5月11日(土)

 昨日、いわゆる「セキュリティ・クリアランス法」が成立しました。

 内閣委員会や本会議で質疑をするとともに、「日本維新の会・教育無償化を実現する会」を代表して賛成討論も行いました。

 

 改めて言うまでもなく、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等により、安全保障の裾野が経済分野に急速に拡大する中、国家・国民の安全を経済面から確保するための取組を強化・推進することはきわめて重要です。そういう中、セキュリティ・クリアランス制度が創設されることは、G7 で唯一未整備であることを鑑みると遅きに失した感はありますが、情報保全の面で一歩前進であることはまちがいありません。

 

 しかし、残された課題はいくつもあります。

 まず、「オーバー・クラシフィケーション」対策が不十分な点です。

 指定される重要経済安保情報の総量及びその取扱い業務の最適な規模をできるだけ具体化するとともに、制度の着実な実施を図るために、適性評価調査を行う内閣府や適性評価を行う行政機関における実効的な体制整備を早期に進めることが重要です。

 

 また、政務三役等が適性評価の例外となっていることは理解に苦しみます。

 岸田政権発足後、政務三役の不祥事が続出しました。そのような政務三役が多い中、適性評価を受けることなく、重要経済安保情報にアクセスできることになるのはいかがなものでしょうか。政府においては、政務三役が適性評価の例外になっている点について、運用状況を見極めながら今後しっかりと対応すべきです。

 

 ところで、昨今では情報がサイバー攻撃において抜き取られる事案も多発しています。

 重大なサイバー攻撃を未然に防ぐための能動的サイバー防御の早急な法整備が必要です。法的課題等を整理して、1日も早く能動的サイバー防御の導入に向けた関連法案を国会に提出すべきです。このことを強く求めておきます。

 

 加えて、我が国の経済安全保障のためには、スパイ防止法の制定も必要です。

国民の生命財産を守ることが国家のもっとも大事な仕事です。しかし日本は、国家の重要な情報や企業等の技術が不法に盗まれたとしても、その行為をスパイ罪で罰することができない大変珍しい国です。今回のセキュリティ・クリアランス制度の創設で満足せず、我が国のインテリジェンェスに関する法制度を充実させる意味では、スパイ防止法の制定は喫緊の課題であると考えます。 政府においては、制定に向けた検討組織を設けるなど、今こそ明確なアクション起こす時だと強調しておきます。

 

 以上のように本法案には懸念点は残るものの、法案が成立することにより、我が国の重要経済安保情報の保全と流通が確実に進むことを期待します。経済安全保障は、日々刻々変化する国際情勢や技術革新に即座に対応しなければなりません。我が会派は、国民の生命と財産を守るため、現実を直視した安全保障政策を一層推進すべく、タブーなき議論を厭わず、引き続き積極的に提言・提案して参ります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。