2014年、県境ライン全走破計画 stage9(三国国境越)-1 | 柴犬と小規模農家の奮戦記!

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10年前となった2014年県境ツーリングも四国のど真ん中を跨いでいくようになっています。

このステージより、これまで愛媛県との境だった舞台も徳島県との境となってきました。

 

■走行日2014年7月~8月

 

stage9の出発点は大豊町の“杉の大杉”にある、美空ひばりさんの歌碑の前からとします。

 

 

天然記念物の日本一の大杉と日本一の歌手の歌碑前というのは県境峠制覇ツーリングのスタート地点にふさわしいではないかと・・・・、安全に無事完走できる事を祈願しての出発としました。

 

 

美空ひばりさんと大杉の関係なのですが、昭和22年にひばりさんがまだ「美空和枝」という芸名で地方巡業している途中、ここ大豊町でバス事故に遭い九死に一生を得ました。

1ヶ月半の療養後、町内にある国の天然記念物の“杉の大杉”に「日本一の歌手になれるように・・・」と願をかけたのです。

帰京後、芸名を「美空ひばり」と変えて文字通り日本一の歌手になり、14歳の時に再び大豊町を訪れて、当時お世話になった方々への挨拶も兼ねて、大杉に日本一の誓いも新たに参拝したといいます。

 

 

歌碑に写るXRのボディがさまになっていますね~と、オーナーバカ振りを発揮してエンジンを駆け、いよいよスタートです。
ちなみに“杉の大杉”とはおかしいと思いますが、「杉」という地区にある大杉という意味でこう呼ばれています。

 

 

国道439号線と33号線の分岐近くから“立川川”沿いに県道5号線を北上します。

県道5号線は大豊川之江線で、高知・愛媛県境の笹ヶ峰方面へ向かう高知自動車道に沿ったルートでもあります。

 

 

ここ大豊町からstage8で通った、早明浦ダムのある土佐町や本山町のエリアは嶺北地区と言って、北の瀬戸内と南の土佐湾からちょうど中間点にあり、西の豊後水道と東の紀伊水道からも中間点にある四国のヘソと言うべき所なのです。
加えて、石鎚山系と剣山山系の狭間にあり、四国山脈の切れ目ともなっている険しい山に囲まれた場所です。

 

 

大豊町大杉から土予国境へと延びるこの道は土佐街道あるいは北山街道と呼ばれ、奈良、平安時代の頃、すでに中央に通じる開けた主要道でありました。
この街道には藩政時代の番所跡(旧立川番所書院)があり、土佐藩主の参勤交代の折に本陣が置かれた所で、国の重要文化財となっています。
立川番所は東の東洋町にある野根山、池川と並ぶ、土佐の三大番所となっています。

 

 

やがて高知自動車道が抜ける笹ヶ峰トンネルを横目に県道は高度を上げて行くようになります。
この笹ヶ峰トンネルは長さ4307mで、四国の高速道路のトンネルでは最長です。

 

 

急峻な上り坂を上がって行くと、高速道を遥か下に見るようになります。
この北山街道であった「北山越」は明治の半ばまでは土佐の大街道でした。1300年のほど昔、律令体制を確立した大和朝廷は都と全国各地を結ぶ道路網に励み、四国の場合は「南海道」であり、九州は「西海道」でした。
その四国最初の官道がこの「北山越」ルートで大街道のロマンを感じながら走ります。

 

 

これから向かう笹ヶ峰峠のある県境ラインの山並が現れてきます。

 

 

県境に近くなると、古道の笹ヶ峰峠(1027m)へと向かう道の分岐があります。

 

 

古道は、ここからは1000mの急峻な山道ではありますが、山頂は街道であったことから急坂では無くなり道幅も広い所が多く、参勤交代時の休憩場所ともなっていたそうです。

 

 

そこから少し上ると、ついに高知県と愛媛県との境となる“笹ヶ峰隧道”に到着します。

笹ヶ峰峠(1027m)直下にある隧道で、長さは482mで昭和42年竣工となっています。

そしていよいよ、愛媛県との県境越はこれで最後となります。

 

 

高知県側を振り返ると、県名と町名の表示のカントリーサインがありました。
この表示があると無いとでは、県境を越える雰囲気が違います。
他に通る車の気配等は全く無しで、静かで野鳥とセミの声が聞こえる程度です。

夏の日差しもそれほど暑く感じません。

 

 

トンネル表示は“笹ヶ峰隧道”。

 

 

トンネルを抜けると愛媛県四国中央市に入ります。

愛媛県側にもきちんとカントリーサインはありました。
県境を越えると不思議と空気がガラリと変わる雰囲気が何ともいえず、同じ山道を走っているのに違う世界を通っているようです。
愛媛県の地へ足を踏み入れるのはこれが最後というのも、増して特別な雰囲気を感じてしまいます。

 

 

この脊梁山脈の境の東には県境にそびえる三傍示山(さんぽうじやま)(1158m)、西には橡尾山(とちおやま)(1222m)があり、橡尾山からカガマシ山(1343m)には高知県下一のシャクナゲの群生地となっているそうです。

 

 

歴史を感じる道が続き、馬立川の源流を渡る“後谷橋(うしろだにばし)”などの小さな橋を渡りながら下っていきます。

橋の架設は昭和45年とありました。
馬立川はこの辺の地名が馬立といい、同じく街道沿いの地区でした。

馬立川も吉野川水系で、この下の新宮の集落で銅山川と合流して、吉野川へと続いて行きます。

 

 

県境から10キロほど下ると、新宮村側の笹ヶ峰トンネルの出口が見え始め、新宮村へと降りて来ます。

 

 

2004年の合併により四国中央市となった旧新宮村は北は法皇山脈、南は四国山脈に挟まれ、大部分は急斜面の山林に囲まれていて、お茶の栽培に適した気候となっています。

そのため製茶が盛んな所です。

村の中を銅山川が東西に流れ、銅山川沿いを通る国道319号で東の徳島県の三好市(旧山城町)へと通じています。

 

 

旧北山街道の案内碑がここでも見られます。
ここで県道5号線は東から延びてきた国道319号線と重複して走るようになります。
国道319号線は香川県坂出市が起点で、国道32号線と重複しながら三好市から新宮村経由で瀬戸内側の四国中央市三島まで続く三桁国道です。

 

 

やがて中央構造線を跨ぐ堀切トンネルは1259mと表示されています。

思ったより長いトンネルです。

 

 

国道319号線を銅山川沿いに西へと進み新宮ダムを過ぎて法皇山脈へと上って行くと、県道5号線と国道319号の分岐となる“堀切トンネル”前へとやって来ます。

 

 

県道5号線はこの“堀切トンネル”を越えて川之江まで行きますが、ここはトンネルを越えずに峠越えの旧道を目指します。

 

 

旧峠越えへは国道319号線をそのまま西へと上って行きます。

やがて、急峠越えの“堀切峠”への表示板が出てきます。
表示板の右下が曲がっていますが、大きなトラックか何かが引っ掛けたのでしょうか。

 

今回のルート