こんにちは。社労士の花輪くんです。

 

一昨日受けた特別研修の要点を、復習として残します。

 

申請書を書かせる事例は、普通解雇の無効を求める事例なのですが、併せて受けたパワハラへの損害賠償請求でもあります。

 

損害賠償請求の法律上の根拠は2つあります。

 

一つ目は、不法行為責任であり、行為者責任を問う民法709条と使用者である会社責任を問う民法715条です。

 

もう一つは、債務不履行であり、民法415条です。

 

不法行為責任の場合は、要件がいくつもあります。

 

709条は、故意・過失があり、守るべき利益があり、利益の侵害があり、かつ行為と侵害に因果関係があることです。

 

715条は、行為者と使用関係があり、かつ業務の執行においてなされた行為であることです。

 

従って、パワハラ行為が、故意または過失により被用者により業務の執行においてなされ、精神的苦痛という損害や精神的疾患のような身体的損害を引き起こした因果関係があることを、ひとつひとつ立証していく。

 

また、債務不履行の場合は、労働契約法5条等の職場環境調整義務という債務を果たしていない。

 

悪い環境を放置しているとの不作為を主張することになります。

 

つまり、根拠となる事実が異なるのですね。

 

両方は並立できますので、実務では可能であるならば両方主張するそうです。

 

まるで、決まった箱があり、それに該当する事実をその箱に入れていく作業のようですが、箱の存在を意識していないと、できない作業です。

 

とても数学的であり、わかりやすい説明でした。