タイヤメーカーのパナレーサーに「グラベルキング」と言う商品が有ります。コンセプトは「日本のグラベルロードに」だそうです。

先日、グラベルキングSKの700×43Cのまだバリが残っている真新しいタイヤの付いた中古MTBを入手したので、「グラベルキング」のグラベル走破性を確認するために、グラベルロード(砂利道)を求めて某林道を往復20kmほど走ってきました(一応車両通行止めになっているので林道名は伏せておきます)。

その林道は下部と上部に分かれていて、下部は一般乗用車も通る浮石の少ない良く締まった砂利道です。上部は洗い掘りやこぶし大の石がごろごろしている様な荒れた路面が続きます。

 

まずタイヤの説明から。

パナレーサー グラベルキングSK 700×43C

パターンは細かいブロック。幅は実測42mm。外径は70cmとかなり大きなタイヤです。

 

比較対象はパナレーサー コルディラビ・ランドナー 26×1・3/8×1・1/2(650×38A)

パターンは細い線の部分がセンターリッジ状に繋がったオーソドックスな模様。太さは実測34.5mm、外形は66cmです。

このタイヤはBSのアトランティス改パスハンターに付けていて、今まで馬坂峠や田代山林道など多くの砂利道を多く走ってきたので、走行性能は良く分かっています。

 

それでは走った感想(あくまでも650×38Aとの比較です)ですが、まず下部林道の良く締まった砂利道。

普通にまっすぐ走っている分には650Aとさほど変わりません。しかし、下り坂でスピードを上げた時の安定感がとても優れています。林道には大きな石が頭を少しだけ出して埋まっている事が良くありますが、それらをスラロームの様に避けて走っても不安感が全く有りません。グリップ力が高いので滑る心配が無く、ブレーキも良く効きます。

路面の凸凹も直径が4cm(70cm-66cm)大きい事と空気量50%UP(太さ7.5mmの差は断面積的には1.5倍)が効いてまるで舗装道路を走るようにスムーズです。

 

つぎに上部の荒れた林道。

路面はこんな感じ。

荒れた路面でも走行感は良好です。センターリッジが無いので浮石が多い場所で立ち漕ぎしてもグリップを失って空回りしません。洗い掘り等の段差も簡単に乗り越えられます。この林道上部区間に650Aタイヤで来たとしたら乗車率は50%位だったろうと思いますが、「グラベルキング」では一度も押し歩きせず乗ったまま峠に着きました。

紅葉と青空が綺麗でした。

峠のトンネル

 

段差乗り越えが楽な件ですが、70cmと66cmの直径の差が要因としては大きいのではないかと思い、30kgfの荷重が掛かった各々の車輪で5cmの段差を乗り越える時に必要な力を計算してみました。(進行方向の水平な力を単純に車輪のモーメントから算出。走る自転車の慣性力やタイヤの変形などは無視)

結果ですが、70cmが18kgf、66cmが18.7kgfと4%弱しか変わりませんでした。と言う事はグリップ力等の総合の能力がグラベルキングは優れていると言う事なのでしょう。

 

グラベルキングSKの舗装道路の走行感ですがブロックパターンの為に、抵抗は明らかにコルディラビよりも大きいですが、一日に50km程度までなら問題無く走れると思います。

 

グラベルキングのグラベルロードの走破性ですが、とても良いと思います。正直な所、これから林道に行くときはこのタイヤ以外考えられないような気がします。コースの舗装道路と林道の割合が、舗装7:林道3位までなら使うと思います(8:2になると少し考えるかもしれません)。

 

所でMTBなのに700Cタイヤが付いているの?と思う方がいらっしゃるかもしれません。今回入手したMTBのタイヤサイズは29インチなのでETRTOで言うとビード径が622になり、700Cと同じです。29インチタイヤの初期は700Cと互換性は無いという話も有りましたが、今はどのメーカーも問題なしとしています。

 

 

実は私は今までMTBは試乗程度しかしたことが無く、本格的に山道を走ったのは今回が初めてでした。

今更ですが、山道でのMTBは良いですね。フロントサスで手への振動が弱まり、視線も定まります。荒れた路面でもグリップをしっかり握りながら中指一本で強力に効く油圧ディスクブレーキ。幅70cmのハンドルは伊達では無く安心感抜群!今まで砂利道の下り坂は嫌いでしたが、今回はとても楽しかった!

 

2020,10,30追記

タイヤ空気圧ですが推奨MAX空気圧の400kPaが良いと思います。

上記林道は400kPaで使用、後日の甲子峠は少し低めで走行しましたが、グリップ力や凹凸の走破性は400kPaの方が良かった様な気がします。クッション性はそれ程差は無かったように思います。