6月10日(土)

 先月31日、会派を代表して、参議院改革協議会で意見表明を行いました。詳細は、以下の通りです。

 

 参議院の在り方については、これまでも衆議院のカーボンコピーと揶揄され、在り方そのものが問われてきました。

 わが国が2院制を採用するならば、衆議院とは明らかに異なる独自性を十分に発揮して、国民の負託に応えていく必要があります。そのためにはまず、「委員会・調査会等の整理再編と充実」が必要です。

 

 改めて言うまでなく、国会は、我が国に唯一の立法機関です。

 しかし国会は、閣法が優先され議員立法を十分に審議することができません。確かに、議院内閣制の国では、閣法が優先される傾向にありますが、イギリス等では意識的に議員立法の審議時間を設けるルールを取り入れています。

 わが国でも、国民に見える形で議員立法を積極的に審議する場と時間を設けるべきです。

 

 現在参議院には3つの調査会があり、外交・安全保障など重要なテーマを取り上げてはいるものの、議論の結果を報告書にするだけで、それが具体的な政策に反映されているとはいえません。報告書を作って終わってしまうなら、超党派の勉強会と何ら変わりありません。今のままの調査会であれば、もはやその役割は終えており、廃止すべきです。

 その代わり、議員同士が、議員立法を真剣に議論し、結論を出す場を設けることこそ、参議院の独自性を発揮できると考えます。

 なお、特別委員会については、漫然と継続していくのではなく、定期的に見直しを行い、必要性が薄くなった特委は廃止し、新たに求められる特委は新設するなど、スクラップ・アンド・ビルドに努めるべきです。

 なおまた、委員会審議で充実させる具体策としては、2日前までの質疑通告ルールを徹底させることも必要です。

 

 次に、「デジタル化、オンライン審議」を進めることも急がれます。

 憲法第56条第1項の「出席」の概念については、原則的には、物理的な出席と解釈するべきであり、実際に国会議員が集まって議論することが重要です。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、緊急事態宣言が発出されましたが、今後も新たなパンデミックが発生するかもしれません。また、わが国では、南海トラフ地震や首都直下型地震、そして富士山の大噴火など、巨大災害の発生が高い確率で想定されています。加えて、ウクライナの例を挙げるまでもなく、いつ何時他国から軍事的な攻撃を受けるかもしれません。

 それゆえ、国家的な緊急時においても国会が機能するよう、予め考え方をまとめルールを決めておく必要があります。

 

 このため、本会議では、定足数を確保し、国会の機能を維持するために他の手段がない場合には、例外的に本会議へのオンライン出席を認めていくべきです。

 また、常任委員会等については、緊急事態の場合だけではなく、議員が病気の場合や、女性議員の妊娠・出産時、病気の場合など、議員の表決権を確保する意味でも、オンライン審議を認めていくべきと考えます。

 理事会や理事懇談会については、手続きや委員会の日程等を協議するものであり、より早くオンラインでの対応を可能にすべきです。とりわけ、議院運営委員会の理事会は、開催頻度も多く、日程も不定期であることから、機動的な開催を可能にするためにも、オンラインでの対応を認めるべきです。

 

 さらに、行政監視機能の充実が求められます。

 行政監視を高めるために、事業や法案を審議した常任委員会と、それらに基づく予算の執行状況をチェックする決算委員会との連合審議を行うことを提案します。そのことにより、実際どのように予算が執行され、政策効果がどれだけあったのかを、より把握することが可能となり、行政監視を向上させることにつながると考えるからです。

 また、行政監視は、範囲が広く案件を絞って調査した方が効果的です。例えば、基金などに絞って、調査すべきと考えます。

 

 なお、参議院が行政監視を強める前に、まず国会運営そのものを見直すべきです。

 国会は、すべて国民の税金で賄われおり、今こそ、国会に係る経費を全て見直し、非効率なもの、時代に合わなくなっているものについては、躊躇なく削減して、国民が納得できるものにすべきです。

 そのためにも、参議院議員自らが「身を切る改革」断行し、行政改革に向けた覚悟を示すことが求められます。

 たとえば、1日6000円が支給される委員長手当の廃止、公用車の削減のほか、旧文書通信交通滞在費の使途公開と残額の国庫返納については、早急に実施すべきです。

 

 以上のように、今の参議院は、改革すべき点が多々あります。

 具体的な成果が得られるように、今後も引き続き積極的に提案・提言をするとともに、努力を重ねたいと思います。