皮下陰睾
当院の看護師の家の子、タケルちゃん。
去勢手術をしました。
去勢手術とは、男の子のタマタマを切除する手術。
ただ、タケルちゃんのタマタマは少し訳ありで、左側のタマタマが玉袋の中にない状態でした。
では、どこにあるのかと言うと・・・
玉袋より少し頭の方の皮膚の下。
獣医さんはこの状態を、皮下陰睾(ヒカインコウ)または皮下潜在精巣(ヒカセンザイセイソウ)などと呼びます。
男の子が赤ちゃんでまだお母さんのお腹の中にいる頃、精巣は陰嚢の中ではなく、お腹の中、腎臓付近に発生します。
そして、成長するに伴い大きくなり、陰嚢の中に降りてくるのです。
ワンちゃんでは陰嚢内に精巣が降りてくる時期は意外と遅く、生後30日を超えます。
この精巣下降のタイミングは、動物種により異なります。
ヒトは胎生約30週(生まれる前)
ネコは生後20日
ゾウ、クジラ、イルカは精巣下降しません。
ゾウ、クジラ、イルカは玉袋がないのです!
そして、この精巣下降が正常に行われない状態を潜在精巣または陰睾と呼びます。
さらに、その精巣がある場所から、皮下陰睾もしくは腹腔内陰睾と呼びます。
というわけで、タケルちゃんは皮下陰睾の手術をしました。
皮下陰睾の手術は、術式自体は普通の去勢手術と大きく変わりません。
必要であれば、傷の位置が変わるくらいです。
タケルちゃんの場合、傷の位置も大きさも普通の去勢手術と同じ程度ですることができました。
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では、潜在精巣は放っておくとどうなるのか。
実は、精巣が腫瘍化するリスクが上がってしまいます。
そのため、遅くとも5才までに手術を受けることが勧められます。
また、遺伝性の疾患であるため、繁殖も避けるべきです。
去勢手術を望まれていない飼い主様も、潜在精巣の場合は一度ご相談ください。
院長 滝田