しの罠にはまっていたな、と。

もちろん、野球でいうと、松井や清原の長打力や、ダルビッシュの長身から繰り出す剛速球のように確固としたものがもともと備わっているような人は別ですが、一般的に社会人になっているような人には、たいてい明確な強みや武器などはなく、これから鍛えているうちに、自然と見出されてくるものだと思います。

今強引に探して強みだと思ったようなものに絞ってそれを売りにしようとしても、かえって視野を狭めるだけで、可能性の芽を摘んでしまうことにもなりかねません。

「強みなどない」と開き直って、自分がすべきことにコミットする。何を売りにするかというよりも、何を求められているかをとらえて全力で応じる。その上で、自分の力がついてきたら、客観的に自分の活かし方を考えるようにしていく、というほうがよいとおもいます。