サンミュージックの相澤会長（当時は社長）がテレビの旅番組「遠くへ行きたい」の番組内で、佐渡島で漁師をしている若干１５歳の少年の純朴で愛くるしい姿に惚れ込み、さっそくスカウトに行き、彼や両親を口説き落として上京させ、１年近いレッスンの後に華々しくデビューを飾りました。
相澤会長がお亡くなりなった後、テレビ特番で観て初めて知った方も多かったのではないでしょうか？
私自身は知ってはいたが、相澤社長を親父と慕っていた中森重樹、息子のように思っていた社長・・・この番組を観ていて涙がこぼれそうになったのは私だけではないでしょう。
サンミュージックには第１号タレントとして森田健作がおり、黛ジュンのヒット曲「夕月」の映画化で相手役として抜擢されデビュー、デビュー曲「夕陽の恋人」が１９６９年に発表され、ライバルとされた高岡健二とともに安定した人気を保ち、１９７１年の「おれは男だ！」の主役へとつながっていったのであった。（主題歌の「さらば涙と言おう」は大ヒットし挿入歌の「友達よ泣くんじゃない」も大ヒット、それまでに３枚のシングルを出しているがいずれもあまり売れなかった）
翌年には野村真樹をデビューさせ、デビュー曲「一度だけなら」がいきなりの大ヒット（元々はクールファイブのＬＰに収録されていた曲）、にしきのあきらとは新人賞争いをするライバル関係でした。
次のスター候補を探していた中、たまたま観ていたテレビでこの子だ！と直感したようだ。中森重樹のデビュー曲は月刊明星誌上(平凡と明星、当時両方を買っていたから勘違いかもしれません）で作詞の一般募集がされ、「太陽もえてる青い空」が入選となった。B面は「君は僕のもの」、佳作となった作品の中には「君を食べちゃいたい」があった記憶がある。実は自分も原稿用紙に書いて応募した。２か月先の号の結果発表を楽しみ？にしていたのですが、予想どおり全くダメでした。今思うとセンスも何もなかったと思う。ところで「君は僕のもの」の歌詞の中に”君を食べたいな”という歌詞が出てくる・・。瞬間的にこれは拝借したなと思ったものです。
その後、歌番組（「ロッテ歌のアルバム」だったかな？）にはたびたび出演、雑誌には同じ新人、「博多みれん」の野口五郎と一緒に撮った写真がカラーで掲載されていたり、事務所の先輩、森田健作主演「おれは男だ」にも３回ほど出演したり、野村真樹の弟分としてデビューキャンペーンはもちろんのこと、野村真樹オンステージにも出演し「太陽もえてる青い空」を歌唱しています。（そのLPに収録されているが、彼の唯一残っているライヴ音源だと思うんですよね。マニアはすでにご存じだと思う）ちなみに、手を回すような振り付けもあったような気がします。
このように当初は事務所もかなり期待の新人として力を入れていたと思うのですが、思うようなヒットに結びつきませんでした。二枚目「遠い夕日」が発売された時には平凡の付録歌本にも掲載されていたのでさっそく購入、歌もワンランク上手になっているように感じたし、良い曲なので注目していたのですが、私自身はテレビで一度も見かけることもなく・・・３枚目を出すこともなく歌手を引退し、山本明（アイドル歌手で「君を奪いたい」が話題になったが、２作目が全く売れず消えていった感じ）のマネージャーをしたこともあったが、やがて本人の希望で芸能界に完全に見切りをつけ千葉県内の企業に就職しました。好印象だったけど優しすぎたのかな、結局、芸能界には向かなかったのかもしれない・・・。
この１９７１年の年は３人娘（南、小柳、天地）が揃ってデビューして売れた年、あとグループ系（ペドロ＆カプリシャス、チェリッシュ、シモンズ、平田隆夫とセルスターズなど）も売れましたが、男子新人歌手が不作の年でした。その中で目立ったのは２作目に演歌からポップス歌謡転向で秋になってヒットした「青いリンゴ」の野口五郎、あとは・・・・和製プレスリーといわれて「燃える恋人」でカッコよくデビューした本郷直樹の小ヒットぐらいのものでしょう。新御三家が騒がれるようになるのは翌年のことでした。男性歌手は森進一、尾崎紀世彦、五木ひろしあたりの実力派歌手のパワーに圧倒された感じでしたね。あとは、人気でにしきのあきらや野村真樹、フォーリーブスが頑張っていた年だった印象があります。
以下は当時発売したシングルジャケットです。「太陽もえてる青い空」の彼は何故か目がはれぼったく写っているように見える。
２枚目シングル「遠い夕日」、なかなか良い曲だったけど・・・。
「太陽もえてる青い空」の別ジャケットですね！ こっちが断然良いと思う。
「俺は男だ！」でのドラマ出演写真、 右は当時のプロマイド写真ですね。
新人中森重樹が登場し、「太陽もえてる青い空」を歌唱している。