11月21日(火)

 今月17日、会派を代表して議院運営委員会で国会議員の秘書給与等に関する法律の一部を改正する法律案、並びに国会職員の給与等に関する規程等の一部を改正する規程案について反対意見の表明をしました。

 

 まず、両案のベースとなる人事院勧告は、民間企業の給与の調査を基にしていますが、調査対象となる民間企業は、企業規模が50人以上かつ事業所規模50人以上の事業所から選ばれています。

 これは、全事業者の1%程度しかなく、全国で300万社あるといわれている中小零細企業は調査に含まれていません。

また、対象者に非正規労働者は含まれておらず、正規雇用者に限定されています。

 ゆえに、調査方法そのものに大きな問題があることは歴然としており、勧告が唱える官民格差解消はお題目にすぎません。

 

 勧告が民間企業全体を反映させた適正な調査結果に基づくものであるならば従うべきかもしれませんが、年々非正規労働者が増える中で、民間企業全体の給与水準との乖離は一段と広がり続けているのではないでしょうか。

 したがって、その調査を基に行われる秘書給与の引き上げについては、賛成できません。

 

 加えて、現行の議員秘書の通勤手当の在り方も問題あり、と考えています。

 議員秘書の通勤手当については、一般の公務員と異なり、通勤の実情とは無関係に1か月一律3万円が支給されています。

 本来なら、自宅と勤務地との定期券代など、実際にかかった費用のみ支給されるべきであります。

 この考え方に立ち、日本維新の会は、「国会議員秘書交通費適正化法案」をこれまでに国会に何度も提出しています。

このような点も含め、まずは秘書給与の支出の見直しをしっかり行うべきと考えます。

 

 とにかく、いわゆる「国の借金」が1200兆円を超えるという我が国の厳しい財政状況を踏まえれば、また、多くの民間給与所得者の賃金が思うように上がらず、ウクライナ戦争や円安の進行などによる物価上昇で厳しい経済状況が続いている中、人事院勧告があったことだけを理由に秘書給与を引き上げることは、国民の理解が得られません。

 

 秘書給与を引き上げる前に、人事院勧告制度など国家公務員の給与の在り方を見直すとともに、我が党が主張している身を切る改革の断行、つまり、議員定数、議員報酬削減、さらに、慣例・慣習を重んじ、旧態依然で税金の無駄遣いが多い国会そのものをまず改革すべきです。

 

 また、国会職員の給与等に関する規程等の一部を改正する規程案も大いに問題ありです。

 基本的に日本維新の会は、国会のIT化の推進、本会議や各種委員会の質問通告時間の厳守、国会業務全般のペーパレス化などの国会改革を提言・実行し、そして、古くて非効率な慣習を徹底的に見直して、無駄な経費の削減をするともに、職員の皆さんの働き方改革を実現させていきたいと考えています。

 

 しかし、先ほども述べましたが、国の財政が厳しく、国民の負担が増え続け、加えて物価高等苦境にあえぐ人が多い中で、ただ人事院勧告に従い国会職員の給与を引き上げることは、賛成できません。

 

 公務員給与を上げる前に、やるべきことがあります。

 まずは国会議員の身を切る改革、徹底した行財政改革、そして国会改革です。

 国会は、調査研究広報滞在費の領収書の添付と使途公開、残金の国庫への返納、さらには一人会派の立法事務費の交付など見直すべき点が多々あります。

 それゆえ、改革が進まない中、ただ漫然と人事院勧告に応じて国会職員の給与を引き上げることは国民の納得を得られるものではありません。

 

 以上、秘書給与や国会職員の給与を上げる前に「やるべきことがあるだろう!」と改めて申し上げます。