11月16日(木)

 昨日、この国会で初めて参議院憲法審査会が開かれましたが、先の常会に続いて、今回もまた「合区」がテーマです。

 大変残念な思いでいます。

「合区」や「1票の較差」については、本来参議院改革協議会・選挙制度専門委員会で議論すべきものであり、憲法審査会では、まず各党が改正条文案を提出し、それを基に改憲項目を絞り込み議論と作業こそ進めるべきです。

 

 また、参議院の選挙制度について憲法審査会で議論するのならば、選挙制度の前提となる国家の基本構造、すなわち国の形についてまず議論をするべきです。現行の都道府県制が現代の我が国にとって最適な形なのか根本的に問い直す必要があります。

 近年の高速道路網の整備による移動範囲の拡大や、あるいはまた地方銀行の統合など、地域経済の広域化も考慮して議論を深めるべきです。それゆえ日本維新の会は、道州制の導入やそれに伴う憲法改正まで視野に入れた議論が必要と考えています。この問題を明確にすることなく、参議院の選挙制度の議論を行うことは望ましことではありません。

 いずれにせよ、この審査会で「合区」について議論をするのは今回をもって最後にし、本格的な憲法改正論議が行われることを強く希望しています。

 

 その上で「合区」や「1票の較差」について関して私の意見を言うならば、まず、参議院議員は全国民の代表であるということを大前提とすべきです。

 にもかかわらず、参議院を「地方の府」として捉える人たちがいますが、理由が明確ではありません。

「参議院議員は地域代表であるべきだ」などと理由をつけて自分たちの議席が既得権のように考えていることこそ問題です。

あらゆる既得権を守ろうとすることが、長年に渡る我が国の衰退に拍車をかけています。 参議院も例外ではありません。このことを強く認識すべきです。

 

 我が党は、先ほども述べましたが、道州制を含む統治機構改革を憲法に反映させること、投票価値の平等を踏まえつつ、各地域の民意を反映させることの2点をかねてから主張しています。

 地方を中心に人口減少が進んでいる中、都道府県単位を続けていくと一票の格差をさらに拡大させることになりかねません。また、都道府県選挙区を残したうえで一票の格差を解消しようとすれば、さらに合区を進めるか、議員定数を増やすしかありません。

 しかし、人口減少が進み、財政状況が厳しい中、議員定数を増やすことには国民の理解を得ることは困難です。

このため維新には、「合区の解消」という考え方はありません。合区を容認する立場です。

 現行憲法に従えば、一票の較差問題を解決することはきわめて重要であり、現状では合区はその解決策として合理的と考えます。

 

 しかしながら、合区は抜本的な解決策になり得ません。

 これまでの最高裁判決で何度も指摘されているように、参議院選挙においても投票価値の平等はできる限り実現しなければなりません。

 そのためには、将来にわたって現在の都道府県選挙区を残していくことは事実上困難であり、例えば選挙区を全国11ブロックにするなど、選挙制度の抜本的な見直しが必要です。

 このように、合区の解消によって地域代表を選出するという方向性以外に、参議院の在り方そのものを変え得るような解決策こそ模索すべきです。

 

 とにかく、参議院憲法審査会が優先すべきは、「自分たちの議席をいかに守るか」よりも、時代の要請に合わせたテーマでより活発に議論を行うことです。

 私どもは既に、教育無償化、統治機構の改革、憲法裁判所の設置、自衛隊明記、そして緊急事態条項の創設等、憲法改正原案を明示しています。

 また、国民民主党、衆議院の会派「有志の会」の皆さんと共同で、緊急事態条項の条文化も行っています。

 したがって、参議院憲法審査会でも憲法改正に向けた実質的議論が進むことを強く求めます。

 

 加えて大事なことは、ただ漫然と議論を続けることではなく、いずれかに時期に結論を出して前に進むことです。

しかし、今の参議院憲法審査会は、明確なゴールに向かう道筋が無いまま自己満足の、やってる感を出すだけの放談となっています。

 この現状を変えるには、何らかの結論を得るべく、国民投票を視野に入れたスケジュールやロードマップも策定すべきです。

 国民主権をうたう日本国憲法が、一度も国民の審判を受けたことがないというのは、まさに「ブラックジョーク」です。

「憲法を国民の手に本当に取り戻す」、そのために日本維新の会が、参議院においても主導的役割を果たすべく頑張って参ります。