4月30日(日)

 今月20日は内閣委員会、翌21日は本会議で、党を代表し新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案に対し、成立後の課題にもふれつつ賛成の立場で討論しました。

 

 賛成した第一の理由は、新たな感染症危機に向け政府の司令塔機能が強化されるからです。

 今般のコロナ禍では、感染症対策に係る政府の機能不全と関係機関の縦割りの弊害が強く顕在化しました。

 そういう中、本法律案は、新たな感染症危機に備え、行政の体制や組織を強化することを目的としており、各省庁の感染症危機への対応を統括し、司令塔機能を強化する組織として、内閣官房に内閣感染症危機管理統括庁を設置するとしています。

この統括庁の新設によって、これまでの縦割り行政の弊害が是正され、我が国の感染症対策における構造的諸課題の抜本的解決につながることを期待します。

 ただし、新たな組織が出来上がれば、感染症対策が万全かつ円滑に施されるというものでは決してありません。体制を見直すことは必要ですが、単なる看板のかけ替えに終わってしまってはなりません。

 統括庁は「一段高い立場」から行政各部を統括するとされていますが、現時点ではまだ、有事の際に厚生労働省やいわゆる「日本版CDC」、そして危機管理部局との関係性が不明確な部分もあります。

 したがって、これらの関係を明確にし、たとえ新たな感染症危機が将来生じても、統括庁が真に司令塔機能をしっかり果たすことができるようすべきです。

 

 第二の理由は、本法律案の成立により、これまで以上に、感染症対策が危機管理ならびに安全保障上の問題として捉えられることになるからです。

 今回のコロナ禍では、我が国のこれまでの感染症対策が、きわめて脆弱であるという現実を突きつけられました。こうなったのも、危機管理や安全保障の観点が大きく欠落していたからにほかなりません

 その反省を踏まえ、司令塔機能を果たす統括庁に、危機管理や安全保障のエキスパートが加わり、専門的知見が提供されることは、国民の命や健康を守り抜くために、大きなプラスになるものと確信します。

 そのためには平時より、統括庁自身が素早い意思決定ができるようにインテリジェンス機能の向上に努めるとともに、国内外の関係機関と情報共有を積極的に図ることを忘れてはなりません。

 

 第三の理由は、統括庁による研修や訓練等を通じて感染症危機への対応能力向上が図られることです。

 統括庁は平時38名の定員ですが、有事の際には101人の定員を確保するとともに、各省庁の幹部職員を合計300人程度併任することになります。

 このため、有事の際に司令塔機能を果たすためにも、それらの職員も平時から高度な研修や実践的な訓練が必要です。

 この点、質疑の中で、研修や訓練を通じ統括庁に関わる全関係者の対応能力向上を図るとの答弁がありました。有事の際に、迅速かつ的確な対応が可能になることを期待します。

 なお、研修や訓練を実施する際には、過去問に備えることに満足せず、常に次に何を起きるのかを考え続けることが必要だと、いうことは強く求めておきます。

 

 とにかく、今般のコロナ禍で得られた教訓や経験を活かして危機管理体制を強化し、将来的に発生するであろう感染症をパンデミックにつなげない社会を構築することこそ肝要です。

 そのために、日本維新の会は、今後も引き続き積極的に提言・提案して参ります。

     (4月20日 内閣委員会で討論)