2月8日(木)

 今回の能登半島地震では、F42、F43という2本の海底活断層が震源となったと見られていますが、この海底活断層、実は国交省が2014(平成26)年にまとめた報告書などに取り上げられていました。

 つまり、今回の地震の震源となった断層は未知のものではなった、ということです。また、政府の地震調査委員会もこの断層を把握していた、言われています。

 文部科学省は、2014(平成25)年から8年間にわたって「日本海地震・津波調査プロジェクト」を実施し、2022(令和4)年に日本海側の海域活断層による地震の発生確率の評価の一部について公表しました。

 ところが、この公表結果は、九州から中国地方の南西部のみであって、能登半島の海域については地震の切迫度等を調べる「長期評価」が公表されていませんでした。

 このため、強い地震に遭う確率を色別で示した「全国地震変動予測地図」に反映されていません。

 すなわち、調査委員会は活断層の存在を把握しながらも、リスクや危険性を地域住民にしっかり知らせることができていなかった、広く周知されず、警戒感が高まらないうちに今回の地震が起きた、と言っても過言ではないのです。

 したがって、石川県の「地域防災計画」に挙げられた大地震のシナリオの一つは「冬の夕刻、能登半島北方沖を震源とする地震が発生する」というものですが、その被害想定は「死者7名、負傷者211人」となっています。

 能登地域付近の長期評価が行われ、それにより自治体の防災対策が強化され、住民の意識を高めることができたなら、救えた命は少なからずあったのではないでしょうか。

 政府の地震調査委員会が所属する地震調査研究推進本部は、1995(平成7)年の阪神淡路大震災の反省から設けられました。

 というのも、神戸周辺の活断層の存在は専門家の間でも知られており、地震が懸念されていましたが、地元自治体の対策が不十分で、住民にも危険性が伝わらず大惨事となってしまいました。

 この反省が生かされていません。

 大地震は今後も日本海側で起こりえます。

 自治体や国の今後の防災対策に資するために、どこに海底活断層があり、そのリスクと危険性を広く住民に知らせるためにも、また防災意識を高めていくためにも、能登半島を含めいまだ行われていない日本海側海域の地震の切迫度などを調べる長期評価を急ぐべきです。

 この点は先の予算委員会でも取り上げましたが、改めて強調したいと思います。

      (石川県内灘町の被災状況)